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ビジネス用語

「人材派遣」と「人材紹介」の意味と違い

「人材派遣」と「人材紹介」の意味と違い

監修者

弁護士:村岡つばさ(よつば総合法律事務所千葉事務所)

よつば総合法律事務所千葉事務所

弁護士 村岡つばさ

よつば総合法律事務所の弁護士の村岡と申します。日常生活や会社を運営する中で気になる法律の問題を分かりやすく解説します。

「人材派遣」と「人材紹介」の意味と違いとは

学生時代のアルバイトや、転職活動等で、「人材派遣会社」「人材紹介会社」を利用された方もいるかと思いますが、「人材派遣」と「人材紹介」の違い、ご存じでしょうか。
どちらも、「紹介された企業で働く」という点では共通していますが、実は、両者の持つ意味合いや法律のルールは大きく異なります。

そこで今回は、「人材派遣」と「人材紹介」の意味や違いについて解説していきたいと思います。

「人材派遣」とは

人材派遣

「派遣」という単語は日常的にも良く使われますが、法律上は、「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする。」を、労働者派遣といいます(労働者派遣法第2条1項)。

文字にするとややこしいので、図にしてみました。

人材派遣

労働者派遣においては、派遣される労働者、派遣元企業、派遣先企業の3者が登場します。
労働者は、あくまでも派遣「元」企業との間で雇用契約を結びます。派遣先企業との間では、雇用契約はありません。そのため、給与は派遣「元」から支払われることとなります。

しかし、派遣労働者は、派遣「元」ではなく、派遣「先」企業で働くこととなります。
派遣元企業と派遣先企業との間で、派遣元から派遣先に労働者を提供する内容の「労働者派遣契約」を結んでいるからです。
そのため、業務命令等は、派遣元ではなく、基本的には派遣「先」から行われることとなります。

「派遣切り」という単語をニュース等で耳にしたこともあるかと思いますが、これは、①派遣先企業が、派遣元企業との労働者派遣契約を終了すること(=派遣労働者は派遣先で継続して働くことができなくなる)と、②派遣元企業が、派遣労働者との雇用契約を終了すること(=派遣労働者は雇用契約自体を解消されることとなる)の両方を含む概念です。ただし、①の意味合いで使われることが多い印象です。

「人材紹介」との主な違いは、労働者との雇用関係の有無です。
先に述べた通り、労働者派遣では、派遣「元」企業と派遣労働者との間で雇用契約が結ばれます。
他方、人材紹介においては、人材紹介会社と労働者との間で雇用契約が結ばれることはありません。人材紹介会社は、あくまでも就労先の会社を「紹介」するだけです。

「人材紹介」とは

人材紹介

「人材紹介」とは、その名の通り、「人材」を他社に「紹介」することをいいます。
法律上は、「職業紹介」と呼ばれ、「求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすること」と定義されています(職業安定法第4条1号)。

職業紹介には、無料の職業紹介と、有料の職業紹介とがあります。
代表的な無料の職業紹介はハローワークです。ハローワークを利用して就労先を見つけても、紹介料、システム利用料等の費用は一切かかりません。
有料の職業紹介は、一般企業が提供している転職サービス等です。この場合、労働者を他社に紹介し、その会社で雇用することとなれば、紹介料、成約料などの費用が発生します(ただし、原則として労働者から手数料等は徴収できず、就労先の企業にのみ費用が発生します。)。

職業紹介事業は、有料であっても無料であっても、原則として厚生労働大臣の許可を得る必要があります。無許可でこれを行うと、刑事罰の対象となります。

先に見た「人材派遣」との違いは、雇用関係の所在になります。
「人材派遣」の場合、労働者との雇用契約は派遣「元」との間にありますが、「人材紹介」の場合には、紹介会社と労働者との間に雇用契約はなく、あくまでも直接、労働者と紹介先とが雇用契約を結ぶこととなります。

「人材派遣」と「人材紹介」の意味と違い

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