一般常識
「歳末」「年末」「年の瀬」「年の暮れ」「年度末」の意味と違い

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歳末・年末・年の瀬・年の暮れ・年度末の意味と違いとは
同じ季節や時期でも、それを表す言葉はさまざまです。「1年の終わり」を指す言葉もまた、「歳末」や「年末」「年の瀬」など、いろいろな種類があります。これらにはそれぞれ、どんな違いがあるのでしょうか。個々の使い分けのポイントなども知りたいところです。
そこで今回は、「歳末」「年末」「年の瀬」「年の暮れ」「年度末」の意味と違いなどについて解説したいと思います。
「歳末」とは
「歳末」とは、「1年の終わりごろ」という意味の言葉です。具体的な時期としては、12月の下旬(20日以降)を指しています。「歳末大売出し」「歳末の喧騒」のように使われます。
「歳末」の「歳」という字は、「あゆむ」「まさかり」の象形から成っていますが、これは「1年ごとの儀式」を表しています。そこから「1か年」を意味する漢字として成り立ちました。
「歳末」という言い方には、古来の年齢の数え方が関係しているという説があります。昔の日本では「数え年」という年齢計算法が採られていましたが、これは1月1日を迎えると、全ての人が自動的に1つ歳を取るという方式です。つまり「歳末」という言葉は、「その年齢(歳)の終わりの時季」を意味していることになります。
「年末」などとの違いや使い分け方については、以下で見てみましょう。
「年末」とは
「年末」もまた、「1年の終わりごろ」を意味する言葉で、「歳末」と違いはありません。「年末商戦」「年末のあわただしさ」のように使われます。
「年末」の「年」という字は、「成熟した稲」と「人」の象形から成っており、「稲が実る」などの意味を持ちます。そこから転じて、「実りの周期=1年」を表すようになりました。
このように、「年末」と「歳末」に意味の違いはありませんが、ニュアンスには微妙な違いがあります。「歳末」という言い方の方が「年末」より古いため、比較的情緒や風情が感じられるようになっています。両者を使い分けたい場合は、この点に留意するとよいかもしれません。
「年の瀬」とは
「年の瀬」とは、やはり「1年の終わりごろ」を意味する言葉です。具体的な時期は明確ではありませんが、大体12月の中旬以降を指しています。「年の瀬が押し迫ってきた」「年の瀬の実感がない」などのように使われます。
「年の瀬」の「瀬」という字は、「水」「切れ目が入る」の象形から成り、「水が砕ける急流」の意味を持ちます。
「年の瀬」を「年の暮れ」の意味で使うようになったのには、昔の支払い制度と関連があります。江戸時代は後払い(ツケ)が広く行われていましたが、年末にはきちんと清算しなくてはならないのが決まりでした。そうした、年末に数々の支払いを済ませなくてはならない困難さを、急流を舟で渡る難しさに例えたところからこの表現ができたと言われています。
こちらも「年末」などと意味は変わりませんが、より「あわただしさのニュアンス」を醸しだせるという点で区別することができます。
「年の暮れ」とは
「年の暮れ」も、「1年の終わりごろ」を意味する言葉です。内容としては、「歳末」や「年末」と違いはありません。「年の暮れでいろいろと気ぜわしい」「年の暮れが近づいてきた」のように使われます。
「年の暮れ」の「暮れ」は、「ある期間の終わり」を意味しており、「秋の暮れ」などと使います。また「暮れ」だけで「年末」を表すこともあり、この場合は「暮れも押し詰まりまして」のように使われます。
「年の瀬」と「年の暮れ」は、ほとんど同じ意味合いで使うことができます。ただ前述のように、「年の瀬」の方がよりあわただしさや切迫感が出るというニュアンスの違いがあります。
「年度末」とは
上記で紹介した「歳末」「年末」「年の瀬」「年の暮れ」には大きな違いは存在しませんが、「年度末」には大きな違いがあります。
「年度末」とは、「その年度の終わりの時期」という意味の言葉です。「年度末に支払う」「年度末決算」などのように使われます。
「年度末」と「年末」との違いは、「1年間の区切り方」にあります。「年末」の「年」が、1月1日から12月31日までの暦年を指すのに対し、「年度末」の「年度」は、会計や事務などのために便宜的に決めた1年間を指すようになっています。事業所などによって区切り方はさまざまですが、一般的な「年度」は、4月1日に始まり翌年の3月31日に終わるのが通常です。したがって「年度末」とは、多くの場合で「3月の下旬ごろ」を指すようになっています。
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