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ヨーロッパとは?全54国のヨーロッパの国一覧
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「ヨーロッパ」という名称は、普段から政治関連のニュースや旅行関連の情報など、さまざまな場所で目にするものです。
しかし、ヨーロッパと呼ばれる地域について漠然としたイメージはあっても、具体的な範囲や国の位置などについては、それほど詳しくないという人も多いでしょう。一体ヨーロッパとはどんなところで、どういった国々が含まれるのでしょうか。
本記事では、ヨーロッパの簡単な定義や区分とともに、そこに属する国の一覧についても紹介していきたいと思います。
ヨーロッパとは
ヨーロッパとは
「ヨーロッパ」とは、「大州(たいしゅう)」と呼ばれるものの1つです。大州は、地球上の陸地をいくつかの領域に分けたものを指す言葉で、ヨーロッパのほかにはアジアやアフリカ、オセアニアなどがあります。アジアとは同じ大陸上にあり、2つの大州を合わせて、「ユーラシア」と呼ぶこともあります。定義は場合によりさまざまですが、ユーラシア大陸北西の半島部を包括し、東はウラル山脈から黒海、ボスポラス海峡などを結ぶ線で区切られた領域を指すのが通常です。
現在日本の外務省では、ヨーロッパには54の国が含まれるとしています。つまりヨーロッパは、1つの国名や大陸を指す言葉ではなく、多くの国々が集まる領域名ということになります。
4つのヨーロッパ
ヨーロッパは、大きく「東ヨーロッパ」「北ヨーロッパ」「南ヨーロッパ」「西ヨーロッパ」の4つに区分できます。それぞれの領域の定義は、場合によって異なりますが、「東ヨーロッパ」にはウクライナ、ベラルーシ、ロシアなどが含まれ、「北ヨーロッパ」には、デンマークやフィンランド、アイスランドなどが含まれます。「南ヨーロッパ」は、イタリア、ギリシャ、スペイン、マルタなどを含んでおり、「西ヨーロッパ」は、ドイツ、フランス、オーストリア、オランダ、スイスなどを含む地域になります。
ヨーロッパに属する国一覧
それでは、ここからはヨーロッパと呼ばれる領域に属する国々について、具体的に見ていきましょう。前述のように、日本の外務省では、ヨーロッパには54の国が含まれると定義しています。以下の一覧では、それら54ヵ国の特徴などについて、それぞれ解説していきます。
アイスランド
ヨーロッパの国一覧、最初に紹介するのは、アイスランドです。正式名称は、「アイスランド共和国」になります。北大西洋上に位置する島国で、区分としては北ヨーロッパに含まれます。国土の面積は、フィリピンのルソン島や大韓民国とほぼ同等となっています。公用語はアイスランド語、首都はレイキャビクになります。
経済は、2008年の世界金融危機で一時危険な状況に陥りますが、その後は順調に回復しています。古来から漁業が盛んであり、捕鯨賛成国としても知られます。文化的には、旧宗主国だったデンマークの影響を強く受けていますが、冷戦期までアメリカ軍が駐留していたこともあり、近年はアメリカ文化の影響も濃くなっています。
アイスランドはまた、世界的にも稀な「軍隊を持たない国」としても有名で、国土防衛は沿岸警備隊などが担っています。
アイルランド
「アイルランド共和国」と呼ばれる場合もありますが、公式名称は「アイルランド」になります。ヨーロッパ北西に位置する国で、北大西洋に浮かぶアイルランド島の大部分を領土としています。首都はダブリンで、公用語は英語とアイルランド語が使われます。イギリスの植民地時代を経て、1922年に独立しました。
やはり2007年の金融危機で深刻な影響を受けますが、その後経済は急速に持ち直しています。ハイテクやライフサイエンス分野の多国籍企業を多く誘致していることから、医薬品や医療機器、ソフトウェア関連の商品・サービスの世界的な輸出国として知られます。
ジョナサン・スウィフトやジェイムズ・ジョイスなど、歴史的に著名な文学者が多いことでも有名で、ポップミュージックの分野でも、U2やエンヤなど多数の世界的スターを輩出しています。
アゼルバイジャン
