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ビジネス知識

仕事で使えるビジネス心理学79選

仕事で使えるビジネス心理学

仕事で使えるビジネス心理学一覧

仕事をしていく中で発見した、一定の法則や傾向は何かしらあると思います。それは、もしかしたらすでに誰かが提唱している心理的スキルなのかもしれません。そんな知識を先に知っておくことで、仕事を円滑に進められるとしたら便利ではありませんか?

今や恋愛や人間関係はもちろん、心理学の知識はビジネスでも切っても切り離せない存在です。

そこで、今回は「仕事で使えるビジネス心理学79選」をお届けしたいと思います。あなたの業種にも役立つスキルがきっとあるはずです。

ミラーリング

ミラーリングとは相手の行動をミラーのように真似することで、親近感を抱かせ商談などをうまく運びやすくするテクニックです。

人間は自分と似たものや人に親近感を抱きやすいという心理を持っており、これを類似性の法則と呼びます。ビジネスシーンでの活用例は、相手が笑ったらこちらも笑う、コーヒーを飲んだらこちらも飲む、などで自然な流れで行うことができます。潜在意識に働かせるものなので、相手に気付かれない程度にやることがポイントです。

単純接触効果(ザイアンス効果)

単純接触効果はザイアンス効果とも呼ばれ、広告や商品を顧客に何度も接触させることで無意識のうちに好感度を上げるテクニックです。

人間は何度も見たものや、繰り返し接触した人は意識せずとも好感度が上がっていく心理を持っていますが、これを熟知性の法則と言います。
ビジネスにおいてはプロモーション活動で積極的に使われる手法で、最近ではSNSの広告でもよく見受けられます。一度ザイアンス効果である程度の信頼関係が構築できると、一定期間目にしなくなってもしばらくは効果が続きますので、営業でも活用されています。

フット・インザ・ドア・テクニック

フット・インザ・ドアの語源は営業マンがドアに足を入れる仕草からきており、「お話だけでも聞いてもらえませんか?」という1つ目のお願いに対しYesを貰えたら、その後もYesを引き出しやすくなるというテクニックです。

人間は一度決断したことは貫き通したいという心理を持っており、これを一貫性の原理と言います。つまり、一度相手からYesを引き出せれば次もYesへと繋げやすいということです。
小さなお願いから始めて段階を追って、少しずつお願いを大きくしていくのがポイントです。社内のコミュニケーションでも活用できるスキルなので、ビジネスマンには欠かせません。

ドア・インザ・フェイス・テクニック

ドア・インザ・フェイスとは本来叶えたい要求を飲んでもらうために、最初に無理な大きいお願いをして断らせ、次の小さくしたお願いを飲んでもらうテクニックです。
上記で紹介したフット・イン・ザ・ドア・テクニックとは反対のビジネステクニックになります。

人間は借りができると申し訳なさを感じるので、何らかのお返しをしなければと思ってしまいます。これを返報性の心理と言います。

例えば、「5万円で買って頂けませんか?」という要求を断られ「では、1万円でいかがでしょう?」と大幅に値下げしたとします。その際相手からは「自分のために譲歩してくれた」という風に見え、罪悪感が生まれ、お返しとして要求を飲んでしまうのです。ビジネスでは主に営業で活用される交渉術です。

ハード・トゥ・ゲット・テクニック

ハード・トゥ・ゲット・テクニックとは「特別に」や「あなただけに」という言葉を用いて、相手の気分を良くさせて信頼を獲得するものです。
もう少しかみ砕いて説明すると、「自分は特別なんだ」という自己重要感を刺激すると、「特別な人だと思ってもらえた」と承認欲求が満たされます。この心理をうまく活用しているテクニックです。

ビジネスにおいては、新規顧客への営業トークで使えることはもちろん、会員限定サービスや会員のランクアップなどもこの手法を利用しています。
「会員様限定特別価格」や「初回の方限定キャンペーン中」などもハード・トゥ・ゲット・テクニックの1つです。

初頭効果

初頭効果とは一番最初に取得した情報の印象は残り続け、のちの評価に多大な影響を及ぼすという心理効果です。
この心理が働きやすい条件がいくつかあり、並列に情報を扱っている、一人からの情報である、受け手が観察力に自信がある、などが挙げられます。ビジネスではコピーライティングや営業トークで鍵になってくるテクニックです。

親近効果

親近効果とは一番最後に取得した情報の印象が、のちの判断を大きく左右するという心理効果です。

初頭効果と真逆に見え矛盾を感じますが、心理が働きやすい特性が異なります。親近効果の場合、反対の情報を扱っている、大勢の人からの情報である、受け手が観察力に自信がない、などが挙げられるため条件やシーンによって使い分ける必要があります。こちらもコピーライティングをはじめとしたマーケティングやビジネストークで鍵となるテクニックです。

サンクコスト効果

サンクコストとはすでに投じていて二度と戻らないお金や労力のことを指します。
このサンクコストが発生しているにも関わらず、これまでの投資を惜しみ、中断できずに投じ続けてしまう現象をサンクコスト効果と呼びます。

もったいないという心理が引き起こす行動の代表例です。実際にビジネスで起きた有名な出来事があります。イギリスとフランスがコンコルドという超音速旅客機を共同で開発していました。開発途中で採算は摂れないとわかっても、すでに投資した膨大な時間とお金がもったいなかったため、なかなか中断できず結果大赤字で終わりました。この出来事に起因して、コンコルド効果とも呼ばれています。

バーナム効果

バーナム効果とは誰にでも当てはまるであろうことを言われているのに、自分にだけ当てはまっているように感じてしまう心理作用です。

占いや心理テストはバーナム効果を活用している最たる例でしょう。ビジネスでよく見受けられる例は、メールや広告で使用する「最近疲れを感じていませんか?」などのキャッチコピーです。疲れは誰しも感じるはずですが、バーナム効果により「まさに自分だ」と思いそれが「自分のことを分かってくれている」という安心感や信頼感へと変わります。
営業や販売で顧客の本音を引き出す際などにも役に立つスキルです。

