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「雇い止め」「派遣切り」「解雇」の意味と違い
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「雇止め」「派遣切り」「解雇」の意味と違い
テレビや新聞などで、「雇止め」「派遣切り」といった単語を耳にしたことがある人も多いと思います。また、「解雇」という単語は、働く人であればすべての人が知っているかと思います。
しかし、「雇止め」「派遣切り」「解雇」のそれぞれの意味や違いについては、正確に理解していない人が多いという印象です。この3つの単語は、共通点もありますが、持つ意味が異なります。
そこで、今回は、「雇止め」「派遣切り」「解雇」の意味や違い、使い分けのポイントなどについて解説したいと思います。
「雇止め」とは
「雇止め」とは、「契約期間が定められた雇用契約において、契約期間が満了した際に、次の雇用契約を更新しないこと」を意味します。読み方は「やといどめ」です。
例えば、正社員ではなく、契約期間を1年間(2020年5月1日から2021年4月30日まで)の雇用契約を会社と締結したとします。この事案において、2021年4月30日以降契約を更新せず、4月30日をもって契約を終了することが、「雇止め」です。
契約期間を定めて雇用される人を「契約社員」などと呼びます。
契約期間が定められていても、その期間のみで契約が終わりになるのではなく、契約が更新されることも多くあります。また、中には、入社時に、契約が更新されることが当然の前提であるかのような説明を受けているケースもあります。
雇止めは、定められた契約期間が終了したことを理由とし、雇用契約を終了させるものであるため、原則として自由です。しかし、従業員の生活に重大な影響を及ぼすことや、従業員の雇用継続(更新)に対する期待を保護する観点から、一定の場合には、雇止めは認められません。
「雇止め」と「解雇」は、雇用契約を終了させるという点では共通します。
しかし、雇止めは、「契約期間が満了し、契約更新をしない」ことを理由として、雇用契約を終了するものですが、解雇は、「契約期間中に雇用契約を解消すること」を基本的には意味します。
上の例で見ると、2021年4月30日をもって契約を終了すること(更新しないこと)が雇止めですが、例えば、契約期間中である2020年12月末に従業員をクビにする場合には、解雇となります。
「派遣切り」との違いは、次の項目で詳しくお話します。
「派遣切り」とは
「派遣切り」の意味を説明する前に、まずは派遣契約がどのような仕組みになっているかを簡単に説明します。
派遣契約では、派遣「元」企業、派遣「先」企業、派遣労働者という3名(社)が、登場人物となります。①派遣元企業(人材派遣会社)と派遣労働者との雇用契約、②派遣元企業と派遣先企業との労働者派遣契約の2つの契約を前提とするものです。派遣「先」企業と派遣労働者との間に、契約はありませんが、②の労働者派遣契約を根拠に、派遣労働者は、派遣先企業から直接指揮命令を受け、派遣先企業に労務を提供します。
図にすると、下記のような仕組みになります。
「派遣切り」とは、一般的に、この①②の契約を解消することを意味します。すなわち、①派遣元企業が、派遣労働者との雇用契約を解消(解雇・雇止め等)することだけでなく、②派遣先企業が、派遣元企業との労働者派遣契約を終了させることも含まれています。ただし、①のみを指して使われることも、②のみを指して使われることも、両方を意味することもありますので、「派遣切り」という単語がどのような意味で使われているかは、注意が必要です。
派遣切りがなされる背景には様々なものがあり、派遣先企業・派遣元企業の経営上・業務上の問題だけでなく、派遣労働者の勤務態度等に問題があることもあります。また、派遣先企業・派遣元企業の労働者派遣契約が終了されたものの、別の就労先(派遣先)が見つからないことが理由で、雇用契約が解消されることもあります。
「派遣切り」のうち、②(労働者派遣契約の終了)については、派遣先企業・派遣元企業との契約の問題です。
他方、①については、派遣元企業と派遣労働者との雇用契約の解消の問題であり、雇止めや解雇と同じ場面になります。すなわち、契約期間が満了し、契約更新をしない場合には「雇止め」の問題、契約期間中に雇用契約を解消する場合には、「解雇」の問題になります。
このように、「派遣切り」は、「雇止め」「解雇」だけでなく、派遣先企業・派遣元企業間の労働者派遣契約の解消も含む概念であるため、「雇止め」「解雇」と共通する部分もあれば、異なる部分もあります。この点が、「雇止め」「解雇」との違いです。
「解雇」とは
「解雇」とは、会社が労働者に対し、一方的に雇用契約を解消することを意味します。
解雇には、普通解雇、懲戒解雇、整理解雇、諭旨解雇という4種類の解雇があり、それぞれ持つ意味が異なります。詳しくは、「普通解雇」「懲戒解雇」「整理解雇」「諭旨解雇」の違いの記事をご覧ください。
上で見た通り、「雇止め」と「解雇」は、雇用契約を終了させるという点では共通します。
しかし、雇止めは、「契約期間が満了し、契約更新をしない」ことを理由として、雇用契約を終了するものですが、解雇は、「契約期間中に雇用契約を解消すること」を基本的には意味します。そのため、両者は、意味合いも要件も大きく異なります。
「会社から雇用契約の終了を言い渡されたから解雇だ」と勘違いされている方も多いので、なぜ雇用契約が終了になるのか、理由を良く確認することをお勧めします。基本的には、契約期間中の雇用契約の終了を言い渡されたら「解雇」、契約期間満了を理由とする場合には「雇止め」と理解しておけば、間違いないでしょう。
また、上述の通り、「派遣切り」は、「雇止め」「解雇」「労働者派遣契約の解消」を含む概念であるため、どのような意味で「派遣切り」という単語が使われているかを注意しましょう。
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