イジメ・嫌がらせ
「ワクチンハラスメント」とは?パワーハラスメントとの違いは?
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「ワクチンハラスメント」とは?パワーハラスメントとの違いは?
はじめに
「ワクチンハラスメント」という単語をご存じでしょうか。
ここ最近新たに出てきた単語で、あまり馴染みのない方も多いかと思います。
また、「ハラスメント」という単語はよく耳にするものの、色々なハラスメントがあって、あまり違いが理解できていない方も多いのではないでしょうか。
今回は、新型コロナウイルスのワクチン接種を巡り新たに生じた、「ワクチンハラスメント」の意味や、パワーハラスメントとの違いについて、弁護士の立場からお話させていただきます。
今話題のワクチンハラスメントとは?
この「ワクチンハラスメント」という単語は、新型コロナウイルスのワクチンがある程度普及してから、新たに生まれた単語です。略して「ワクハラ」などとも呼ばれます。
明確な法律上の定義は存在しませんが、「新型コロナウイルスのワクチン接種を強要したり、ワクチンを接種していない人に対して差別的な取り扱いや、不利益を与えること」を、ワクチンハラスメントと呼ぶことが多いです。簡単に言えば、「ワクチン接種に関する嫌がらせ」は、すべてこのワクチンハラスメントに該当し得ることとなります。
ワクチンを接種するかどうかは、あくまでも個人の自由です。厚生労働省が設けている「新型コロナウイルスQ&A」というページでは、「新型コロナワクチンの接種を望まない場合、受けなくてもよいですか。」という質問に対し、「接種は強制ではなく、あくまでご本人の意思に基づき接種を受けていただくものです。」と回答しており、接種が強制ではないことを明記しています。あくまでも、ワクチン接種をするかは個人の自由である以上、これを強要したり、差別的な取り扱いをしたり、不利益を与えることは許されないのです。
ワクチンハラスメントの例を見てみましょう。
例えば、会社がワクチン接種を拒否した従業員に対し、「ワクチンを接種しなかったらクビだ!」「ワクチンを受けるまでは出社させない」などと伝える行為は、ワクチンハラスメントの典型例です。
また、ワクチン接種を受けていない従業員に対して他の従業員が嫌味を言う、嫌がらせを行うといった行為も、ワクチンハラスメントに当たります。
2021年5月に、日本弁護士連合会が、「新型コロナウイルス・ワクチン予防接種に係る人権・差別問題ホットライン」という相談窓口を設けたところ、2日間で208件もの相談がありました。
具体的な相談内容を見ると、「ワクチン接種をしないと実習を受けさせないと言われた」(看護学生)、「ワクチンを接種しないと退職と言われた」(医療従事者)といった相談が寄せられており、深刻な社会問題になりつつあります。
この記事で書いたような、ワクチンハラスメントでお悩みの方は、一度、近くの弁護士に相談してみることをお勧めします。
パワーハラスメントとの違いとは?
そもそも「ハラスメント」という単語は、「嫌がらせ」を意味します。
今の日本では、様々な「●●ハラスメント」が存在しますが、これは、「●●を理由とする嫌がらせ」という意味です。
ワクチンハラスメントは、上で見た通り、「ワクチン接種に関する嫌がらせ」を意味します。
他方、パワーハラスメントとは、「職場のパワー(優越的な地位)に基づいて行われる嫌がらせ」です。典型的なのは上司から部下に行われる行為ですが、部下から上司に対して行われる、「逆パワハラ」と呼ばれるものもあります。
ワクチンハラスメントとパワーハラスメントの違いは、「ワクチン接種」を理由とする嫌がらせか、「職場のパワー」を背景に行われる嫌がらせか、という違いがあります。
ただ、両者は重なる部分も多くあります。例えば、上司が部下に対し、ワクチンを接種していないことを理由に叱責したり、仕事自体を与えないような場合には、「ワクチンハラスメント」にも「パワーハラスメント」にも該当し得ることとなります。
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