社会人のためのビジネス情報マガジン

  • フェイスブック
  • ツイッター
  • RSS

スキルアップ・キャリアアップ

エルダー制度とは?メンター制度やOJTとの違い、メリット・デメリット6選

エルダー制度とは?メンター制度やOJTとの違い、メリット・デメリット6選

企業にとって、「いかに新人を効率的に育てていくか」は、重要な命題です。そこで具体的な教育方法が問題となりますが、その際よく話題に上る用語に、「エルダー制度」というものがあります。多くの会社で取り入れられている制度ですが、一体「エルダー」とは何のことで、どんな仕組みを指しているのでしょうか。

本記事では、「エルダー制度」について詳しく知りたいという方のために、その意味や似た用語「OJT」との違い、またメリット・デメリットなどについて解説していきたいと思います。

エルダー制度とは?メンター制度やOJTとの違い

エルダー制度とは?

「エルダー制度」の「エルダー(elder)」とは、「年長者」や「古参の」、「先輩の」などを意味する言葉です。ビジネス用語としては「消費に積極的な50歳以上の中高年層」の意味もありますが、人事で使う場合はこれとは違い、新人教育制度の一種を指します。

具体的には、新人を教育する際に直属の上司ではなく、先輩社員を指導者として当てるシステムを、「エルダー制度」と呼びます。この制度の特徴は、新入社員や若手社員の教育に役立つだけでなく、先輩社員の成長も促せる点にあります。

メンター制度との違い

「エルダー制度」とよく似た教育制度に、「メンター制度」というものがあります。両者はどの点が異なるのでしょうか。

「メンター(mentor)」とは、「指導者」や「助言者」を意味する言葉です。新入社員・若手社員に対して先輩社員がサポートに当たる制度で、基本的な部分においては「エルダー制度」と違いはありません。

ただ、「メンター制度」の場合は、プライベートの相談など、メンタル面のケアも含まれる点が特徴です。これに対し「エルダー制度」は、あくまで業務面のサポートが中心となる点で区別できます。

OJTとの違い

「エルダー制度」を語る際よく使われる用語に、「OJT」というものがあります。この「OJT」とは、一体どんなものなのでしょうか。

「OJT」は「On the Job Training」の略語で、「現任訓練」などと訳されます。簡単に言えば、「実務を通じて仕事を学ばせる教育制度」のことです。もともとは軍隊の新人訓練法として開発されたものですが、その後ビジネス現場でも取り入れられるようになりました。

対象となるのは、就職や転職、あるいは他部署からの異動で新たに配属された人材です。そうした業務に不慣れな新人に、先輩社員や上司が指導役として付き、実務によって業務習得を促すのが「OJT」になります。「エルダー制度」は、「OJT」の一種にあたります。

つまり「OJT」と「エルダー制度」の違いは、基本的な仕組みを指すか、その中の個別の制度を指すかの違いであると言えます。

メリット・デメリット

「エルダー制度」はさまざまなメリットがあることから、多くの企業で取り入れられています。しかし、実際にはメリットだけではなく、デメリットも存在します。ここでは、「エルダー制度」導入のメリット・デメリットの双方についてそれぞれ紹介していきましょう。

メリット

新人が会社に馴染みやすくなる

「エルダー制度」のメリットとしてまず挙げられるのが、「新人が会社に早く馴染めるようになる」ということです。

就職や転職などで新たに会社に加わった人にとって、仕事を一から覚えるのは簡単ではありません。場合によっては、慣れない業務で大きなプレッシャーを受け、仕事や職場に対し苦手意識を抱いてしまうケースもあります。

一方、「エルダー制度」で身近な先輩のサポートを受けることによって、新人でも比較的すぐに仕事の要領をつかむことができます。精神的な余裕も生まれますから、会社にも早い段階で溶け込みやすくなります。

信頼できる先輩を見つけられる

「エルダー制度」においては、新人が信頼できる先輩と出会えるというメリットがあります。

未知の環境に放り込まれた新入社員にとって、人間関係をどう築いていくかは大きな悩みの1つです。特に先輩との関係構築には壁を感じることも多く、それによって不安を募らせるケースも多くなっています。

それに対し、「エルダー制度」によって指導者・被指導者の間柄となることで、自然に信頼関係を取り結ぶことができます。新人は孤独感や疎外感を感じることが少なくなり、仕事のモチベーションも上がりやすくなります。

メンター側も成長できる

「エルダー制度」では、上記のように指導される側だけでなく、エルダー側の成長も望めるというメリットがあります。

エルダーとなった社員は、自分の仕事と同様に、新人の仕事にも常に気を配る必要があります。また、さまざまな相談に乗ったり、普段の細かな様子にも目を向けなくてはなりません。
こうした経験を積むことは、ある程度の経験はあってもまだ部下を持たない社員にとって、非常に大きな財産となります。アドバイスのコツやモチベーションを上げさせるポイントなどもつかめるので、リーダーや管理職に向けた準備として役立てられます。

部署間のコミュニケーションが活発になる

「エルダー制度」の設計の仕方は各企業で異なりますが、一般的にはエルダーを担当する社員は、新人が所属する部署とは異なる部署から選ばれることが多くなっています。これは、同じ部署からエルダーを選ぶと、業務上直接の利害関係が生じるので、新人が素直に悩みなどを相談しにくくなってしまうためです。

このようにエルダーと新人を他部署の間柄に置くことは、新人の精神的な負担を減らせるだけでなく、異なる部署同士のコミュニケーションを活発にさせるというメリットも含んでいます。

デメリット

エルダーの負担が増える

ここからはデメリットについてですが、「エルダー制度」には、エルダーとなった社員に負荷がかかりがちという難点があります。

エルダー役は、指導だけに集中するわけではありません。普段の業務もこなしつつ、同時に新人にも気を配る形になります。そのため、場合によっては業務過多で、心身に容量を超えた大きな負担がかかってしまうこともあります。

最悪の場合、それが原因で離職ということもあり得るので、会社としては、エルダー側へのサポートも必須となります。

お互いの相性が悪い場合も

「エルダー制度」のデメリットとしては、「エルダーと新人の相性が合うとは限らない」という点も挙げられます。

エルダーと新人は、業務上密接に結びつくため、相性に問題がなければ、前述のようなさまざまな効果が期待できます。しかし、反対に相性が合わなければ、かえって逆効果となる可能性が高くなります。お互いにとってストレスがかさみ、業務に支障をきたしたり、離職につながる恐れもあります。

そのため、エルダーの選定にあたっては、新人との相性をよく見きわめることが重要なポイントとなります。

エルダー制度とは?メンター制度やOJTとの違い、メリット・デメリット6選

この記事が気に入ったら いいね!しよう

最新の情報をお届けします