アゼルバイジャン共和国は、西アジアと東ヨーロッパの交差点に位置する国で、陸上ではロシアやジョージア、アルメニアなどと国境を接しています。公用語はアゼルバイジャン語で、首都はバクーになります。民族はアゼルバイジャン人がほとんどですが、そのほかにロシア人やアルメニア人なども住んでいます。旧ソ連に属していましたが、1991年に独立しました。国連の定義によると、大部分は西アジアに属します。
経済に関しては、豊富な天然資源を有し、高い成長率を記録している一方、国民は激しいインフレや失業率の高さに直面しています。ワインの世界的産地であり、品質はコーカサス有数の上質さを誇ります。国内の世界遺産には、「城壁都市バクー」や「シルヴァンシャー宮殿」などがあります。
アルバニア
アルバニア共和国は、バルカン半島南西部に位置する東ヨーロッパの国です。西はアドリア海に面し、海を挟んでイタリアに相対しています。モンテネグロ、コソボ、北マケドニアなどと国境を接しています。公用語はアルバニア語で、首都はティラナになります。1944年に社会主義国家となりますが、92年に民主化されました。
1人あたりGDP(国内総生産)は4,565米ドル(2013年)で、世界平均の40%ほどの水準となっており、バルカン半島でも最下位に位置するなど、苦しい状況が続いています。主な産業は農業で、小麦やトウモロコシ、ジャガイモなどの生産が盛んです。2010年ごろからは観光業が発展しており、夏季には多くの観光客を国内外から集めています。
国民の多くはイスラム教徒ですが、穏健で世俗的なことから、レストランでもアルコールや豚肉の提供は禁じられていません。
アルメニア
アルメニア共和国は、東ヨーロッパのアルメニア高原に位置する国です。トルコ、ジョージア、アゼルバイジャンなどと国境を接しています。公用語はアルメニア語で、首都はエレバンに置かれています。国連の定義によると、ヨーロッパではなく西アジアに分類されます。1991年までソ連に属していましたが、同年9月に独立しました。
2013年のGDPは104億ドルで、1人あたりGDPは3,173ドルとなっています。これは世界平均の30%ほどで、アゼルバイジャン、ジョージアを合わせた南コーカサス3国の中でも最低となっています。賃金が安いことから、労働者の多くがロシアへ出稼ぎに行くため、人口は年々減りつつあります。
国内の主要な産業には、農業や工業、宝飾品加工業などがあります。ワインの製造が盛んなことで知られており、「アルメニア・コニャック」と呼ばれるブランデーも世界的に有名です。
アンドラ
アンドラ公国は、フランスとスペインに挟まれた、ピレネー山脈中にある国家です。地域区分では、西ヨーロッパに含まれます。首都のアンドラ・ラ・ベリャは、ヨーロッパで最も高所にある首都で、公用語はカタルーニャ語が使われています。
規模が非常に小さい「ミニ国家」として知られ、人口は79,000人(2011年)ほどとなっています。フランス大統領と、スペインのウルヘル司教を元首としていますが、両者が直接国政に関わることはありません。
主要な産業は観光業で、アンドラ・ラ・ベリャはショッピングのメッカとして、多くの免税店が軒を並べています。2011年まではタックスヘイブンでしたが、外国人による脱税目的の銀行預金が相次いだことから、2012年以降は法人税や、非居住者に対する直接税などが課されるようになっています。
イタリア
イタリア共和国は、南ヨーロッパに位置する国で、首都はローマに置かれています。領土はイタリア半島を中心に、シチリア島やサルディーニャ島などを有しており、陸上ではスイスやオーストリアなどと国境を接しています。公用語は、イタリア語です。
経済的には先進国にあたり、世界8位のGDP(2018年)を誇ります。EU加盟国の中では、ドイツ、フランスに次ぐ3位の位置です。主要な産業は工業で、特に自動車産業は、国内総生産の8.5%にのぼっています。
歴史的に豊かな文化水準を誇ることでも知られており、文学ではダンテやルイジ・ピランデルロ、音楽ではベルディやプッチーニ、そして美術では、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロといった著名な芸術家を多数輩出しています。さらに、国内には数多くの世界遺産が存在し、食文化も豊かなことから、観光地としても世界的な人気を得ています。
ウクライナ
ウクライナは、東ヨーロッパに属する国家です。ロシア、ハンガリー、ポーランド、スロバキアなどと国境を接しています。首都はキエフに置かれており、公用語はウクライナ語になります。
