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ビジネス用語

「サボタージュ」の意味とは?使い方や例文、「サボる」との違い

「サボタージュ」の意味とは?使い方や例文、「サボる」との違い

「サボタージュ」という言葉は、ビジネスシーンでもたびたび使われますが、そのほかにもいろいろな場面で耳にするようになっています。しかし、その詳しい意味については、正直よく分かっていないという人も多いのではないでしょうか。実際に、本来の意味合いから用法が拡大していることもあって、正確な意味は把握しづらい部分があるのも事実です。

そこで今回は、「サボタージュ」の本来の意味とそれ以外の意味に加え、具体的な使い方や、「サボる」との関連などについてわかりやすく解説していきたいと思います。

「サボタージュ」の意味

本来の「サボタージュ」の意味とは

「サボタージュ」とは、「労働争議における手段の1つで、労働者が故意に業務に支障が出るような行為を行い、企業活動を妨害すること」を意味します。一般には、日本語の「怠業」と同じ意味に解釈されています。

「サボタージュ」には、大きく分けて次の3つの種類があります。

積極的サボタージュ

生産機械や製品を破壊したり、故意に不良品を生産することなどの妨害行為

開口サボタージュ

外部に向けて会社や製品の悪口を発信することによる妨害行為

消極的サボタージュ

外面的には業務を継続しつつ、上司などの指示について意識的に部分的に従わない妨害行為

日本においては、このうち③の意味で用いるのが通常となっています。たとえば「時限スト(限られた時間だけに区切って行うストライキ)」を繰り返したり、「部分スト(組合員の一部が参加して行うストライキ)」を職場ごとに交替して行うことなどが、「消極的サボタージュ」にあたります。

こうした行為は労働者が仕事場にとどまり、一応仕事もしているので、会社側が賃金カットなどの対抗手段を取りづらくなるなどのメリットがあります。それ以外の①と②の行為については、正当な争議手段と認められることは少なくなっています。

上記以外の「サボタージュ」の意味

「サボタージュ」という言葉の本来の意味は上記のようなものですが、現在ではこれとはやや違う使い方もされるようになっています。すなわち、「敵対者や権力者などに対する抗議の一環としての破壊行為」という意味での使い方です。
たとえば、選挙中に政敵の評判を落とすような工作をしたり、環境保護のために開発事業を妨害する行為などが、これにあたります。
また、戦争中に軍とは無関係な個人などが行う破壊行為も、「サボタージュ」と呼ばれます。

「サボタージュ」の語源

「サボタージュ」という言葉は、フランス語の「Sabotage」をカタカナに置き換えたものになります。「争議戦略としての妨害行為」を意味する「Sabotage」の語源は諸説ありますが、木靴を意味する単語「sabot(サボ)」に由来するという説が有力です。中でもよく言われているのが、かつて労働者が争議を行う際、木靴で機械を蹴ったり、木靴を機械の中に投入して生産を止めるなどの行為をしていたことから、このような呼び方をされるようになったという説です。
ただ実際には、こうした行為が本当に行われていたという確証はなく、真偽は不明となっています。

「サボタージュ」の使い方・例文

「サボタージュ」の意味について学んだところで、続いては実際の使い方について見ていきましょう。ビジネス用語としての意味合いを中心とした「サボタージュ」の具体的な用法を、以下に例文で示してみました。

例文①:「機械を壊すような積極的サボタージュを行うのは、自分の首を締める行為だ」

例文②:「組合が何らかのサボタージュを画策しているようなので、彼らの動きには注意しておいた方がいい」

例文③:「消極的サボタージュで待遇改善を訴えるのは、労働者の正当な権利だ」

例文④:「日本の選挙でも、徐々にネガティブキャンペーンなどのサボタージュが広まりつつある」

例文⑤:「近年は、エコテロリズムという名のサボタージュがあちこちで頻発している」

「サボタージュ」と「サボる」の違い

ところで、「サボタージュ」という言葉は、ある日本語表現と深く関わっています。その表現とは、「サボる(サボり)」です。ここでは、「サボタージュ」と「サボる」の関係と、その意味や使い方の違いについて見ていきましょう。

「サボタージュ」は「サボる」の語源

「サボる」という言葉は、「サボタージュ」が元になって生まれたものです。「サボタージュ」の頭の部分だけを取って、さらにそれを動詞化した言葉で、大正時代には使われていたと言われています。

使われだすきっかけになった事件とされるのが、1919年(大正8年)の9月に起こった、神戸川崎造船所(現川崎重工業)での賃上げ要求運動です。この際に、日本で始めて労働争議の手段として「サボタージュ」が使われ、労働者らはそれによって、会社側から8時間労働制の採用を回答として引き出すことに成功しました。
これを機に「サボタージュ」の語が一般に広まり、やがて「サボる」という表現が生まれたとされています。

「サボる」の意味と使い方

「サボる」は「サボタージュ」から生まれた言葉ですが、主な意味合いや使い方は異なります。「サボタージュ」が「争議戦略としての業務妨害行為」を指すのに対し、「サボる」は単に「怠けること」「ずる休みすること」を指すようになっています。学業や仕事など、本来やるべき作業を怠ることを指しており、特に抗議や要求などの目的は前提とされません。具体的には、「外回りの仕事をサボって映画を見ていた」のように使われます。

「サボタージュ」の意味とは?使い方や例文、「サボる」との違い

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