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マーケティング

ステルス値上げの意味とは?主な原因・背景5選

ステルス値上げの意味とは?主な原因・背景5選

ここ数年で聞く機会が増えた言葉に、「ステルス値上げ」というものがあります。「値上げ」とあることからも明らかなように、商品の値段に関する言葉ですが、詳しい意味などがよく分からないという人も多いでしょう。一体なぜ、「ステルス」というカタカナ語が上に付けられているのでしょうか。また、「ステルス値上げ」が横行する背景についても気になるところです。

本記事では、「ステルス値上げ」の意味や、それが行われる原因について解説していきますので、理解の参考にしてみてください。

ステルス値上げとは

ステルス値上げとは、企業がある商品の価格は据え置いたままで、その内容量を減らしてしまうことを言います。

お菓子などの食品を中心によく見られる行為です。値段は変わらないので一見値上げには見えませんが、全体の量を減らすことで単価が上がるため、実質的な値上げに相当します。そのため、「実質値上げ」とも呼ばれます。また、「隠れ値上げ」「サイエンス値上げ」という呼び方をする場合もあります。

「ステルス(stealth)」とは、英語で「こっそりする」を意味する言葉で、消費者に気づかれにくい形で行われることから、この名称が付けられました。

日本だけでなくイギリスでも行われるケースが目立っており、イギリスでは「シュリンク(shrink)=縮む」と「インフレーション(inflation)=物価が上昇する現象」を掛け合わせた「シュリンクフレーション(shrinkflation)」という造語で呼ばれています。

ステルス値上げが行われる背景

気付かないうちに値段が上がっているステルス値上げですが、そもそも企業はなぜそうした行為を行うのでしょうか。そこには、各種のコストにまつわる要因が関係しています。ここでは、ステルス値上げが行われる背景について、いくつかのポイントを挙げて紹介していきましょう。

人件費

ステルス値上げが行われる背景の1つとして指摘できるのが、人件費の問題です。

近年はどの業界でも、人件費は高騰する傾向にあります。その主な理由となっているのが、「慢性的な人手不足」です。多くの企業では人手不足解消のために、給料や福利厚生の充実によって人材を確保しようと図っていますが、これが経営にとって大きな負担となるケースが少なくありません。

人件費の高騰分を補うには、それだけの利益が必要になります。そこで、実質的な値上げによってカバーしようという動きが出てくるわけです。

原材料費

「原材料費の高騰」もまた、ステルス値上げの背景に存在しています。

企業間で取引される原材料などの値段の動きを「企業物価指数」と言いますが、この企業物価指数は、近年急激な上昇を続けています。一方、消費者レベルでのモノの値動きを示す「消費者物価指数」には、ほとんど変化が見られません。つまり、原材料のコストは上がっているのに価格はそのままということで、これが利益を圧迫する要因となっています。

企業はシェアの消失リスクを恐れるため、簡単には価格を上げられません。そこで、利益確保のために内容量を減らすステルス値上げが行われるというわけです。

消費税

平成31年10月から消費税が10%へ引き上げられましたが、この増税もまた、ステルス値上げを誘発する原因の1つとなっています。

そもそも消費税は、事業者を納税義務者として、原則すべての商品・サービスに課される税です。事業者に課された消費税は、販売価格にコストとして織り込まれ、結果的に消費者が負担する仕組みとなっています。

つまり、消費税が上がればコストも上がり、その分は価格に反映されるのが自然なのですが、企業は上記の理由から、なかなか価格を上げたがりません。そのために、内容量の調節による値上げが行われやすくなるわけです。

円安

円安もまた、ステルス値上げが行われる原因の1つに挙げられます。

為替レートは、モノの値段に大きく影響します。円が上がれば原材料が安く買えるので、コストが下がって販売価格も安くなりますが、反対に円が下がれば、これとは逆の動きが発生します。たとえば1ドル=100円の場合と1ドル=110円の場合では、5ドルのものを買うのに前者は500円、後者は550円かかることになります。

近年は円安傾向が続いており、本来であればコスト増で価格も上がるはずですが、前述のように表立った値上げはしにくいため、ステルス値上げが行われやすくなっています。

燃料費の高騰

ステルス値上げの原因、最後に挙げるのは、「燃料費の高騰」です。

近年地球温暖化や気候変動が重大な問題となっていますが、その解決に向けて、脱炭素・脱石油が強く叫ばれるようになっています。この流れを受けて、現在産油国や産油業者は石油の投資を抑えていますが、その結果世界的に燃料価格が高騰することとなりました。

燃料費の高騰は、物流や資材コストの上昇につながるため、企業側は利益を圧迫されます。ステルス値上げは、その対策という側面もあります。

ステルス値上げの意味とは?主な原因・背景5選

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