旧ソ連邦の構成国で、1991年のソ連崩壊に伴い、独立を果たしました。ただロシアとの関係は、2014年に「クリミア危機(クリミア半島の帰属をめぐる争い)」が勃発するなど、極度に悪化した状態が続いています。1986年4月には、チェルノブイリ原発事故により国内外に多大な被害が発生しました。
1人あたりGDPは3,930ドル(2013年)と、世界平均の40%ほどで、名目GDPも欧州で最も低いレベルとなっています。民族は8割をウクライナ人が、2割をロシア人が占めます。また、少数民族としてクリミア・タタール人、モルドヴァ人などがいます。
国内の世界遺産には、「キエフの聖ソフィア大聖堂」や「リヴィウ歴史地区」などがあります。
ウズベキスタン
ウズベキスタン共和国は、カザフスタン、トルクメニスタン、アフガニスタンなどと国境を接する、中央アジアの国家です。国連の定義では、ヨーロッパには含まれていません。首都はタシュケント、公用語はウズベク語になります。
旧ソビエト連邦の構成国で、ソ連崩壊後に独立し、現在の国名へ改称しました。1人あたりGDPは1,520ドル(2017年)と、世界平均の20%ほどですが、近年は天然ガス関連の投資が盛んなこともあり、比較的好調な経済成長を遂げつつあります。
かつてシルクロードで栄えたことから、ヨーロッパ文化の影響が色濃く残っています。大帝国を誇ったティムール朝の首都サマルカンドや、オアシス都市ブハラ、ヒヴァといった世界遺産の街もあり、観光地としての魅力も備えています。
英国(イギリス)
英国は、正式名称を「グレートブリテン及び北アイルランド連合国」と言います。ヨーロッパ北西に位置しており、グレートブリテン島とアイルランド島北部、その他の島々から成ります。首都はロンドン、公用語は英語です。かつて多くの植民地を持っていたことから、国内には多様な民族が居住しています。2020年1月31日をもって、欧州連合から離脱しました。
2020年時点の名目GDPは世界5位、購買力平価は世界9位を誇る経済大国であり、ヨーロッパ中でも「ビッグ4」と呼ばれる国々の一国になります。文化面でも大きな影響力を持っており、シェークスピアやディケンズなどの文豪を生んだほか、ポップミュージックでもビートルズやローリング・ストーンズといった世界的アーティストを多く輩出しています。また、ウェストミンスター宮殿やストーンヘンジなど、世界遺産を多く擁することでも知られます。
エストニア
エストニア共和国は、北ヨーロッパにある国家です。「バルト三国」と呼ばれる国の1つで、海を挟んでフィンランドに向き合い、陸上ではロシア、ラトビアと国境を接しています。国土面積は、日本の九州ほどです。首都はタリン、公用語はエストニア語になります。1944年にソ連に併合されますが、91年に独立回復を宣言、同年に国連への加盟も果たしています。
1人あたりのGDPは22,990ドル(2018年)で、EU平均では62%ほどですが、バルト三国の中では最も好調な経済となっています。Skypeを生んだ国としても知られており、ソフトウェア開発も盛んに行われています。
首都タリンは中世の面影を色濃く残すことから、観光スポットとして人気で、世界遺産にも登録されています。
オーストリア
オーストリア共和国は、中部ヨーロッパに位置する国です。リヒテンシュタイン、スイス、イタリアなどと国境を接しています。西ヨーロッパや東ヨーロッパに分類されたこともありましたが、基本的には中央ヨーロッパにあたります。首都はウィーンで、公用語はドイツ語になります。
2018年の1人あたりGDPは51,344ドル(世界14位)と、高い経済力を誇ります。主な産業には、自動車産業や鉄鋼業などがあります。また観光業も盛んであり、ウィーンやザルツブルク、チロルといった都市は、世界中から多くの観光客を集めています。
文化面で歴史的に多大な影響力を及ぼしたことでも知られます。特に音楽の分野では、モーツァルト、ハイドン、ブルックナー、シューベルトといった名だたる作曲家を数多く輩出し、首都ウィーンは「音楽の都」と呼ばれました。
オランダ
オランダは、ヨーロッパ西部に位置する国家です。陸上ではドイツ、ベルギーと国境を接しており、北と西は北海に面しています。公用語はオランダ語で、事実上の首都はデン・ハーグ(憲法上はアムステルダム)に置かれています。カリブ海のアルバ、キュラソーといった島々とともに、「オランダ王国」を形成しています。
