一般常識
「犬」「狗」「戌」の意味と違い
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「犬」「狗」「戌」の意味と違いとは
「犬」「狗」「戌」は、いずれも「いぬ」と読む漢字です。ふだん接することが多いのは「犬」の字ですが、「狗」や「戌」も、折に触れて目にします。では、これらの意味にはどういった違いがあるのでしょうか。改めて考えると、意外に分かりにくい問題でしょう。
そこで今回は、「犬」「狗」「戌」の3語について、その意味や違いなどを詳しく解説していきたいと思います。
「犬」とは
「犬」とは、「食肉目イヌ科の哺乳類」を意味する言葉です。人間の手で最も古くに家畜化された動物で、長く番犬や猟犬などとして利用されてきました。現在は愛玩動物としても世界中で飼育されており、700~800ほどの種類がいるとされています。
読み方は「いぬ」ですが、音読みでは「けん」となり、「野犬」や「盲導犬」などと使われます。
「犬」にはまた、「スパイ」の意味合いもあります。これは、動物のイヌがあちこち臭いを嗅ぎまわるさまを、他人の秘密を探るスパイになぞらえたものです。
「犬」の字は、「耳を立てた犬」の象形から成り、「イヌ」を意味します。
「狗」との違いは、後述するように大きさにあります。「犬」は、サイズを問わず動物の「イヌ」全般を指す言葉となっています。
「狗」とは
「狗」もやはり、「食肉目イヌ科イヌ属」に分類される哺乳動物を意味します。読み方は「いぬ」ですが、音読みでは「く」となり、「良狗」、「狗肉」などと使われます。
「狗」にはまた、「いやしいもの」の意味合いもあります。この場合は、「走狗(そうく)」や「狗盗(くとう)」などと使われます。
「狗」の字は、「イヌ」を表すけものへんと、「ちいさくかがむ」を意味する「句」から成っています。このことから、「狗」の字は特に小型犬を指すと考えられています。
「犬」との違いは、前述のようにサイズにあります。「犬」が大きさや種類を問わず「イヌ」全般を指すのとは違い、「狗」は主に、小型犬や子犬を指すようになっています。
ただ、古くはこうした使い分けがされていましたが、現在ではほとんどなく、大型も小型も含めて「犬」が使用されるのが通常です。
「戌」とは
「戌」とは、「十二支の11番目」という意味の言葉です。年や方位などを表す際に用いられる十二支の1つで、酉(とり)の後、亥(い)の前の順番になります。訓読みでは「いぬ」ですが、音読みでは「じゅつ」になり、「戊戌(ぼじゅつ)」などと使われます。
「戌」は、もともと「まさかり」を意味する漢字ですが、その後十二支のそれぞれに動物の名が付けられた際、「いぬ」の読みが割り当てられました。
このように、「戌」は動物の「イヌ」ではなく、十二支の1つを表す点が、「犬」や「狗」との違いになります。
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