好意の返報性

好意の返報性とは、好意や嬉しい事を受け取った際に、こちらからも好意や嬉しい事を返したくなる心理のことを言います。

返報性の心理が根本にはあり、ドア・インザ・フェイス・テクニックと似ていますが少し異なります。
ビジネスにおける具体例としては、試食やサービス業などが顕著です。それぞれ、無料でおいしいものを食べさせてくれたお返しに商品を買う、丁寧に笑顔で接客してくれたからまたお店に行く、などきちんとお返ししているのが分かります。

バンドワゴン効果

バンドワゴン効果とは、多くの人が支持している物や事柄は信頼や安心を獲得しやすいという行動心理学における用語です。そもそもバンドワゴンとはパレードなどで先頭を走る楽隊車のことで、それに乗ることは「時流に乗る」といった意味を含んでいます。

ビジネスにおいてもよく見受けられる手法で、SNSでバズらせる事もこの効果の恩恵を受けられます。或いは、行列のできているお店はそれだけで「おいしそう」と思われるのもバンドワゴン効果によるものです。

スノッブ効果

スノッブ効果とは、多くの人が支持しているからこそ自分は選ばないという、需要が高まりすぎると排他性が生まれたり差別化したくなる心理のことです。
上記のバンドワゴン効果とは対になって紹介されることが多い心理効果でもあります。

希少性や差別化を主張することがポイントで、「期間限定商品」や「あなただけのオリジナル」などはこの心理効果をビジネスで活用した例です。
バンドワゴン効果と組み合わせることも可能で、「昨年完売した幻の○○が期間限定で復活」などが挙げられます。

ヴェブレン効果

ヴェヴレン効果とは、価格が高ければ高いほど欲しくなったり、良い物だと思う心理のことです。ブランド物を魅力的だと感じる心理は、まさしくこの心理的な効果によるものです。また、買える人が少ないという希少性の高さに重きを置くという意味ではスノッブ効果と近い関係性にあります。

ビジネスにおいては主に富裕層向けに行われる手法です。「セレブ御用達」という宣伝文句であったり、「最高級ホテル」といったワードも、特別感を演出しこの効果を利用しています。

アンダードッグ効果(負け犬効果)

アンダードッグ効果とは「負け犬効果」とも呼ばれ、選挙が行われる際に「劣勢だ」とマスコミが報じると、有権者は同情してしまい票を入れ、結果的に勝ってしまうという現象です。「判官びいき効果」とも呼ばれています。
人間は困っている人を助けたくなる心理を持っており、それを利用しています。

ビジネスにおいては主にマーケティング、特にCMで使われています。就活性やビジネスマンが頑張っている姿や、お母さんや子供が一生懸命な姿をCMでよく見るのはこの効果を取り入れ、商品やサービスの購入に繋げたいからです。

分析麻痺症候群

分析麻痺症候群とは、与えられた選択肢が多すぎることで一つ一つを分析しているうちにどれが良いのか混乱してきてしまい、結果的に何も選ばなくなってしまう現象のことを指します。
混乱してしまっているので、「誤った決断をするのではないか?」という心理が働いています。

ビジネスでは営業やアパレルの接客などで、特に注意が必要です。お客さんが迷っている時にあれこれオプションを説明しだしたり、他の服や靴をどんどん持ってきてしまうと選択肢が増えてしまい余計に選択できなくなってしまいます。相手にとって必要な情報・商品をきちんと見極め、精査した上で提供するのがポイントです。

オープンクエスチョン

オープンクエスチョンとは相手が「はい」か「いいえ」などの2択では答えられない質問のことです。ビジネスでは営業でよく耳にする用語ですが、コーチングや上司と部下のコミュニケーションでも使えるテクニックです。

例えば、「あなたが抱えている問題は○○ではないですか?」という質問ですと「はい」という淡泊な答えが返ってきてしまい、相手の言葉をそれ以上引き出せません。なので、「今あなたが抱えている問題はなんですか?」とあえて余白を持たせて聞くことで、相手の本音や深層心理を引き出せる可能性が高くなります。
「Why」や「What」などの5W1Hを含んだ質問を心がけると良いでしょう。

クローズドクエスチョン

クローズドクエスチョンはオープンクエスチョンの逆で、「はい」か「いいえ」などの二択で答えられる質問を指します。ビジネスでは営業の最終段階で、意志を明確にしたい時などに使います。

人間はAかBかの2択にされた場合、どちかを選ばないといけないという心理が働きます。つまりどちらも選ばないことは少ないのです。
なので、「弊社のAとBどちらの製品を選ばれますか?」と質問するとAかBどちらかで答えてくれるので、商談が成立しやすくなります。

ハロー効果

ハロー効果とは何か大きな特徴があると、全体の印象がそれに引きずられてしまうという心理作用です。

ポジティブ・ハロー効果とネガティブ・ハロー効果の2種類あり、前者は高学歴だと頭が良くて信頼できそう、後者は高卒だから仕事ができなさそうといった具合です。実際には学歴と信頼できるか、仕事ができるかは直接関係があるわけではないですが、全体の印象に作用しています。

ビジネスマンは特に外部の人とコミュニケーションを取る場合、ハロー効果を考慮すべきです。例えば、スーツも髪も綺麗にビシッと決まっていると賢そうに見えたり、結婚指輪をしていると既婚者だから安心して話をしてもらえたりすると言うのはハロー効果によるものだと言われています。

ホット・リーディング

ホット・リーディングとは、相手の情報を事前に調べておき、営業などのビジネストークにその情報を活用させて場を暖める手法のことです。

例えば、相手のFacebookやTwitterを見てボルダリングを最近始めたという情報を得たとします。それを商談前の雑談で「実は最近ボルダリングに興味がありまして……」とトークに取り入れると、「私も最近興味を持って始めたばかりなんです!」と自分と同じ要素があることに心理的な安堵感を生みます。

結果的に場を和ませることに繋がるので、相手の本音を引き出しやすくなります。

コールドリーディング

コールドリーディングはホットリーディングと違い即興性があり、相手の表情や仕草、言葉から思っていることや心理を推測し、こちらの思惑に誘導していくテクニックです。営業などのビジネストークで活用されます。