GDPは約8863億ドル(2020年)で、世界17位の経済規模を誇ります。金融・流通を中心としたサービス業を主な産業としており、これらは全GDPの2/3の規模に達します。チューリップやチーズといった農業も有名ですが、これらの国内経済に占める規模は、現在では数パーセントしかありません。
文化的には非常に開放的なことで知られ、大麻の販売・所持や安楽死も合法となっています。風光明媚な景観も有名で、国内には数多くの観光スポットがあります。
カザフスタン
続いて紹介するヨーロッパ一覧の国は、カザフスタン共和国です。国連の定義では、ウラル山脈より西側の地域はヨーロッパで、それ以外は中央アジアに属します。中国、キルギス、ウズベキスタン、トルクメニスタンなどと国境を接しており、首都はヌルスルタンに置かれています。公用語は、カザフ語とロシア語が使われています。
1936年にカザフ・ソビエト社会主義共和国としてソ連政府のコントロール下に置かれますが、91年12月16日に独立しました。民族構成は、カザフ人が7割弱で、ロシア人が2割ほど、ほかにはウズベク人、ウクライナ人なども暮らしています。
石油・天然ガスが豊富であり、1人あたりGDPは推計9,750ドル(2019年)と、経済状況は比較的好調です。イスラム教徒が多数を占めますが、戒律はゆるく、飲酒も特に禁じられていません。文化面では、現在はヨーロッパの影響が強くなっています。
北マケドニア
北マケドニア共和国は、バルカン半島東部に位置する東ヨーロッパの国です。ギリシャ、ブルガリア、アルバニアなどと国境を接しています。住民はマケドニア人やアルバニア人、トルコ人などが混成していることから、公用語にはマケドニア語、アルバニア語、トルコ語、ロマ語など多数の種類があります。首都はスコピエに置かれています。
旧ユーゴスラビア連邦の構成国でしたが、91年に独立しました。この時の国名「マケドニア共和国」をめぐり、ギリシャとの間で論争が起きた結果、2018年に現在の国名へ改めています。
周辺諸国の混乱や国内の政治的不安などの影響もあり、経済的にはあまり安定していません。オフリド湖などの観光資源に恵まれていることから、近年は観光開発も活発となっています。
キプロス
キプロス共和国は、地中海の東に浮かぶキプロス島の大部分を占める国家です。キプロス島のそのほかの地域は、イギリス海外領土の「アクロティリおよびデケリア」となっています。キプロス共和国も、イギリス連邦加盟国にあたります。公用語はギリシャ語とトルコ語で、首都はニコシアに置かれています。1914年にイギリスに併合されますが、1960年に独立を遂げました。国連による定義では、西アジアに分類されます。
かつては観光業だけに依存する経済でしたが、現在は天然ガスの発掘や、投資によって短期間で市民権を得られるシステムなどもあり、世界中から富裕層が集まる場所として目覚ましい発展を遂げています。また、法人税の低さから、キプロスへ拠点を移す企業も増えています。気候が温暖で風光明媚なことでも有名で、観光地としても世界的な人気を誇ります。
ギリシャ
ギリシャ共和国は、南ヨーロッパのバルカン半島南端に位置する国家です。アルバニア、北マケドニア、ブルガリアなどと国境を接しています。公用語はギリシャ語で、首都はアテネに置かれています。日本語の表記では、「ギリシア」と書かれる場合もあります。
古代に高度な文明を有していたことで知られており、美術や哲学、科学などの分野で、後世のヨーロッパ社会に多大な影響を与えました。また、民主主義の原点としても有名です。
現在の経済規模は、GDPが2,418億ドルと、神奈川県よりやや小さい水準となっています。主力産業は農業や工業、海運業などで、オリーブや綿の生産量は、世界トップクラスを誇ります。また、遺跡などの観光資源も多いことから、観光業も国家の重要な収入源となっています。
キルギス
キルギス共和国は、中央アジアに位置する国で、国境はカザフスタン、タジキスタン、ウズベキスタンなどと接しています。国連の定義では、ヨーロッパには含められていません。首都はビシュケクに置かれ、公用語はキルギス語とロシア語が使われています。1910年代にソ連の支配下に入りますが、91年に正式に独立しました。ウズベキスタンなどと同じく、かつてのシルクロードの一部にあたります。
