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ビジネス知識

EU非加盟国一覧と非加盟の理由14選

EU非加盟国一覧と非加盟の理由

EU非加盟国一覧と非加盟の理由

現在27ヵ国から成るEU(欧州連合)は、1993年の設立以降、巨大な経済同盟として世界的に大きな影響力を発揮してきました。ただ、ほとんどヨーロッパと同義というイメージがあるEUですが、実際はヨーロッパの全ての国が加盟しているわけではありません。また、加盟を望みつつも、現在まで叶っていない国もたくさんあります。そうしたEU非加盟の国々は、どういった背景を抱えているのでしょうか。

本記事では、EU非加盟国を一覧で紹介するとともに、それらの国が加盟しない(できない)理由について解説していきたいと思います。

スイス

スイス(スイス連邦)は、ヨーロッパ中央部に位置する国です。文化的には西欧に属するスイスですが、EUには加盟していません。スイスがEU非加盟である理由としては、第一に「政治的な安定性や安全保障などの面から見てメリットがないこと」が挙げられます。また、現状でEUとの特別な関係構築に成功していることから、このままでよいと多くの人が考えていることも理由の1つと言われています。

さらに、移動の自由化による移民流入や、直接民主制が脅かされることへの国民の警戒感も、EU加盟を躊躇させる要因となっています。

セルビア

セルビア共和国は、南東ヨーロッパのバルカン半島に位置する国で、2006年に独立して現在の形となっています。政府はEU加盟を目指しているものの、現時点では実現していません。その主な理由となっているのが、「コソボ問題」です。

歴史的に紛争の原因となってきたコソボ自治州は、2008年の2月にセルビアからの独立を宣言しました。しかし、セルビア側はこれを認めず、以後も関係がこじれたままの状態が続いています。EU側はこれを問題視し、セルビア加盟にあたっては、双方の関係改善が条件となるとしています。

北マケドニア

北マケドニア共和国は、バルカン半島の南部に位置する国です。旧ユーゴスラビア連邦の構成国で、1991年に建国(当時は「マケドニア共和国」)されました。2005年には正式にEU加盟国候補になりましたが、結果として現在も非加盟のままとなっています。その際障壁となったのが、隣国ギリシャとの間に抱える「国名改称問題」です。ギリシャ側は、自らのルーツに関わる「マケドニア」の呼称を使うことに難色を示し、国名の変更を求めてきました。この問題は、国名を「北マケドニア」に変えることで解決しましたが、EU側としては移民流入の懸念などの理由もあって、やはり加盟は棚上げされてきました。

2022年の7月には、ようよく北マケドニアのEU加盟交渉が開始されましたが、実現にはなお数年かかるとみられています。

トルコ

地理的には西アジアと東ヨーロッパの境目に位置するトルコ共和国は、早くからEU加盟に向けた動きを示してきました。1987年には加盟を申請し、2004年から加盟協議に入っていますが、結果的には現在も非加盟の状態です。

トルコのEU加盟を阻む大きな理由となっているのが、「人権問題」です。オスマン帝国時代の「アルメニア人虐殺(トルコ側は否定)」や、近年の権威主義的な政治体制がEUの基本理念と対立するということで、トルコの加盟に反対する意見が少なくありません。

ボスニア・ヘルツェゴビナ

EU非加盟国一覧、続いてはボスニア・ヘルツェゴビナです。こちらもバルカン半島に位置する国になります。2008年にEU加盟の前段階となる安定化・連合協定(SAA)に署名し、2016年にはEU加盟候補国申請を行っています。

2022年10月には、同国を加盟候補国として認めるよう、ヨーロッパ委員会によってEU加盟国へ勧告がなされました。未だに司法改革や汚職対策、人権保護への取り組み不足といった問題はあるものの、EU側はロシアの影響力が同国へ広がるのを防ぎたいとの理由から、加盟に前向きな姿勢を示しています。

イギリス

イギリス(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)は、EUの前身であるEC時代からの加盟国でしたが、2020年1月31日をもって離脱しています。この離脱(ブレグジット)は、2016年6月の国民投票の結果を受けてなされたものになります。

イギリス国民がEU非加盟を選んだ理由の1つは、「主権問題」です。EUの法によって国の主権が制限される状況を不満に思う層は、国民の中に少なくありませんでした。

さらに、移民などの人口流入が増えたことで、働き口が奪われているとの懸念が広がったことなども、ブレグジット実現の要因となっています。

ウクライナ

東ヨーロッパに位置し、現在ロシアと戦争状態にあるウクライナも、EU非加盟国の1国となっています。

ウクライナは、ロシア侵攻から4日後の2022年2月28日、EUへの加盟申請を行いました。そして同年6月23日には、加盟候補国入りが正式に承認されています。ただ、実際に加盟が認められるには、長い時間がかかるとみられています。