例えば、個人営業のお客さんで左手の薬指に指輪をしていたとします。この場合、結婚している人がほとんどなので、配偶者がいます。配偶者がいるということは、子供がいたり養わなければならない対象がいる可能性も高いので、経済状況を会話や服装などでできる限り推測します。そして、そのお客さんに最もぴったりなプランを導き出し提案したりするのです。

観察力やコミュニケーション能力、共に高くないとできないスキルでしょう。

認知的不協和

認知的不協和とは自分の中で起きている事柄に矛盾があると、居心地が悪くて不快感を覚えるという社会心理学で提唱されている現象です。さらに、その不快感を解消するために矛盾しているどちらかの行動や思考を、他方に寄せてしまいます。

もう少しかみ砕いて説明すると、「健康のためにジムに毎日通おう」と決断したとします。しかし、三日坊主ですぐに挫折してしまった時に「あのジムは人が多くてストレスだから辞めたほうがよかった」と整合性を取ろうとしてしまう状態です。

ビジネスにおいてはマーケティングのコピーライトで効果を発揮します。
【聞くだけで英語がマスターできます】といったコピーライトを見た時に「聞くだけでできるわけがない」と考えるのではなく、「今まで勉強しても続かなかったのは仕方がない、もっと効率的な方法がやっぱりあったんだ」と心理的に作用するしくみです。

カリギュラ効果

カリギュラ効果とは、禁止されている事項ほどやりたくなってしまう心理作用です。やってはいけないと思うと気になってしまい、行動に移してしまいます。「絶対に誰にも言わないでね」と前置されて聞いた秘密は、つい誰かに話したくなってしまうものです。

ビジネスでは実際にマーケティングにおいて活用されています。CMやWEB広告で【面白すぎるので、開かないでください】といったゲームや漫画などの宣伝文句を見たことがあるかと思います。これはカリギュラ効果を利用している代表例です。

カクテルパーティー効果

カクテルパーティー効果とは、自分の名前や親しみのある単語、或いは気になる人の話していることはパーティーのようなガヤガヤした場所でも聞き取れるという不思議な現象です。居酒屋で飲んでいて違う卓の人達が偶然自分の名前を発していると、振り向いてしまったりする現象は経験がある方も多いと思います。

ビジネスにおいてはマーケティングで活用すべき効果です。例えば、配信しているメールで冒頭に顧客の名前が入っていると、目に入りやすくなり読んでもらえる確率が上がります。或いは、営業などでも「みなさんに」というのではなく「○○会社様に」とあえて呼ぶことで、心理的にも聴覚的にも注意を引き付けることができます。

ラベリング効果

ラベリング効果とは、他人に貼られたラベルどおりに人は行動してしまうと言った心理効果です。
例えば「〇〇君は遅刻グセがある」といったラベルを他人が貼ると〇〇君は遅刻するようになったり、一度諸事情で納期が遅れてしまったのに「○○は仕事が遅い」と決めつけると仕事をゆっくりとやるようになったりとします。

また、ラベリング効果はネガティブな効果だけでなく、ポジティブなラベルを貼ることで本人に暗示をかけポジティブな行動を促すこともできます。
例えば「○○さんは物分かりがとても良いですね」と言うと、そうであろうとする心理が働くので話を受け入れてもらいやすくなります。営業やビジネストークにおいて使えるテクニックです。

バックトラッキング

バックトラッキングとは、所謂「オウム返し」のことを指します。相手の発言をそっくりそのまま返すことで相槌を打ち、安心感や信頼感を増幅させる心理作用があります。
例えば「昨年は大変でした」という発言に対し、「昨年は大変だったのですね」と返します。すると「そうなんですね」と返すよりも、相手は共感されているように感じます。

営業やカウンセリング、コーチングなどのビジネスシーンではもちろん、プライベートの会話でも活用することで、相手の話を引き出しやすくなります。

両面提示の法則

両面提示の法則とは、勧めたい製品やサービスのメリットとデメリットの両面を提示することで、信頼してもらうテクニックです。

例えば、家電量販店などで、販売員にメリットばかり伝えられても「売りたいんだな」と思ってしまいます。しかし、そこであえてデメリットも提示されると「自分のことをちゃんと考えてくれている」と感じ、販売員に信頼感が生まれメリットも素直に受け入れやすくなります。結果的に実績に繋がりやすいのです。

ビジネスでは営業でも抑えておきたポイントですし、家電やアパレルの販売員にも活用できる心理的テクニックです。

片面提示の法則

片面提示の法則とは、両面提示の法則と逆の手法で、メリットかデメリットのどちらかのみを伝えることで、何らかの行動を促す心理テクニックです。
こちらの場合は、相手に知識があまりなかったり、こちらに好意をある程度持っている、ロジカルな説明を好まない人に対して有効な手段です。

ビジネスの例としては、高級ブランド店でデメリットを説明する販売員はあまり見たことがありません。これは片面提示の法則に則っていて、そもそもそのブランドが好きで訪問していることがほとんどだからです。また、ロジカルな説明よりも感情に訴えかける説明のほうが女性は心が動きやすいので、女性に対しても使いやすいでしょう。

ローボールテクニック

ローボールテクニックとは、最初のハードルを極端に低くすることで行動を促し、その後に高くしたハードルも越えさせるテクニックです。一度決断したことは貫き通したいという一貫性の原理を利用しています。

例えば、動画配信の定額サービスで「初月無料」はどのサービスでも行っています。2月目は解約手続きを単に忘れてしまう人もいますが、「このまま色んな動画が観たい」という心理が働いてサービスを継続する人が多いのも事実です。無料コンテンツが続々と出てきている昨今、欠かせないビジネステクニックでしょう。

メラビアンの法則

メラビアンの法則とは、話し手が聞き手に与える印象は、話し手の外見や身振り手振りで半分以上決まるという法則です。

実際のパーセンテージは

・話す内容(言語情報)…7%
・声色、話し方(聴覚情報)…38%
・外見、身振り手振り(視覚情報)…55%

となっておりこの数字を取って「7・38・55ルール」とも呼ばれています。

プレゼンや商談などビジネスにおいて大事な局面は、視覚情報で半分以上決まってしまうのが人間の心理です。身だしなみを整えることや、身振り手振り、表情なども鏡を見てチェックする必要があります。

