パワーカップルの意味とは？世帯数や割合、増加の背景

ビジネスシーンでは次々に新しいワードが誕生していますが、「パワーカップル」というのも、最近よく聞かれるようになった言葉の1つです。ただ、「パワー」も「カップル」も馴染みはあるものの、つなげて言う場合の意味については、いまいちよく分からないという人も多いでしょう。一体この場合の「パワー」とは、何を指しているのでしょうか。

本記事では、「パワーカップル」の意味や全体に閉める割合、近年増加している背景などについて解説していきますので、理解の参考にしてみてください。

パワーカップルの意味とは？

「パワーカップル」とは、大まかに言うと、「男女どちらも高収入である夫婦」を意味する言葉です。

明確な定義はされていませんが、指標としてよく挙げられるのは、「夫婦のどちらも正社員で、なおかつ世帯年収が1,000万円以上」「夫婦共に年収が700万円以上」の2つとなっています。また、「夫の年収が600万円以上、妻が400万円以上」の世帯を指す場合もあります。

もともとは、2013年に出版された『夫婦格差社会 ―二極化する結婚の形』という本の中で提唱された言葉で、その中では「夫の年収が1,000万円以上、妻が600万円以上」の世帯を「パワーカップル」としていました。

「パワーカップル」は高い購買力を持ち、情報発信力にも秀でていることから、企業にとっても有力なターゲットとして、最近あちこちで注目を集めています。

世帯数・割合

続いて「パワーカップル」の世帯数や、全体的な割合について見ていきましょう。

先ほど「パワーカップル」の定義は明確でないと述べましたが、「夫婦ともに年収700万円以上」であるとした場合について考えてみます。ニッセイ基礎研究所の調査によると、この条件に当てはまる世帯の数は、2020年現在で34万世帯となっています。これは、総世帯の0.62%ほどでしかありません。

また、同じくニッセイ基礎研究所の調査では、年収700万円～999万円の男性に700万円以上の年収がある妻がいる割合は、5.4%ほどとなっています。男性の年収が1,000万円以上で妻が700万円以上の場合は、13.3%です。一方、国税庁の調査によると、700万円以上の年収がある男性は、そもそも全体の21.3%にすぎません。1,000万円以上であれば、7.7% です。

これらのデータを勘案すると、「パワーカップル」が全世帯に占める割合は、たった1%ほどということになります。

参照：https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=69790?site=nli#:~:text=%E3%83%91%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%AB%E3%81%AB%E3%81%AF%E6%98%8E%E7%A2%BA,%E3%81%AE%E4%B8%96%E5%B8%AF%E3%81%A8%E5%AE%9A%E7%BE%A9%E3%81%99%E3%82%8B%E3%80%82
参照：https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=63067?pno=3&site=nli
参照：https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2018/pdf/000.pdf

パワーカップルが増加している理由

「パワーカップル」の割合は少ないとは言え、その数は年々増加しています。新型コロナ禍が発生した2020年においても、増加傾向は途切れていません。その背景にはどんな理由が存在するのでしょうか。

「パワーカップル」増加の大きな要因となっているのが、「女性の社会進出の一般化」です。かつては妻が正社員として働くケース自体多くありませんでしたが、現在ではフルタイムでの共働きは、特に珍しくありません。また、出産後もキャリアを継続できる環境が整い、女性が高年収を実現しやすくなったことも、「パワーカップル」増加の要因として挙げられます。

納税額

「パワーカップル」の税金については、どのようになっているのでしょうか。

実は、「パワーカップル」の納税額は、共働きでない世帯と比べた場合、世帯収入が同じでも、より低くなるという特徴があります。その理由は、「累進課税制度」にあります。

これは、収入が上がるほど課される税金も多くなるという制度で、1,400万円稼いだ場合の税率は、700万円稼ぐ場合より当然高くなります。つまり、1人で世帯収入1,400万円を達成するより、2人で世帯収入1,400万円を達成する方が、税金面では得だということになります。このことが、「パワーカップル」の経済的余裕を生む大きな理由の1つとなっています。