その理由の1つが、同国の貧弱な経済状況です。ウクライナのGDPは、EU平均の約9分の1程度しかありません。また、ウクライナでは政治と新興財閥との癒着という汚職が蔓延しており、この点もEU加盟への大きな障壁となっています。

コソボ

コソボ共和国は、バルカン半島内陸部に位置する国です。

国際的には「セルビアの自治州」という位置づけだったコソボは、2008年に独立宣言を行います。この宣言を承認した国も多かった一方で、前述のようにセルビアはこれを認めませんでした。EU加盟国の間でも態度は分かれて、加盟国中23ヵ国が独立を承認する一方、スペインなど5ヵ国は承認を拒否します。その結果、EUによる機関承認も見送られることとなりました。

こうした理由から、コソボは2009年に加盟申請しているものの、現在もEU非加盟の状態が続いています。

ジョージア

コーカサス山脈の南麓に位置するジョージアも、現在EU非加盟の状態ですが、2022年3月に加盟申請を行っています。しかし、同じタイミングで申請したモルドバが加盟候補国として認定される一方で、ジョージアの認定は見送られました。

ジョージアの加盟候補国認定が叶わなかったのは、「優先課題を満たしていない」ことが理由とされています。EU側は、「政治的二極化の緩和」や「司法の独立性強化」、「自由なメディアの保護」といった点を候補国入りの条件としています。さらに、与党創設者のロシアとのつながりが、今回の決定に影響したとの見方もあります。

ベラルーシ

東ヨーロッパに位置するベラルーシ共和国は、単にEU非加盟であるだけでなく、EUとの関係は非常に険悪なものとなっています。

その主な理由は、現在のベラルーシ国内の状況にあります。「欧州最後の独裁国家」と呼ばれるように、ベラルーシでは1994年以降、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領の政権が続いていますが、西側諸国は同政権が強権化するにつれ、非難の度合いを強めていきました。それに対しベラルーシも、移民を利用した政治的な恫喝を仕掛けるなど、一貫してEU側に反発する姿勢を見せています。

さらに、2022年2月にロシアによるウクライナ侵攻が起こったことで、ロシアと協力関係にあるベラルーシとの距離は、EUにとってますます遠いものとなりました。EU理事会は2022年3月、ロシアだけでなくベラルーシに対しても、主要産品のEU輸入禁止などの制裁措置を決定しています。

モンテネグロ

続いてのEU非加盟国一覧は、こちらもバルカン半島に位置するモンテネグロです。

NATO加盟国であるモンテネグロは、EU加盟も目指しており、2011年には本格的な加盟交渉を開始しています。2021年10月、スロベニアで開かれたEU首脳会議において、モンテネグロを含めたバルカン諸国6ヵ国の将来的なEU加盟が確約されました。

その際具体的な加盟期限の設定については、移民・難民問題への警戒を理由として見送られましたが、順調に進めば、2025年にもモンテネグロのEU加盟が実現すると見られています。

アルバニア

アルバニア共和国は、バルカン半島南西部に位置する国で、やはりEU非加盟国の1つにあたります。

アルバニアは2009年の4月にEU加盟を申請し、2014年6月には加盟候補国となっています。2018年4月には、欧州委員会から同国との加盟交渉を開始するよう勧告を受けたものの、欧州理事会は司法分野や汚職・組織犯罪対策等の改革が必要であることを理由に、結論を先送りにしました。

その後2020年3月に加盟交渉開始が承認され、さらに2022年7月になって、ようやく交渉開始が実現しています。

モルドバ

東ヨーロッパに位置するモルドバ共和国もまた、現在のところEU非加盟国です。

モルドバは軍事的には中立の立場ですが、EU加盟を目指しています。2014年6月には、EUとの間で連合協定を締結し、さらに2022年3月には、加盟申請文書への署名を行っています。この直接の理由となったのが、前月に発生したロシアのウクライナ侵攻です。トランスニストリア地域をめぐりロシアとの間で問題を抱えるモルドバは、戦争への巻き添えを恐れて、EU加盟申請を急ぐこととなりました。加盟申請から4か月後の2022年6月には、早くも加盟候補国として認定されています。

ノルウェー

EU非加盟国一覧、最後に紹介するのは、北ヨーロッパのノルウェー王国です。

ノルウェーは、1994年に国民投票でEU加盟が否決されて以来、加盟についての具体的議論も行われない状況となっています。その主な理由としては、現状で十分な経済的繁栄を享受できているということが挙げられます。国民の意識は、EU加盟によるメリット獲得には懐疑的なのが実情です。また、加盟によって自国の農業や漁業にダメージが及ぶことへの懸念も少なくないとされます。世論としては、国民のおよそ7割がEU加盟反対派という形で推移しています。

ただ、EUとの結びつき自体は強く、経済関係も緊密で、シェンゲン協定(国境検査なしで国家間の移動を認める協定)にも参加しています。

EU非加盟国一覧と非加盟の理由

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