セルフマニピュレーション

セルフマニピュレーションとは、自分自身をコントロールすることで、自信を持った態度を表出させるテクニックです。話者がおどおどしていたり、声が小さかったり、伏し目がちだとどんなに内容が良くても、説得力が下がってしまいます。そこで、自身をコントロールし堂々とした態度で話をすることで、相手に安心感を与えます。

ビジネスにおいて、プレゼンや商談で複数人を前にして話すことは避けられません。大勢を前にすると緊張してしまうことももちろんありますが、相手の目をきちんと見たり、はっきりと聞き取りやすい話し方を心がけることで、成功率を上げていくのがセルフマニピュレーションです。

セルフプレゼンテーション

セルフプレゼンテーションとは、聞き手にどんな印象を持ってほしいか具体的に想像し、話す内容や話し方を変えてそれを実現するテクニックです。「見られている」という心理作用を利用するのです。

プレゼンや商談ではどうしても一辺倒で話をしがちなのですが、聞き手の状況は変わることが多いのでそれでは成功率が下がってしまいます。自分を客観視することで、今の聞き手にはどんな印象を持たれるべきなのか分析し、相手の視点に立って伝えることが大切です。

ビジネスにおいては、プレゼンはもちろん、教師など人前に立つ仕事をしている人にも有効なスキルです。

ラポールトーク

ラポールトークとは、相手と信頼関係を構築する心理テクニックです。
例えば現実的なビジネストークのみになってしまうと、相手の感情を動かすことは難しくなります。そんなときにビジネスとは関係のない親しみやすい話をするなどで、信頼関係を築きくことで、感情が動くと行動にも反映されますので、共感や信頼などを生みやすく成約につながる可能性が高くなります。

営業や販売の仕事をしている人には持っておくべき一つのテクニックでしょう。自然に挟むことが大事で、商談であれば待ち合わせしてから会議室に入るまでの道のり、販売であれば持っている物に対して「その○○素敵ですね。私も欲しいと思っていました。」などと挟むと有効です。

リポートトーク

リポートトークはラポールトークと対照的で、必要な情報のみを話すことを指します。こちらの場合、ラポールトークを不必要な会話と感じる人には心理的に有効な手段です。
ロジカルな会話を好む人やスマートなビジネスマンにはリポートトークのほうが合っていることが多いです。

ポイントは事実を正確に、わかりやすく伝えることです。この積み重ねが信頼へと繋がるので、メリットとデメリットの両方を伝える「両面提示の法則」を取り入れると良いでしょう。

イエス・バット法

イエス・バット法とは相手の意見を一度受け入れてから、否定するトークスキルです。頭から否定を述べてしまうと、攻撃的という印象を与えかねないので、一度受け入れる姿勢を見せるのです。

例えば「これは時間がすごくかかりますよね?」という否定的な疑問に対し、「確かにそうですね。しかし、その時間に見合った効果をお約束します。」といった具合に肯定のワンクッションを挟みます。すると、受け入れた上で否定の意見を述べているので、嫌な印象を持ちにくいです。

主に営業で活用されるトークスキルですが、社内や社外問わずビジネスパーソンは心がけておくべき心理的テクニックです。

クレショフ効果

クレショフ効果とは、関係のないいくつかの事柄を連続で見せると、そこに関係性を創り出してしまう心理効果のことを指します。

例えば、笑っている女性の写真と犬の写真、この2つを連続で見せたとします。2つに繋がりは全くありません。しかし、見せられた人は「この女性は動物を愛する優しい性格」と感じてしまうのです。

ビジネスでの活用方法としては、パワーポイントなどの資料作成で効果を発揮するでしょう。一見、商品とは関連性のない営業マンも信頼や安心感を与えることができれば商品自体にも良い印象を持たせることができます。

プラシーボ効果

プラシーボ効果とは、ある特定の効果があると思い込ませることで、それを実際に感じてしまう心理的な錯覚のことです。例えば、何の成分も含まれていない錠剤であったとしても、「安眠作用がある」と思い込むことでよく眠れてしまったりするのです。

この効果を実際に商品プロデュースなどで活用するわけにはいきませんが、ビジネスマンにもセルフコントロールとして適用することはできます。例えば、「このタブレットを食べるとスイッチがオンになる」と思い込むことで、実際にスイッチを切り替えるきっかけにできます。

アンカリング効果

アンカリング効果とは、最初に与えたられた情報によって、その後の意思決定に大きな影響を及ぼすと言った心理効果のことです。
例えば「今なら10,000円」と表示するよりも「定価30,000円→今なら10,000円」と記載するとことでアンカリング効果により消費者の購買意欲を促進することができます。

また、ビジネスではマーケティングで主に使われていますが、社内のコミュニケーションでも活用ができます。「昨日遅くまで残業して大変でした」というのを「昨日12時の終電ぎりぎりまで残業して大変でした」とすることで、会話に印象深さが生まれます。

情報の最初に具体的な数値などを載せることで印象深くさせ、その後の行動を促す心理テクニックのことです。

マジックナンバー3とマジックナンバー7

3という数字に人間は調度良いという感覚を持っており、これをマジックナンバー3と呼んでいます。具体例を挙げる時、3つが圧倒的に多い理由がマジックナンバー3によるものです。2つだと少なくて心もとない、4つだと多くてくどいと感じるので3つが調度良いのです。

また、短期的に記憶しておける数が7個前後なので、マジックナンバー7と呼ばれています。

共に素数であり数字として独自性の強さがあるため、心理的に注意を引きやすいという特徴を持っています。ビジネスではマーケティングの基本として「3、5、7」は抑えておくべき数字です。

ピグマリオン効果(教師期待効果)

ピグマリオン効果とは、人に褒められたり期待されると、その分成果を出すことができる現象のことです。教育心理学における用語であり、「教師期待効果」とも呼ばれています。褒められることでモチベーションが上がったり、やる気を持ち直した経験は誰しもあると思います。

ビジネスでは教師やインストラクターの職についている方はもちろん、部下や後輩の教育においても応用できる効果です。期待した分だけ成果がきちんと出るので、教育する側もされる側にもメリットのある方法なのです。

