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ドミナント戦略の意味とは?7つのメリットと3つのデメリット

ドミナント戦略の意味とは?メリットとデメリット

コンビニエンスストアやファミリーレストランといったフランチャイズや、スーパーやデパートなどのチェーンストアの一部では、「ドミナント戦略」と呼ばれる経営戦略が用いられています。

ドミナント戦略とは簡単に言えば、経営資源を特定エリアに集中させて市場の独占を図る手法ですが、さまざまなメリットがある一方で、いくつかのデメリットもはらんでいます。

この記事では、ドミナント戦略の詳しい意味を解説すると共に、メリットとデメリットの双方について、それぞれポイントを挙げて紹介していきます。

ドミナント戦略の意味とは?

ドミナント戦略の意味とは

「ドミナント戦略」とは、フランチャイズやチェーンストアにおける経営戦略の1つで、地域を絞って集中的に店舗を作る手法を意味します。

グループ企業やチェーン展開を行うスーパーマーケット、コンビニエンスストアなどは、新たに店舗を作るにあたり、集客力を左右する商圏について人口や年齢層、主な家族構成、昼夜間人口、競業他社の有無、交通アクセスといった立地特性を調査し、出店すべきかどうかを決めています。
ドミナント戦略は、こうして有望であると見込んだ地域の市場占有率を高める目的で、複数の店舗を高密度に展開していく手法を指しています。

「ドミナント」とは、英語で「優勢である」「支配的な」を意味する「dominant」から来た外来語になります。

小売店や飲食店といった実店舗を展開するビジネスモデルにおいては、地理的な商圏が限定されていることから、特定の地域内で競合他社とのシェア争いがどうしても発生します。
ドミナント戦略は、特定の地域に的を絞って高密度に店舗を展開することにより、限られた経営資源で効率的にシェアを獲得しようという狙いがあります。

ドミナント戦略は、日本においてはセブンイレブンが創業当初から行っているほか、イトーヨーカドー、ユニー、イズミヤといったチェーンストアも採用しています。

ドミナント戦略のメリット

コンビニなどのフランチャイズでよく見られるドミナント戦略には、さまざまなメリットがあります。以下の項目では、特定の地域に集中して出店することが、認知度や経営効率にどのようなメリットをもたらすのかについて見ていきましょう。

その地域の認知度が上がる

その地域の認知度が上がる

ドミナント戦略で期待できるメリットの1つが、「その地域における認知度の向上」です。

幅広いエリアに出店している場合、広範囲の消費者にアピールすることができますが、半面プロモーション効果も分散してしまうというデメリットがあります。
それに対し、特定地域に複数出店して積極的に情報発信(チラシやTVコマーシャル、SNSなど)を行うことで、その地域の消費者が自社ブランドの名前に触れる機会を増やし、プロモーション効果を高めることができます。
さらに広告に限らず、店舗の外観を印象的なものにしたりするなどの方法も効果的です。

このように集中的にプロモーションを行うことで、全国的な知名度が低いチェーンストアでも、その地域の認知度を上げて競争力を高めることができます。

経営資源を効率的に活用できる

経営資源を効率的に活用できる

ドミナント戦略では、「経営資源の効率的な活用」というメリットも見込めます。

小売店などのフランチャイズ経営においては、物流の最適化や店舗管理が必要になりますが、地域を広げすぎると店舗間の移動に時間がかかるという課題が生じます。

それに対し、地域を絞って展開するドミナント戦略であれば、より効率的な運営が可能です。各店舗間の距離も近いので、仕入れや配送も効率化し、物流にかかる時間を節約することができます。
また、店舗間でスタッフが移動したり、在庫を融通したりといったことが容易になるため、人材やモノの配置といった点でも効果的です。
さらに、後述するように管理者が店舗を巡回する際の手間も抑えられるので、その分の労力を管理・指導に割けるというメリットもあります。

コストの削減

コストの削減

ドミナント戦略の目立ったメリットの1つに、「コスト削減効果」というものもあります。

上でも述べたように、フランチャイズでは地域を拡大しすぎると、それに応じて店舗間の距離も広がってしまいます。その分配送にかかる時間やコストも拡大してしまいますが、ドミナント戦略ではこうした点がカバーできます。出店する地域を限定しているため、商品を輸送する時間も短く、その分費用もかかりません。地域を広く取る戦略に比べ、物流コストを低く抑えることができます。

また、プロモーションにおいても費用削減が見込めます。特定の地域に集中して宣伝販促を行えばよいので、余計なコストが生じるおそれがなく、効率的なプロモーションが可能となります。

地域の特性に合った広告宣伝ができる

地域の特性に合った広告宣伝ができる

ドミナント戦略のメリット、4つ目は、「地域の特性に合わせた広告宣伝が可能」ということです。

全店舗共通の広告宣伝の場合、全国的な知名度を上げられるメリットがある一方で、地域によっては浸透しにくいところも出るという難点があります。なぜならば、各地域ごとに特有の性質があり、それによって需要も異なるからです。
例えば、関東と関西では味の好みが違いますし、季節ごとに食べられるものも異なります。また、人口密度や気候も、各地域でバラバラです。

