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「手付金」「内金」「着手金」「前金」の意味と違い

「手付金」「内金」「着手金」「前金」の意味と違い

監修者

弁護士:村岡つばさ(よつば総合法律事務所千葉事務所)

よつば総合法律事務所千葉事務所

弁護士 村岡つばさ

よつば総合法律事務所の弁護士の村岡と申します。日常生活や会社を運営する中で気になる法律の問題を分かりやすく解説します。

「手付金」「内金」「着手金」「前金」の意味と違い

「契約手付金として●円を頂戴します」、「契約時に内金として●●円必要です」、「まずは着手金として●円をお支払いいただきます」など、新たに契約を締結する場合や物を購入する場面において、「手付金」「内金」「着手金」といった単語が用いられることもよくあります。また、近い単語として、「前金」というものもあります。

いずれもなんとなく、「先に支払うお金」というイメージはあるかと思いますが、実は、これらの単語は意味合いが異なります。
そこで今回は、これら4つの言葉の意味や違いなどについて、詳しく解説していきたいと思います。

「手付金」とは

手付金

「手付金(てつけきん)」とは、「売買契約を締結する際に、買主が売主に交付する金銭」です。特に、不動産の売買など、代金がそれなりの金額になる売買契約において用いられることが多いです。

この「手付金」は、大きく分けて3つの種類があります。
まず、「売買契約が成立したことを証する目的で交付される金銭」として手付金が用いられることがあり、この場合の手付を「証約手付」といいます。単に「契約書」があるというだけでなく、契約締結時に金銭を交付したという事実をもって、より契約の成立を裏付ける(証明する)という意味合いで用いられます。

また、「当事者が契約違反をした場合の違約金(賠償金)という趣旨で交付される金銭」として手付金が用いられることもあります。この場合の手付を「違約手付」といいます。例えば、買主が契約違反をした場合には、売主は、買主が差し入れた違約金を賠償金として受領できる(没収できる)こととなります。

更に、「一定の金銭を支払えば契約を解約できる」という趣旨で手付金が用いられることもあります。これを「解約手付」といいます。例えば、民法は以下のように、買主が手付金を放棄するか、売主が手付金の倍額を支払えば(現実に提供すれば)、相手方が契約の履行に着手するまでは、契約を解除することができると定めています。つまり、一度契約したものの、自分の都合でやっぱり契約を解消したいと考えた場合、買主側であれば、相手方が履行に着手するまでは、差し入れた手付金を放棄すれば、契約を解約することができます。

民法第557条1項(手付)

買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。

このように、3種類の手付がありますが、現在の日本においては、契約書で特に定めがない場合には、差し入れた手付金は、「解約手付」として推定されています。ただし、この3種類の手当は、どれか1つとしなければならないわけではなく、解約手付の趣旨とともに証約手付の趣旨も含む等、複数の趣旨を包含するものとして用いることが可能です。

「内金」とは

内金

「内金(うちきん)」とは、「売買代金や請負報酬などの一部として、前もって支払われる金銭」という意味の言葉です。例えば、リフォーム工事の契約を結ぶ際、リフォーム代金の総額は1000万円であるものの、そのうち200万円を契約時や契約直後に支払って貰う場合等が挙げられます。

先に見た「手付」金が、民法に定められている法律用語であるのに対し、この「内金」は、法律用語ではありません。
内金は、代金の一部として支払われるものでありますが、基本的にはそれ以上の効果はありません。他方、手付金は、先にみたように、「証約手付」「違約手付」「解約手付」といった効果を有するものであり、この点でも両者は異なります。

ただし、手付金であっても、「手付金は、売買代金の一部に充当する」等、代金の一部払いであることが明記されていることも多く、「手付金」と「内金」とが近い意味合いで用いられることもあります。
また、「内金」という名称が使われているものの、契約書をよく見ると、「買主は、売主が履行に着手するまでは、内金の返還請求権を放棄することにより、本契約を解約することができる」等、手付としての意味合いで用いられていることもあります。
このように、「手付金」「内金」という名称だけでなく、「どのような趣旨で交付された金銭か」という実質面が重要です。

「着手金」とは

着手金

「着手金(ちゃくしゅきん)」とは、「契約業務に取り掛かる際に発生する金銭」という意味合いで使われます。これも法律用語ではありません。
この「着手金」という単語を用いる契約は一定程度ありますが、一番典型的なのは、弁護士に依頼する際の委任契約かと思います。

弁護士に依頼する場合にかかる費用は、大きく分けて、この「着手金」と「報酬金」に分かれます。
着手金とは、依頼した事件の結果に関わらず、弁護士が業務に取り掛かるために必要な金銭です。「着手」という名前の通り、業務に「着手」するための費用です。
他方、報酬金とは、事件の解決時に、解決内容(成果)等に応じて生じる費用です。「成功報酬」などと言われることもあります。

そのほか、M&Aの仲介会社との契約や、コンサルティング会社との契約の場面でも、「着手金」が用いられることがあります。
「着手金」は、「業務に着手するために必要な費用」であり、代金の一部払いという趣旨とはやや異なります(ただ、広い意味では一部払いといえるかもしれませんね)。

「前金」とは

前金

「前金(まえきん)」とは、「品物を受け取る前に代金を支払うこと」という意味合いで使われることの多い単語です。ただ、これも法律用語ではありませんし、「先払い」という単語の方が一般的かもしれません。

売買契約では、通常、代金と商品の引き渡しは、同時のタイミングで行われます(同時履行と呼ばれます)。例えば、コンビニエンスストアで商品を購入する際、お金を払うタイミングと商品を貰うタイミングはほぼ同時(性質上、代金支払いの方がやや早いですが)です。
他方、当事者間の取り決めて、「商品の引き渡しより先に代金を払う」ことも勿論可能です。
このような取り決めをして、先に支払われる代金を、「前金」と呼んだりします。
先にみた「手付金」「内金」「着手金」とは、大きく意味が違いますね。

なお、「前金」と似た言葉に、「前払金(前渡金)」というものがあります。こちらは勘定科目の1つで、商品やサービスの代金の全部又は一部を先払いした際に用いられるものです。
先にみた「手付金」「内金」「内金」のいずれも、代金の全部又は一部の先払いという趣旨を有しているため、「前払金」として処理されるのが通常です。なお、「着手金」という名称が用いられていても、それが代金の一部払いという趣旨であれば、前払金として処理されることになるでしょう。

「手付金」「内金」「着手金」「前金」の意味と違い

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