一般常識
「不当」「不正」「不法」「不適法」「違法」の意味と違い
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「不当」「不正」「不法」「不適法」「違法」の意味と違い
「何かについて非があること」「あることにそむいていること」を示す言葉には、さまざまなものがあります。「それは不当な行為だ」「不正は許されない」のように、「不当」「不正」は思い浮かびやすいところでしょうが、ほかに「不法」や「不適法」「違法」といったものもあります。これらは何となく同じ意味合いで使われがちですが、細かく見ると微妙な違いがあり、それぞれ使い分けることが可能です。
今回は、「不当」「不正」「不法」「不適法」「違法」の意味と違いについて解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
「不当」とは
「不当(ふとう)」とは、「正当・適当でないこと」という意味の言葉です。道理に合わないことや、そうしたさまについても言います。
「彼の訴えた手段は誰が見ても不当なものだった」「彼女の告発は世間から不当に攻撃された」「経営者の勝手な都合で辞めさせられるのは不当解雇にあたる」などのように使われます。
「不当」の「当」という字は「あたる」を意味しますが、この場合は「道理に適っている(物事の順序や考え方が合っている」「正しい」などの意味を表します。
「不正」「不法」などとの違いにあたる「不当」の特徴は、「ルールのあるなしにかかわらない」という点になります。「不当」の場合は「道理に合わない」という部分がポイントで、明確なルールなどに反していない場合でも当てはめられるようになっています。
例えばある芸能人への辛辣な評価で、法律に触れないまでも常識に照らして偏っていると見える意見については、「不当」の語を使うことができます。
「不正」とは
「不正(ふせい)」とは、「正しくないこと」「正当でないこと」「正義でないこと」といった意味の言葉です。また、そうした行いやさまについても言います。
「彼女はテストで不正を働いた事実を認めようとしなかった」「彼が不正にチケットを転売したことは明らかだ」「今回の入札で不正があったことが発覚した」などのように使われます。
「不正」の「正」の字は、「ただしい」「まっすぐ」「法律・規範・基準に対して乱れたところがない」などの意味を表します。
「不正」と「不当」の違いは、上記のように「ルールを基準とするかどうか」という点にあります。「不当」がルールがなくても該当するのに対し、「不正」はルールが存在するのにそれに沿わない場合に使われます。一方「不法」とは、法令違反以外のもの(職務上の義務違反など)についても使われる点で区別されます。
「不法」とは
「不法(ふほう)」とは、「法にはずれること」「法に違反していること」という意味の言葉です。また、そのさまについても言います。「彼女の部屋には何者かが不法に侵入した形跡があった」「ゴミの不法投棄は社会にとって重要な問題の一つだ」などのように使われます。
「不法」はまた、「道理・道義にそむくこと。また、そのさま」の意味もあります。この場合は、「相手から不法な要求を突きつけられて困っている」などのように使われます。
「不法」の「法」の字は、「おきて」や「さだめ」、「規則」、「法律」などの意味を持ちます。
「不法」は主に「法に反している」ことを表す言葉で、法令以外の違反についても使われる「不正」とは意味が違います。一方「不適法」とは、後述するように「法に対する実質的な違反」を指す点で使い分けられます。
「不適法」とは
「不適法(ふてきほう)」とは、「法令の規定に適合しないこと」という意味の言葉です。また、そのさまについても言います。「訴えは不適法であるとして退けられた」「不服申立ては要件を満たしておらず、不適法とみなされた」「不適法な控訴は却下される旨民事訴訟法に規定されている」などのように使われます。
「不適法」の「適」は、「かなう」「うまく当てはまる」「道理に合っている」などの意味を表す漢字になります。
法令用語としての「不適法」と「不法」の違いは分かりづらいところですが、「形式的な違反か実質的な違反か」という点で区別されます。「不法」が「法律の理念(公共の福祉など)への違反」=実質面に重きを置く言葉なのに対し、「不適法」は「法律の規定への違反」=形式面に重きを置く言葉となっています。
「違法」とは
「違法(いほう)」とは、「法律・規定などにそむくこと」という意味の言葉です。また、そうした行為についても言います。「ファイル共有ソフトは使い方によっては違法となることがある」「オークションの価格吊り上げ行為は違法ではないが、規約違反にあたる」「あのビルは防災設備が古いままの違法建築物だ」などのように使われます。
「違法」の「違」は、「そむき離れる」を表し、「ちがう」「さからう(従わないで反抗する)」などの意味を持ちます。
「違法」と「不法」「不適法」は「法にそむくこと」を意味する点で同じですが、微妙な違いがあります。「違法」の場合、「行為または状態が法令に違反している」ことを指しており、法律学上では、これを形式面と実質面の二面から論ずる行為がなされています。つまりこの点からすると、「違法」の形式的な面に注目したものが「不適法」で、実質的な面に注目したものが「不法」と使い分けることができます。
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