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ビジネス用語

「誓約」「契約」の意味と違い

「誓約」「契約」の意味と違い

監修者

よつば総合法律事務所千葉事務所 弁護士 辻佐和子

よつば総合法律事務所千葉事務所

弁護士 辻佐和子

よつば総合法律事務所の弁護士の辻佐和子と申します。日常生活の気になるあれこれを法律の観点からわかりやすく解説します。

「誓約」「契約」の意味と違い

「誓約」という言葉は、「入社時に誓約書を提出する」といった具合に、日常でも耳にする機会がたびたびあります。一方、これとよく似たイメージで思い浮かびやすいのが、「契約」という言葉です。この2つの言葉は、どう違うのでしょうか。

今回は「誓約」と「契約」の意味と違いについて詳しく解説しますので、使い分けの参考にしてみてください。

「誓約」とは

誓約

「誓約(せいやく)」とは、「誓って約束すること」という意味の言葉です。また、その誓いについても言います。「この話については一切口外しないと誓約してほしい」「入社時に秘密保持のための誓約書にサインをさせられた」などのように使われます。

「誓約」の「誓」は「約束」や「ちかい」を意味する漢字で、ほかに「誓言」「誓命」などの熟語で使われます。一方「約」の字は、「まとめる」「むすぶ」を意味しており、ほかに「要約」「約束」などの熟語に使われます。

「誓約」と「契約」の主な違いは、双方の意思の合致が必要かどうかという点に求められます。「誓約」は、一方が他方に対しあることを固く誓う際に使う点が特徴で、誓約する側が一方的に義務を負う行為となります。

「契約」とは

契約

「契約(けいやく)」とは、「約束すること、言い交すこと」という意味の言葉ですが、これは簡単に言うと「複数の当事者の合意で、法律関係を生じさせるもの」を指します。「労働契約を締結する」「アパートの賃貸借契約」「生命保険を契約する」などのように使われます。

「契約」の「契」は、「きざむ」や「ちぎる」、「しるし」などの意味を持つ漢字で、ほかには「符契」や「黙契」などの熟語で使われます。

「誓約」が誓約する側だけが意思を表示するのと異なり、「契約」では当事者双方の意思表示の合致が必要となります。そのため、「誓約書」は通常、提出する側のみ署名捺印を行いますが、「契約書」では両方の当事者の署名捺印が必要となります。

「契約」と聞くと売買契約や賃貸借契約といったように、双方が義務を負うことをイメージする方が多いかもしれません。しかし、贈与契約など片方だけが義務を負う契約もあります。

書面のタイトルではなく内容で判断される

仮に「誓約書」というタイトルで書面を作成したとしても、その内容が当事者の意思表示の合致を示すものであれば、法的には契約が成立したものと判断される場合があります。
また、誓約書の内容が契約の一内容となっていると捉えられることも多いです。例えば、雇用主に対して競業避止に関する誓約書を提出していた場合は、労働契約の一内容として労働者が競業避止義務を負っていたと判断されることが多いでしょう。
書面を見るときには、そのタイトルではなく中身や状況に着目することも重要です。

「誓約」「契約」の意味と違い

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