ゴーレム効果

ゴーレム効果とは、人から期待をされずにむしろ悪い印象を持って接されると、その通りに悪い成績が出てしまう現象です。こちらも教育心理学で提唱されています。
悪い印象というのは接する際、態度に滲み出てしまうものです。それを受け取ってしまうと志気が下がり、芳しくない結果へと繋がってしまいます。

ゴーレム効果は悪循環に陥りやすく、悪い成績が出るともっと悪い印象を持たれてしまうので、パフォーマンスがどんどん低下してしまいます。それはお互いにとってデメリットしかないので、教育の分野で働く人も、人材教育の分野で働くビジネスパーソンも気を付けておきたい事項です。

アンダーマイニング効果

アンダーマイニング効果とは、自らやろう、達成しようと思っていた「内発的動機づけ」に対し、外部から口出しされる、報酬を与えられるなどの「外発的動機づけ」が行われることによって、モチベーションが下がってしまう心理現象を指しています。

代表例は、子供が漫画が読み終わったら宿題をやろうと思っていたのに、親から「宿題やりなさい」と口を出されたことによってやる気を失ってしまう現象です。
また、普段から自発的に勉強をしている子供の成績をもっと伸ばそうと成績に応じたお小遣い制といった外発的動機づけを行うと成績が落ちてしまうと言った現象のことです。

自発的な行動に対しては、周囲が見守ることでやる気が維持される場合もあります。教員はもちろん、インストラクターやコーチングの仕事をしているビジネスパーソンも、知っておくべき知識でしょう。

エンハンシング効果

エンハンシング効果とは、周囲の人から褒めらえる、報酬を与えられるなどの「外発的動機づけ」が行われることによって、やる気やモチベーションがアップする心理現象を指しています。褒めて伸ばす手法の一つであり、アンダーマイニング効果と対局の関係性にあります。

仕事中に栄養ドリンクやお菓子を不意に差し入れられると、やる気がアップする人もいますが、これがエンハンシング効果によるものです。

アンダーマイニング効果とエンハンシング効果の2つを人によって使い分ける必要があり、教育分野をビジネスにしている人はどちらも心がけておくと良いです。

スリーパー効果

スリーパー効果とは、信頼性の低い情報であっても、時間が立つことによって信頼性の低さが失われてしまい情報の信頼性が増してしまうと言ったものです。
これは、簡単に言えば、人は情報の内容を忘れてしまうと言った現象よりも、情報の信頼性を忘れてしまう方が早いことによって生じると言われています。

つまり、時間が経てば「誰が言っていたか」よりも「何を言っていたか」が思い起こされるのです。ただし、与えられた情報にインパクトが大きいことが条件となっています。

ビジネスでは主に営業で応用できます。例えば、新人の頃は、顧客と信頼関係も築けていませんし、先輩や経験豊富な人のほうが有利なはずです。しかし、スリーパー効果を活用しインパクトの強いメリットを伝えておけば、時間をおいて訪問した際に好感触が得られるはずです。

プライミング効果

プライミング効果とは、先に知覚した情報にその後の判断が無意識に左右される、という心理作用です。例えば「好きな色はなんですか?(例:赤)」という質問を先にした上で「好きな果物はなんですか?(例:りんご・いちご)」と聞くと、好きな色の果物を答える確率が高くなります。

ビジネスでどのように活用するかというと、アンケートなどで応用可能です。例えば「読書はしますか?」という質問を置くことで、本に対して意識を向かせます。すると潜在意識に本が刷り込まれるので、購入へと繋がりやすくなるしくみです。

ロミオとジュリエット効果

ロミオとジュリエット効果とは、何かの目的を達成しようとするときに困難や障害があったほうが熱量が上がる心理作用です。ロミオとジュリエットが誰も賛成してくれない恋愛だったからこそ燃え上ってしまったという、あの有名なお話が名前の由来です。

ビジネスではマーケティングで活用できるテクニックです。例えば、「ご当地限定」や「来場者限定」など、なかなか入手できないからこそ欲しくなる気持ちに火が付きます。また、あえて品薄状態にすることで入手困難さをアピールすると購買意欲をそそります。

噴水効果

噴水効果とは、デパートやショッピングモールで1階や地下に食料品街などを充実させ、集まった人をそのまま上の階にも流すことを指しています。

まずは、お店の中に入ってもらわなければ売り上げには繋がりません。中に入ってもらえれば人の流れもできていますし、広告やアナウンスなど視覚情報、聴覚情報共に取得してもらえます。「ついでに買っていこう」という心理を促進するビジネステクニックです。

しかし、現在では目的を定めて購入するお客さんが増えているため、以前に比べると効果は減っているようです。

シャワー効果

シャワー効果とは、デパートやショッピングモールにおいて、お店の最上階やフロアの奥でイベントを行うことで、別のフロアや目的ではなかった物も購入へと繋げて貰うビジネススキルです。

最上階に行くエスカレーターであったり、フロアの奥へ進む道のりにもたくさんの商品を目にします。その間に、ふと目に入ったものが急に欲しくなる人もいるはずです。商品をたくさん見てもらうことで購買意欲をそそる心理アプローチです。

しかし、こちらも以前に比べると効果は減っているそうなので、現在では別の戦略も必要でしょう。

左回りの法則(右側の法則)

人間は無意識に左へと傾く習性があるため、左の道を選んだり、左回りに歩くことが多くなります。これを左回りの法則といいます。

コンビニやスーパーはこの法則に則って、配置を左回りにしているところが多いです。これは心理的な作用というよりは、右利きの人の多くが左手でかごを持つため、左回りのほうがスムーズに買い物ができるのが一番の要因のようです。故に、右側にディスプレイがあるほうが好まれるため「右側の法則」とも呼ばれています。

右回りから左回りにしただけで売り上げが上がったという例もあるので、小売店が抑えておくべきビジネススキルといえるでしょう。

松竹梅の法則(極端性回避の法則)

