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「ネット」と「グロス」と「マージン」の意味と違いとは
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「ネット」と「グロス」と「マージン」の意味と違い
ビジネスシーンでは「ネット」と「グロス」と言った言葉がよく使われます。ビジネス用語の1つでマーケティング業界などで頻繁に使われていますが、他にもオフィスなどの不動産投資関連、自動車のエンジンなど様々なシーンでも頻繁に使用されています。
また、グロスやネットは仕事以外にもゴルフやマラソンなどスポーツの場で使用されています。
ここではネットとグロス、そしてマージンの違いについてご説明致します。
一般的なビジネスシーンで使われるグロスとネット、マージン
当然のことですグロスとネット、そしてマージンはそれぞれ意味が異なります。ここでは広告代理店を例にそれらの違いについて解説していきます。
グロス(Gross)とは総計や総額を意味する言葉です。
広告業界では広告代理店が仕入れる際にかかった広告枠の原価と広告代理店の手数料を足した合計がグロスとなります。値引きなどを除けば、基本的に「グロス=売上」または「グロス=販売価格」となります。
ネット(Net)とは正味や純量などを意味する言葉です。
広告業界では広告代理店が仕入れる際にかかった広告枠の原価がネットなります。
つまりグロスとは意味が大きく異なり簡単に言えば「ネット=原価」となります。
マージン(Margin)とは売価から原価を差し引いた金額、つまり儲けや粗利益などを意味する言葉です。
つまり広告業界では「ネット=代理店手数料」や「ネット=粗利益」となります。
例えば、原価70万円の求人広告を広告代理店から100万円で提案された場合には
「グロス:100万円」、「ネット:70万円」「マージン:30万円」となります。
また、AmazonなどのECサイトでもネットやグロスと言った表現が頻繁に使われています。
そもそもそういったECサイトは商品を販売したい出店者がECサイトに商品を出品し、商品が売れるごとにECサイト運営者側に販売価格に応じた手数料が入ります。また、商品の代金も購入者から出品者に直接渡る訳ではなく、購入者からECサイト側に支払われ、手数料を差し引いた代金がECサイト運営者から出品者へ支払われます。
そのため、出店者から見た場合、商品が売れることでたつ売上がグロス、商品を仕入れるためにかかった原価をネット、そしてECサイト側に差し引かれる手数料がマージンとなります。
ゴルフにおけるグロスとネット
ゴルフでもグロスやネットと言った表現が使われます。ゴルフが趣味という方はもちろん、仕事でゴルフコンペなどに参加した経験がある方なら一度は聞いたことがあるという方も多いと思います。
ゴルフにおけるグロスとは、ホールアウトした際のスコアを意味する言葉です。当然のことですがドライバーやパターなどで打った打数はもちろん、OBなどのペナルティなども含んで計算されます。
ネットの意味とは、上記のグロスからハンディキャップを差し引いたスコアのことです。
ゴルフでは広告業界のようにマージンと言った表現はありませんが、代わりにハンディキャップがあります。
ハンディキャップとはゴルフの実力差を埋めるため設定のことで各個人ごと違うハンディキャップが与えられます。ルールによっては若干の差はありますが最大で0から36までのハンディキャップが与えられます。
例えば、ゴルフ経験の長く上手なAさんのハンディキャップが5でグロスが80だった場合、ネットは75となり、一方、ゴルフ経験の短くあまり上手くないBさんのハンディキャップ30でグロスが100だった場合、ネットは70となり、この場合はBさんの勝利となります。
オフィスや不動産投資におけるグロスやネット
不動産投資の世界でもグロスやネットと言った言い方が使用されます。
不動産投資におけるグロスとは利回りを意味する言葉で、利回りとは投資金額に対して得られる収入の割合のことです。例えば1億円で購入した不動産によって年間で500万円の家賃収入が得られた場合「500万円÷1億円×100=5%」、つまりグロスは5%となります。
ネットとは実質利回りと呼ばれるモノで、不動産経営を行うことによってかかる固定資産税や保険料、修繕費などを差し引き、実際の収入から計算した割合のことです。
例えば固定資産税や保険料、修繕費などが年間で100万円かかったとすれば、実際の収益は400万円となり「400万円÷1億円×100=4%」といった計算からネットは4%となります。
すでにお気づきの方もいると思いますが、これまで紹介したグロスやネットとは違い、不動産投資の場合には%でグロスやネットは表されます。
また、同じ不動産でも賃貸オフィスなどでは違った意味でグロスやネットと言った表現が使われています。
賃貸オフィスなどの不動産におけるグロスとは、実際にテナントが使用するオフィスフロアに加えて、他の会社と共有で使用する給湯室やトイレ、廊下、エレベーターホールなどの面積などを含めた面積を意味します。
実際にオフィスとして使用できるスペースが80坪でトイレなどの共有分などの面積が20坪の場合にはグロスは100坪となります。
一方、ネットとは実際にオフィスとして使用できる部分の面積のことです。上記の例で言えば80坪がネットと言うことになります。
上記で記載したように単にグロスやネットと言った表現をすることもありますが、グロス面積やネット面積と言った表現をすることもあります。
マラソンにおけるグロスやネット
マラソンでもグロスやネットと言った表現が使用されています。特に参加者が多い大規模なマラソンでは頻繁に使用される機会があります。
マラソンにおけるグロスとは実際のスタートの合図が鳴ってからゴールするまでにかかった時間のことです。
一方、ネットとはスタートの地点を通過した時点からゴールするまでにかかった時間のことです。
参加者が多いマラソン大会の場合にはスタートの合図と同時に参加者全員が一斉にスタートすることは困難なため、スタートの合図があってから数分、数十分後にスタート地点を追加することも少なくありません。そのため、スタートの合図ではなくスタート地点を通過してからのネットで自分のタイムを測ることが往々にして存在しています。
また、グロスのことはグロスタイム、ネットのことをネットタイムと言うこともありますが意味に違いはありません。
商品の重さ
商品の重さを表現する場合にもグロスやネットと言った表現がたびたび使用されます。
グロスとは商品自体の重さに加えて、乾燥剤やパッケージなどの重さも含めた総重量のことです。
一方、ネットとはパッケージなどの重さを含めず、商品自体の重さを表した表現です。
パッケージに貼り付けられているラベルなどにNET「200g」と記載がされている場合には商品自体の重さを表していますので、パッケージや乾燥剤などの重さは含まれていません。
実際に海外でも、「gross weight(グロスウェイト)」や「net weight(ネットウェイト)」と表現されています。
自動車のエンジンにおけるグロスやネット
自動車に搭載されているエンジンのスペックを表現する際にもグロスやネットと言った表現が使用されます。
自動車におけるグロスとは、グロス値とも呼ばれ、エンジン単体で測定を行った際の能力を数値化したモノです。
一方、ネットとは、ネット値とも呼ばれ、エンジンを自動車本体に載せた状態で測定した際の能力を数値化したモノです。
車種などによってグロス値とネット値の差には違いが出ますが、ガソリン車で15%前後、ディーゼル車で10%前後の違いが出ると言われています。
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