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法務・法律

「債権」と「債券」の意味と違い

「債権」と「債券」の意味と違い

監修者

弁護士:村岡つばさ(よつば総合法律事務所千葉事務所)

よつば総合法律事務所千葉事務所

弁護士 村岡つばさ

よつば総合法律事務所の弁護士の村岡と申します。日常生活や会社を運営する中で気になる法律の問題を分かりやすく解説します。

「債権」と「債券」の意味と違い

「債権」という単語を耳にしたことはありますでしょうか。金融機関にお勤めの方や、経理担当をされている方、法務担当の方であれば、詳しい意味をご存じかと思いますが、一般の方にはあまり馴染みのない単語かもしれません。
また、同じ読み方で「債券」という単語もありますが、両者は持つ意味が異なり、使い方に注意が必要です。

今回は、「債権」と「債券」の意味や違いについてお話していきたいと思います。

「債権」とは

債権

「債権」とは、「特定の人に対し、特定の行為や給付を請求することができる権利」です。
例えば、お金を貸した人が、借りた人に対して返済を求める権利は、この「債権」に当たります。コンビニエンスストアで物を購入したとき、代金を支払うのと引き換えに、物の引き渡しを求めることができますが、これも「債権」に当たります。
この「債権」を有している者を「債権者」と言い、反対に、義務を負っている者を「債務者」といいます。先のお金の貸し借りの例で言うと、お金を貸している人が「債権者」、借りている人が「債務者」となります。
あくまでも「権利」ではありますが、これも立派な財産の1つです。実は、銀行に預け入れているお金を引き出す権利も「預金債権」という権利であり、「債権」の一種です。

次の項目で見る「債券」とは読み方は同じですが、意味合いは全く異なります。

「債券」とは

債券

「債券」とは、「国や地方公共団体、企業などが資金を調達するために発行する有価証券の一種」を意味します。これは、借金の一種であり、債券の購入者は、定期的に利子を受け取ることができ、また、満期になれば債券の額面全額を受領することができます。最もポピュラーなのは、国が発行する債券(国債)かと思います。
債券は、満期まで保有していれば額面全額を受け取れるという点で、一般的には、安全性の高い投資商品と言われています。ただし、発行元自身が債務超過(借金が多く、払えない状況)になった場合には、額面全額を受け取ることはできないため、一定程度のリスクはあります。

「債権」は、一定の財産的「権利」であるのに対し、「債券」は有価証券そのものを意味する単語であり、両者の意味合いは異なります。ただ、「債券」を購入する場面で考えると、購入者は発行元に対し、利子や額面額を支払うように求める「債権」を有しており、発行元はこれらを支払うべき「債務」を負っています。そういった意味では、「債権」と「債券」とで、全く異なる概念とまでは言えないでしょう。

両者はいずれも「さいけん」という読み方ですが、このように異なる意味を有しています。
使い分けに混乱したときは、「権利」を意味するのが「債権」、証券そのものを意味するのが「債券」と思い出してください。
「けん」という漢字に着目すると、両者の違いを思い出せるかと思います。

「債権」と「債券」の意味と違い

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