松竹梅の法則とは、値段の違う商品が3つ並べられている時、その特徴に差異があまり感じられないと真ん中の値段の商品を選んでしまうという心理作用です。

「一番高い」と「一番安い」は極端であり、選択しにくいものです。高ければ値段に見合っていない可能性を考えますし、安ければ質が悪いことを疑います。そのため、「極端性回避の法則」とも呼ばれています。

ビジネスに活用するコツとしては、一番売りたい値段を真ん中に設定することです。そこを基準にしてあとの2つの値段設定を上と下で定めましょう。

カチッ・サー効果

カチッ・サー効果とは、何か依頼や要求をするときに、理由を添えるだけで承諾率が飛躍的に上がる心理現象を指しています。テープレコーダーの再生ボタンを押したときに鳴る「カチッ」という音と、そのあとの砂嵐の「サー」という音が名前の由来です。

具体的にどれくらい上がるのかについて例を出します。
心理学者エレン・ランガーの実験によると「先にコピーを取らせていただけますか?」という要求だと承諾率が60%なのに対し、「急いでいるので、先にコピーを取らせていただけますか?」だと承諾率は94%まで上がります。

ビジネスでは商談や交渉で大いに活用できるスキルでしょう。

カタルシス効果

カタルシス効果とは、不安や緊張を感じた時に思いや感情を吐露することで、安心し安堵するという心理効果です。人に話を聞いてもらうこともそうですし、日記などで文章に起こすのも当てはまります。映画で思いっきり泣いたらスッキリした、という体験はまさにカタルシス効果によるものです。

ビジネスシーンではカウンセラーなどの職についている方はもちろん、部下や後輩のマネジメントなどでも活用することができます。

フォールス・コンセンサス効果(偽の合意効果)

フォールス・コンセンサス効果とは、自分の意見や行動は多数派であり、みんな同じような言動のはずだと思い込んでいる現象のことです。何の根拠もないのに「みんな言ってる」や「みんなやってる」という言葉を吐いているのがまさにこの心理状態です。

確証が全くないのに多数派の賛同があると思い込んでいることから「偽の合意効果」とも呼ばれています。

ビジネスにおいても考慮すべき効果で、サービスや商品を作る側の人間は思い込みを取り払わなければなりません。「これは女性には全く需要がない」であったり「お年寄りにしかうけない」なども、第三者の意見を取り入れることで覆る可能性があるということです。

一貫性の原理

一貫性の原理とは、一度決断したことはその後も貫き通したくなるという心理作用のことです。小さな要求を承諾してもらえると、その後の要求も承諾されやすくなるという「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」はこの原理を利用したものですが、他にもビジネスでの活用方法があります。

例えば、試食や試着などは代表例です。お金もかかりませんし、「少しだけ」と気軽に手を出してみますが、試すだけ試して離れるのも申し訳なさが生まれます。或いは、アンケートなどで肯定しやすい質問を並べ、商品やサービスに興味を持たせて購入に繋げる手法もあります。

ウィンザー効果

ウィンザー効果とは、当人からではなく第三者からの意見だと信憑性が増し、受け入れやすくなるとう心理効果です。

実際に商品やサービスを制作した会社が「良い商品だ」と主張するのは当たり前ですし、だからと言って購入しようともなかなか思えません。しかし、口コミやレビューで高評価だと途端に意見が信用でき、すぐにでも買いに行く人もいます。

テレビでダイエット効果があると紹介されたり、SNSでバズると次の日には品切れや品薄になる現象は、このウィンザー効果の威力を物語っています。SNSがビジネスで欠かせない今、必須のテクニックでしょう。

ただし、第三者に利害関係がない場合にのみこの効果を発揮します。

類似性の法則

類似性の法則とは、自分と似たものや人に親近感を抱いてしまう心理現象のことです。初対面でも地元が一緒だと、途端に話に花が咲くことがあるように、共通点があると嬉しくなるものです。

営業など外部のお客さんと接する機会の多いビジネスマンには必須のテクニックでしょう。雑談ができるタイミングで「実は私も…」と似たようなバックグラウンドや共通点など、小さなことでもお話すると心の距離が縮まります。

相手の動作をそっくり真似するミラーリングも類似性の法則を利用したものです。

バイヤーズリモース

バイヤーズリモースとは商品を購入した直後に急に後悔してしまう心理現象を指します。しかも、商品が高額であればあるほど、この後悔は大きくなります。

どれにするか迷ったりしている購入までの過程でテンションは徐々に上がっていき、買っている瞬間が最高潮に達します。その後は、「本当にこの商品でよかったのか?」や「他の人にも相談すべきだったんじゃないか?」など不安になってしまうのです。

ですので、販売や営業をしているビジネスマンは購入後のアフターケアをすることで、リピート率を上げることができます。お礼状や定期的な連絡などで「自分の選択は間違いなかった」と安心させてあげましょう。

フレーミング効果

フレーミング効果とは、たとえ中身が一緒だったとしても表現方法が変われば、相手の受け取り方も変わってくるという心理作用です。

例えば、「10回に1回は失敗する」と「90%成功する」だと圧倒的に後者の印象が良いです。しかし中身は全く同じことを言っているので、表現方法で印象は180度変わります。

ビジネスでは、営業トークではもちろんマーケティングにおいて、キャッチコピーにも活かすべきテクニックです。ポイントは、「逆の視点から見ること」と「ポジティブな表現をすること」の2つにあります。

マッチングリスク意識

マッチングリスク意識とは、商品やサービスの購入前にリスクを考え始め、不安になる心理作用のことです。価格が高いものになるほど「金額に見合ってなかったら嫌だな」ですとか「自分に合わなかったらどうしよう」と考えてしまうものです。

これをビジネスで回避する方法としては、長期保証や返金保証、無料サンプルの配布などがあります。不安を感じるということは気になっている証拠なので、購入や継続に繋げられる可能性は高く、上記のような策を講じる価値があります。

決定回避の法則

決定回避の法則とは、選択肢が多すぎて選ぶのに時間がかかり、1つに絞れなくなる現象の事です。最終的に何も選ばなくなる可能性が高いので、ビジネスでは小売店や飲食店は特に注意しなければなりません。

例えば、飲食店で「オススメは何ですか?」と聞いてくるのは、決められなくなっている心理状況の可能性が高いです。ですので、店員はいくつも候補を挙げるのではなく、自信をもって1つオススメを教えてあげるほうがかえって親切な場合があります。

