一般常識
「向学」「後学」「好学」「講学」の意味と違い
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向学・後学・好学・講学の意味と違いとは
日本語には同音異義語が多いと言われていますが、「こうがく」と読む言葉にもさまざまなものがあります。中でも「向学」「後学」「好学」「講学」という4つの言葉は、共に「学」という字が入っていることから、特に意味を取り違えやすくなっています。一体これらは、どういう意味の違いを持つのでしょうか。
今回は、「向学」「後学」「好学」「講学」の詳しい意味や違い、使い分けのポイントなどについて解説していきましょう。
向学とは
「向学」とは、「学問にこころざすこと」という意味の言葉です。勉強に励もうと、学問に心を向けることを言います。「彼は向学の念に燃えている」「彼女は向学心の旺盛な生徒だ」「若いころから向学の性向が強かった」のように使われます。
「向学」の「向」は、「むきあう」や「こころざす」といった意味を持っています。「学」はもちろん、「学問」や「まなぶ」を意味しています。
「向学」は、「後学」や「好学」などと読みは同じですが、意味は違います。それぞれの意味は後述しますが、「後学」に「学問や学習に心を向ける」といった意味はありません。また、「好学」の意味とも似ていますが、下で説明するように、微妙な違いが存在します。
後学とは
「後学」とは、「後日役立つ学問・知識」といった意味の言葉です。現在よりも、将来自分の役に立ってくるような学問などを言います。「後学のために聞いておきたい」「後学のために教えていただきたいことがあります」「後学のために見学させてください」のように、「~のために」という言い方をすることが多くなっています。
「後学」にはまた、「後進の学者」という意味もありますが、この場合は「後学の徒」などという使い方をします。
このように、「後学」と「向学」は、読みは同じでも意味合いはまったく違います。「後学」は「将来のための知識」などを意味する言葉で、「学問への志向」は意味しません。ですので、「後学の念」や「後学心」といった使い方はしないようになっています。
好学とは
「好学」とは、文字通り「学問を好むこと」という意味の言葉です。学問や研究に対し、強い興味や関心を持つことを言います。「彼は好学の士だと聞いている」「好学の人が増えるのは好ましいことだ」「好学の心を失わないようにしてほしい」のように使われます。特に、「好学の士」という言い方はよくされます。
前述のように、「好学」と「向学」は、意味合いや使われ方によく似た部分があります。しかし、次のような微妙な違いが存在します。すなわち、「向学」は「意識して学問に心を向けること」を意味するのに対し、「好学」は「純粋に学問が好きなこと」を意味するという違いです。「好学」は特に意識することなく、自然に学問を求めるというところが、「向学」とは異なっています。
講学とは
「講学」とは、「学問を研究すること」という意味の言葉です。また、そうした任に当たる人も指します。文字通り「学問を講ずる」の意ですが、「講」は「講究」などとも使うように、「しらべる」や「研究する」といった意味を持ちます。「講学上の概念」「これらは講学上の分類にあたる」のように、「講学上」という使い方をすることが多くなっています。
このように、「講学」という言葉は、「向学」や「後学」「好学」などとはまったく意味が違います。「講学」には、「学問をこころざすこと」や「学問を好むこと」、「後日役立つ学問」といった意味はありません。これらの言葉と使い分ける際は、「講」の字の意味を踏まえておくとよいでしょう。
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