このような特性に応じた広告宣伝を行うことで、地域ごとの商品の浸透度を深めることができますが、ドミナント戦略であれば同じエリアに複数の店舗を持っているので、こうした柔軟な広告宣伝がしやすくなります。

エリアマーケティングを最適化できる

エリアマーケティングを最適化できる

ドミナント戦略では、「エリアマーケティングが最適化できる」というメリットもあります。

「エリアマーケティング」とは、簡単に言えば、その店舗が存在する場所に特化した経営を展開するという戦略です。ターゲットとする地域をさらに細分化し、消費者の年齢層や地理的な事情など、地域ごとの特性に応じた最適なマーケティングを行う手法になります。

ドミナント戦略においては、特定エリアに絞った市場調査を行うため、そのエリアの人口や年齢層のバランス、趣向、ライフスタイルといったデータを細かくつかんでいます。これにより、地域の消費者特性に合わせた商品やサービスの開発、出店場所選び、プロモーション戦略の立案などがしやすくなることから、最適なエリアマーケティングを行うことができます。

スーパーバイザーの巡回が容易

スーパーバイザーの巡回が容易

ドミナント戦略のメリットとしては、「スーパーバイザーの巡回がしやすい」という点も挙げられるでしょう。

コンビニなどのフランチャイズにおいては、スーパーバイザーと呼ばれる担当者が、定期的に各店舗を巡回するのが一般的です。スーパーバイザーは個々の店舗とフランチャイズ本部をつなぎ、本部の意志を伝えたり、オーナーの相談や指導を受け持つという役割を負います。

広範囲に出店している場合は、店舗間の移動に時間が取られるため、スーパーバイザーは一ヵ所にあまり長くとどまれません。しかし、狭いエリアに集中しているドミナント戦略であれば、移動時間を削減できることから、一店舗あたりの滞在時間を長くしてきめ細かい対応をすることができます。

競合他社が参入しにくい

競合他社が参入しにくい

ドミナント戦略のメリット、最後に挙げるのは、「競合他社の参入障壁が上がる」という点です。これは先に挙げた、「認知度が上がる」というメリットにも関係しています。

ドミナント戦略では、前述のように、そこに住む消費者への認知度を高めやすくなっています。こうして一旦認知されると、消費者間に「○○といえばこの店」という意識ができあがり、結果として競合他社の参入障壁が上がることにつながります。
なぜならば、大抵の人は、日常的な行為が変化することを嫌うからです。例えば日頃同じコンビニばかり利用するようになると、同程度の距離に他社のコンビニができても、新しい店より元の店を選んでしまうといった具合です。

このように、ドミナント戦略が成功している地域では、競合他社はなかなか参入しづらいという特徴があります。

ドミナント戦略のデメリット

上ではドミナント戦略のメリットについていろいろと紹介しましたが、もちろん良い面ばかりではありません。どんなものでもそうですが、デメリットもあります。ここでは、ドミナント戦略の難点についていくつか紹介していきましょう。

災害時のダメージが大

災害時のダメージが大

ドミナント戦略のデメリット、最初に紹介するポイントは、「災害時のダメージが大きい」ということです。

「特定のエリアに集中して出店する」という特徴上、同じ影響を同時に被りやすいという性質があります。
例えば地震や水害が起こった場合、一帯に被害が広がるため、複数の店舗が一気にダメージを受ける可能性が高くなります。店舗同士の距離が離れていれば、多くの店舗が同じようなダメージを被る確率も低くなり、売上を他の店舗でカバーすることも可能です。しかしドミナント戦略では、最悪全ての店がダウンする可能性もあるため、売上が激減してしまうおそれが高まります。
店舗の修繕費用もかさみますから、この点は大きなデメリットと言えるでしょう。

店舗同士で顧客の奪い合いが生じる

店舗同士で顧客の奪い合いが生じる

ドミナント戦略のデメリット、2点目は、「顧客の奪い合いが生じやすい」ということです。

同じエリアに複数の店を出すことには、上記のようにさまざまなメリットがありますが、その一方で「カニバリゼーション」と呼ばれる状態に陥りやすいという特徴もあります。
「カニバリゼーション」とは、同じチェーンストアの店舗同士が顧客を奪いあう「共食い」状態のことで、出店が狭い地域に過密することで起りやすくなっています。同じ店名やブランドを掲げるフランチャイズであっても、採算は店舗ごとに独立していますから、こうした状態はお互いにとってマイナスでしかありません。

実際に、コンビニ業界は近年出店が飽和状態となり、カニバリゼーションが起こりやすい状況となっています。

地域事情の変化が売上を左右する

地域事情の変化が売上を左右する

ドミナント戦略のデメリット、最後に挙げるのは、「地域事情の変化によって売上が変化する」ということです。

小売店や飲食店など実店舗の運営は、周辺の地域事情に大きく依存しています。ですから、それまであったものが無くなったり、反対に新しく何かができるなどした場合には、それに少なからず影響を受けることになります。
例えば、ある道路沿いに複数の店舗を出店していたものが、急にバイパスが通るなどで交通事情が一変した場合には、交通量が減って来客数も減少する可能性が高くなります。
そうすると、複数の店舗が同時に売上を落とす結果になりますから、フランチャイズとしてはかなりの痛手です。出店にあたっては、こうした点についても考慮しておかなくてはなりません。