現状維持の法則

現状維持の法則とは、変化することに恐れを感じ、過去と同じ選択をすることで現状維持を保ってしまう心理現象のことです。人間には本能として変化しないようインプットされており、多かれ少なかれ誰もがこの感情を持っています。

ですので、大きな買い物や習い事など、生活習慣に変化の起きるものはどうしても避けたくなってしまいます。個人営業をしているビジネスマンは、人間にはこの心理があることを心がけ、勇気付けるトークを持っておく必要があります。

ディドロ効果

ディドロ効果とは、気に入った物を一つ購入すると、それと雰囲気が似た物で揃えたくなる心理作用のことです。同じブランドで身の回りの物を揃えたり、インテリアに統一性を持たせるのもディドロ効果によるものです。

ビジネスで活用するメリットは、顧客単価を上げられることやリピーターを増やせることにあります。そのために、自社ブランドの世界観をアピールすることや、ラインナップを豊富にすることも必要ですし、初回購入時のハードルを下げておくのも大事なポイントです。

ツァイガルニク効果

ツァイガルニク効果とは、完成、完結している情報よりも未完成で中途半端な情報のほうが記憶に残りやすいという心理効果のことです。目標達成した事よりも、未達成の事のほうが思い出しやすいことから、この説は提唱されました。

ビジネスにおいては主に広告で使用されています。キャッチコピーで「続きはこちら」や「○○の真相とは!?」などがよく見られる例です。テレビでも次回予告を入れたり、盛り上がっているクライマックスでCMを挟んでいるのはこの効果を利用しているからです。

ブーメラン効果

ブーメラン効果とは、善意で何か行ったり発言したことが、図らずも不利益となって返ってきてしまう現象を指します。

具体例としては、大企業がなかなか発展しない中小企業のために自社の技術や情報を公開したところ、中小企業が目覚ましい発展を遂げ大企業を脅かすほどになってしまった、といったものです。ビジネスにおいてはいくら善意があっても、最低限のリスクヘッジは必要です。

心理学の分野では、説得すればするほど相手が拒否したくなる、という少し違った意味で使われます。

テンション・リダクション効果

テンション・リダクション効果とは、決断が必要な高価な買い物をしたあとは財布のひもが緩んでしまう心理作用です。高価な買い物の時は、決断が必要ですから緊張状態がピークに達します。買うと決断ができるとその緊張が緩むため、この現象が起きてしまいます。

そして、この効果は商品の関連性が強く、価格差が開いているほど発揮しやすいです。
例えば数百万円もする車を購入した直後は、数万円のオプションを安く感じてしまい購入しやすいと言ったものです

ビジネスでは、車の販売のオプション以外にも、高級ブランド店でもう一品勧めるなどで活用ができます。購入を決断してから、別の何かを勧めるほうが心理的には受け入れやすいのです。

保有効果

保有効果とは、自分が保有している物には特別な価値を感じ、手放したくなくなる心理現象のことです。これは、保有期間が長い程効果を発揮します。

ビジネスではマーケティングで主に活用されています。返金保証制度が良い例です。満足がいかなければお金を返してもらえるので、とりあえず購入や契約をしてくれます。そして、保証期間ギリギリになるまで保有していると、保有効果により手放したくなくなるので、解約はあまりされないのです。

そのため、リスクがあるように感じますが保証期間は短いとあまり意味がなく、保有効果を発揮するくらいの期間を必要とします。

シャルパンティエ効果

シャルパンティエ効果とは、実際には2つの物の内訳や値は一緒なのに、思い込みでどちらかのほうが上回っていると錯覚してしまう心理効果です。例えば、「お米1kg」と「ティッシュ5箱で1kg」はお米のほうが重そうに感じる人が多いのですが、実際のところの重さは同じです。

ビジネスではマーケティングでよく使われます。「1日分の○○」などが良い例です。「ビタミンCを1000mg」などで表すよりも、「レモン10個分のビタミンC」と言ったほうが身体に良さそうですし、必要性を感じます。

権威への服従原理

権威への服従原理とは、権力や地位を持っている人の意見は全て正しいと思い込んでしまう心理現象を指します。これが閉鎖的空間ではより強まり、権威を持った人からの指示であれば残虐なことさえも正しいと思い込んで行ってしまうことを「ミルグラム効果」と言います。

ビジネスではマーケティングで活用されています。例えば、広告に専門家の称賛の意見や、著名人のコメントを入れると、その意見は基本的に正しいと思ってくれますので、購入してもらえる確率が高くなります。

文脈効果

文脈効果とは、前後関係により言葉や事象が補填された形で認識できる心理効果のことです。例えば、「おかしいですね」という返答は面白いという意味なのか、違和感があるという意味なのかは前後の文脈によって瞬時に把握できます。

これをビジネスにおいてどう活用するかと言うと、例えば飲食店の付属品です。食べ物を載せているお皿が、美しく高級感のあるデザインならば、食べ物そのものも高級でおいしいだろうと思いやすくなります。体験そのものの満足度が上がるので、リピーターができたり売り上げに貢献したりするでしょう。

プロスペクト理論

プロスペクト理論とは、損失が発生しそうであれば損失回避を最も優先し、たとえ利益を得られる可能性が高かったとしても、リスク回避を最優先にしてしまう心理を指しています。

例えばこんな事例があります。

コインを投げて裏か表、どちらが出るのかで報酬または損失が発生します。

・表:10万円貰える
・裏:5万円失う
※但し、このゲームに参加しないのであれば確実に2万円貰えます。

この場合、多くの人がゲームに参加せずに2万円を確実に得ようとします。

ビジネスにおいてこの理論をどう活用するかと言うと、例えば「購入者の中から抽選でお一人に全額キャッシュバックキャンペーン」などが挙げられます。キャンペーン期間が終わると確実に全額払わなければならない、つまりリスクが発生してしまうので、購入や契約を早めたり促進させる効果が見込めます。

