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4つの「中抜き」の意味とは?例文と関連用語
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社会人になってからよく触れるようになる言葉はいくつもありますが、「中抜き」という表現も、その1つでしょう。もともとは物理的な動作を指す言葉ですが、そこから派生してさまざまな意味で使われるようになりました。現在では、ビジネスシーンにおいてもいろいろな場面で使われており、しかも場面ごとに微妙に意味合いが異なることから、使い方に混乱している人も多いと思います。
ここでは「中抜き」の主な意味と具体的な使い方について、例文付きで紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
「中抜き」の意味とは?
意味①:中を抜き取る
「中抜き」の1つ目の意味は、「中を抜き取る」というものです。この場合の「中」とは、ある品物やかたまりの内部を指しており、その内部に詰まっているものを、摘まみ取ったりくり抜くなどして除去することを、「中抜き」と表現します。また、そうして抜き取ったものも言います。
この意味の「中抜き」がよく使われる例として、荷役作業の場が挙げられます。こちらでは、山積みの荷物の中間部分から荷を抜くことを「中抜き」と呼んでおり、危険な行為として禁止されています。
ちなみにこの意味の「中抜き」は、ビジネス用語としての「中抜き」の基本的な意味合いにあたります。
意味②:中間を省略する
2つ目に紹介する「中抜き」の意味は、「中間を省略する」というものです。
上で紹介したのは、ある物体の中身を取り去るといった物理的な意味ですが、こちらの場合の「中」とは、物質ではなく形のない概念の中間部分を指しています。具体的には、作業の計画や工程といったプロセスなどの中から、一部分を間引いて省略することを「中抜き」と呼びます。こちらの意味合いは、上記の使い方や、後述する「中間業者を省く」という使い方に比べると、それほど使用例は多くありません。
意味③:中間業者を省く
「中抜き」の意味の3つ目は、「中間業者を省く」というものです。ビジネス用語としての用法では、もっともポピュラーな意味合いになります。「中間業者」とは、「メーカーなどの企業と消費者の間に位置し、商品を流通させる業者」のことで、一般的には、工場や問屋などの卸業者や物流業者を指します。
これらの業者は、従来の物流には付き物の存在でしたが、中間マージンがかさむなどの問題の元でもありました。近年はこうした工程を省いて企業と消費者が直接取引できる環境も整いつつあり、実際に中間業者を通さない「中抜き」を行うメーカーも増えています。
意味④:紹介料を得る
「中抜き」の意味、最後に挙げるのは、「紹介料を得る」というものです。この場合の「紹介料」とは、主に人材紹介の分野でのものを指しています。人材紹介会社は、従業員がほしい会社と仕事先を探している人とのマッチングを行っていますが、利益は紹介先の会社から支払われた給料の一部を、マージンとして受け取る形で得ています。このマージンの一般的な比率は3割ほどですが、近年はそれを超える法外な手数料を取る業者も増えるなど、悪質な「中抜き」が問題となっています。
また、人材紹介の分野における「中抜き」は、紹介会社や転職エージェントを正式に通さない形で、こっそりと人材を獲得するやり方を指す場合もあります。
例文
「中抜き」の意味について学んだ後は、実際の使い方について見ていきましょう。
上記のように、「中抜き」という言葉は物理的なものについて使われることもありますが、一般的にはビジネス用語としての用例が中心となっています。具体的には、中間業者を介さない消費者との直接取引を検討する場合などに、よく使われます。使用するのはメーカー側ばかりとは限らず、流通業者が使う場合もあります。また、メリットとデメリットの両面があるため、場面に応じて良い意味と悪い意味のどちらでも使うことができます。
では、以下に具体的な例文を挙げてみましょう。
例文①:中間業者の中抜きを実現できたことで、売上も急上昇している
例文②:産直という形の中抜きが広まったことは、卸業者にとって痛手だった
例文③:日本で欧米ほど問屋の中抜きが進んでいないのは、小売市場の寡占化が少ないせいだ
例文④:転職エージェントをだました中抜き採用の場合、採用先の多くはブラック企業というのが実際のところだ
例文⑤:派遣会社の中抜き率については、事前によく調べておいた方が良い
関連用語
「中抜き業者」とは
ここからは、「中抜き」の関連用語についての説明ですが、まずは「中抜き業者」について見ていきましょう。
メーカーによって作られた商品が、消費者の手元へ渡るまでに卸売業者などの手を経る仕組みについては既述の通りですが、こうした卸売業者などのように、メーカーと消費者の間に入る業者を指して「中抜き業者」と呼ぶことがあります。つまり、「中抜き業者=中間業者」と考えてOKです。
「中抜き業者」の役割は、生産者と消費者の間を取り持つことです。商品は作れても販売のノウハウや実店舗を持たないメーカーに代わり、消費者への販売を手がけてくれる機能を持ちます。消費者にとっても、品物を安定的に受け取れるというメリットがありますが、反面中間マージンの発生で価格が上がったり、消費者の声がメーカーに届きにくいなどのデメリットもあります。
「中抜き現象」とは
続いては、「中抜き現象」という言葉について説明しましょう。
「中抜きの意味とは?」の項目でも説明したように、近年は中間業者を介さず、メーカーが直接消費者と取引を行うケースが増えています。「中抜き現象」は、このように流通経路から卸売業者などを極力排する動きを指して使われます。
この「中抜き現象」の背景にあるのが、近年著しいIT技術の発展です。インターネットが社会の隅々にまで普及したことで、メーカーが商品や情報を直接消費者に届けられる環境が整いました。その代表例が、「ECサイト」と呼ばれる仕組みです。こうしたビジネス環境が一般化したおかげで、単にモノを動かすだけの中間業者の存在理由が薄まったわけです。
ただ、こうした「中抜き現象」の存在は長年言われているものの、実際のところ日本の中間業者の数は、現在でも目立った減少は見せていません。
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