ピークエンドの法則

ピークエンドの法則とは、体験した事柄のピーク時と一番最後の感情によって、その体験全体を判断する、という心理作用です。

例えば、初めて行った飲食店の感想は食事をしているピーク時と帰りにお見送りと行ったエンド時の感情によって決定します。

実際に「短い時間に激痛を味わう」実験と「長い時間に渡るが同じ激痛が少しずつ和らいでいく」と言った実験の両方を行った場合、痛みが長時間続くにも関わらず後者を選ぶ人が多いと言った結果ができました。

ビジネスでこの法則を活用している事例は、営業やプレゼンで見受けられます。受け手のピーク時の感情が良くても悪くても、ピーク時と最後の印象がそれよりも良ければ、全体の評価を底上げできます。ですので、例え話の途中で顧客や聞き手の反応が悪くても、ピーク時を意識し諦めずに最後の締めをきっちりと行う心掛けが大切です。

ネームレター効果

ネームレター効果とは、相手の名前を会話中に呼ぶことで好感度が高くなる心理効果です。
人間は自分の名前に含まれる文字を無意識に好む傾向があります。「たろう」であれば「た」、「ろ」、「う」この3つの文字を含んでいる名前の物を選んでいる可能性が高いのです。

ストループ効果

ストループ効果とは、それぞれ意味の異なる2つの情報を一度に取得すると、状況把握まで時間がかかってしまう心理現象のことを指します。

例えば、「青」という文字が「黄色」で書かれている紙を見せた時に、「文字の色はなんですか?」と質問すると「黄色」という答えがスムーズに出てきません。

これは2つの情報がぶつかり合ってしまいストレスを感じるために起こるので、ビジネスではデザイナーの方は考慮すべきです。文字の情報と色や雰囲気などのデザインに整合性が取れていないと、離脱率を上げる原因になりかねません。

罰への欲求

罰への欲求とは、幸せなことやいいことが続くと、次は不幸が訪れたり嫌なことが起きるんじゃないかと不安に思う心理現象のことです。人間は幸せと不幸は偏らずに等しく訪れるものだと考えているため、この現象が起きます。

ビジネスではマーケティングで活かすことができる心理現象です。例えば、ジムの入会を促したい時に「楽に健康的な身体が手に入る」と宣伝すると、「そんなはずはない」とどこかに大変なことを探します。ですので、「大変ですが一ヶ月で結果を出せます」と言われると、幸せと大変なことのバランスが取れているので安心しやすいのです。

同調現象

同調現象とは、自分が少数派だと不安に感じ、多数派へと流されてしまう心理現象のことです。例えば、挙手で多数決をとる際に、自分が挙げようと思っていた項目で誰も反応を示していないと、不安になり別の項目へと変えてしまう、このような現象です。

ビジネスではマーケティングで効果を発揮しやすいです。多くの人が支持している物や事柄は信頼や安心を獲得しやすい、という「バンドワゴン効果」も同調効果の一つであり、「No.1」や「今売れています」などの文言があるだけで、商品やサービスが信頼されやすくなります。

ベビーフェイス効果

ベビーフェイス効果とは、赤ちゃんのような大きい瞳や小さくムチっとした身体といった特徴を見ると、純粋無垢なイメージを持つため、安心感を抱きやすい心理効果のことです。赤ちゃんだけでなく、子犬やキャラクターでも同様の効果を得られます。

ビジネスではマーケティングのデザインの観点で、注力すべきポイントです。例えば、化粧水やクリームの広告で赤ちゃんがいると、「オーガニック」や「肌に優しい」を連想しやすいです。或いは、可愛らしいキャラクターやゆるキャラも、ブランディングに大きく貢献してくれます。

吊り橋効果

吊り橋効果とは、緊張や不安を感じて心拍数が上がっていると、一緒にいる相手に恋愛感情を抱いていると錯覚してしまう心理現象のことです。吊り橋を一緒に渡っていると、怖くてドキドキして相手を好きになってしまうためこの名前が付けられています。

心拍数が上がっているのが、緊張によるものなのか恋愛感情によるものなのか、人間は区別できません。なので、一緒にドキドキする体験をすると錯覚してしまうのです。

ビジネスでの活用方法は、スリリングな映画やゲーム作品のプロモーション方法に取り入れたり、婚活イベントで恐怖体験を組み込むのも良いでしょう。

希少性の原理

希少性の原理とは、希少性が高いほどその物の価値も高く感じるという心理効果です。そもそも、日用品は別として、服や家電などはいつでも手に入る物であれば、今すぐに買おうとはなかなか思えません。ですので、ある程度の限定性があると購買意欲をそそることができます。

ビジネスでは、すでに希少性の原理はよく使われています。「限定30食」や「ここでしか買えない」などは、まさにこの効果を狙っています。つまり、売りたい物によってはあえて品薄状態にしたり、生産量を少なくするのも一つの手段なのです。

サトルクエスチョン

サトルクエスチョンとは、相手の状況や言葉からある程度物事を推測し、それを織り交ぜた質問をすることで、相手の話を引き出しやすくするテクニックです。

例えば、がたいが良い人にこんな質問をします。
「体格良いですね。毎日ジムに通ってらっしゃるんですか?」
ここでのポイントは「毎日」とあえて決めつけてしまうことです。

違った場合には否定したくなる心理が働くため、このような形で自分から状況を教えてくれます。
「ジムには通っていますが、毎日ではないですね。週3くらいです。」
そして、当たっていた場合でも、そこから話を広げやすくなります。

ビジネスではカウンセリングにおけるヒアリングであったり、営業の雑談をする際などで活用ができます。

二者択一法

二者択一法とは、質問内容を二択にして答えやすくすることで、会話をスムーズにする心理テクニックです。選択話法とも呼ばれています。

例えば「週末は何をされますか?」という質問だと、答えにくさがあります。プライベートな話をすべきなのか、習慣にしていることを話すべきなのか迷うポイントが多すぎるためです。そこで、「週末の過ごし方はインドアですか?アウトドアですか?」と2択にすることで、迷うポイントを少なくします。

ビジネスでは営業トークで大いに活用ができます。前述したように会話をスムーズにすることも可能ですし、「AとBでしたらどちらの方がお好みですか?」など限定した領域で答えさせることができるからです。

仕事で使えるビジネス心理学

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