民族は多数派のキルギス人のほか、ウズベク人、ロシア人、ドンガン人などが暮らす多民族国家となっています。農業や牧畜を主な産業としており、綿花やタバコの栽培が盛んです。世界屈指の金鉱山を有することもあり、金の輸出も活発となっています。
また、国土には「中央アジアのスイス」と呼ばれる美しい高原が広がることもあり、観光産業にも注力しています。
クロアチア
クロアチアは、バルカン半島に位置する東ヨーロッパの国です。南はアドリア海に面し、陸上ではスロベニア、ハンガリー、セルビアなどと国境を接しています。首都はザグレブで、公用語はクロアチア語ラテン文字となっています。
1991年に「ユーゴスラビア社会主義連邦共和国」からの独立を宣言しますが、領内に住むセルビア人をめぐり、ユーゴスラビア軍との間で「クロアチア紛争」が勃発します。結果、95年の終結までに大量の死者や難民を発生させる事態となりました。
GDPは約574億ドル(2013年)で、日本の山口県の経済規模とほぼ同程度となっています。サッカーやバスケット、テニスなどさまざまな競技において、数々の名選手を輩出していることでも知られます。
コソボ
コソボ共和国は、バルカン半島中部に位置する国です。広義の南ヨーロッパに含まれます。内陸国であり、セルビア、マケドニア、アルバニア、モンテネグロなどの国と国境を接しています。公用語はセルビア語とアルバニア語で、首都はプリシュティナに置かれています。
ユーゴスラビアの一部であった1950年代から独立運動が起こり、98年になると、セルビアとの間で「コソボ紛争」が勃発します。結局、2008年にセルビアからの独立を宣言しますが、これについては欧米諸国を中心に承認する国がある一方で、セルビアや中国など、国連加盟国の半数近くは承認していません。経済的にはヨーロッパの後進地域にあたり、失業率も3割と、ヨーロッパ最悪の水準となっています。主要な産業は農業ですが、鉱物資源も多く、特に亜鉛鉱山はヨーロッパでも最大級の規模を誇ります。
サンマリノ
サンマリノ共和国は、イタリア半島中東部に位置する国です。国土は全方面をイタリアに囲まれており、面積は日本の十和田湖と同程度(約61平方km)です。公用語はイタリア語で、首都はサンマリノ市にあります。世界で5番目に規模の小さい「ミニ国家」であり、人口は33,285人(2016年)ほどとなっています。
1631年にローマ教皇が独立を承認し、世界最古の独立共和国として成立しました。主要な産業は観光で、GDPの半分以上の収入を稼いでいます。付加価値税が一切ないことから、イタリアはもちろん諸外国からも、買い物目的の観光客が年間300万人程度訪れます。また、中世の面影をそのまま残した街並みも人気です。法人税率が低いことでも知られ、近年は諸外国からの企業進出も増加傾向にあります。
ジョージア
ジョージアは、南コーカサスの1国(ほかはアゼルバイジャン、アルメニア)です。国連の定義では、ほとんどの地域は西アジアですが、広義の東ヨーロッパに分類できます。アルメニアとアゼルバイジャンのほか、ロシア、トルコと国境を接しています。公用語はジョージア語で、首都はトビリシにあります。
旧ソ連加盟国ですが、独立以来、ロシアとは対立関係にあります。国名の日本語表記については、以前はロシア語名の「グルジア」が用いられていましたが、ジョージア政府の要望により、2015年からは英語名の「ジョージア」表記が使われるようになっています。
一人あたりGDPは3,597ドル(2013年)で、世界平均の40%未満の水準です。以前から黒海観光を大きな収入の柱としていましたが、近年は歴史的建築物の修復を行うなど、観光客誘致にさらに力を注いでいます。
スイス
スイス連邦は、中央ヨーロッパにある連邦共和制国家です。内陸に位置しており、ドイツ、フランス、イタリア、オーストリアなどと国境を接しています。公用語はドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語で、首都はベルンにあります。ジュネーブには、国連欧州本部など数多くの国際機関本部が置かれています。
自衛以外では戦争ができない「永世中立国」として知られています。国民皆兵を標榜しており、20~30歳の男性の兵役は義務で、女性については任意となっています。
2013年の1人あたりGDPは8万1,323ドルと、世界トップクラスの水準を誇ります。国際競争力の高さや、富裕層の多さでも世界的に有名です。金融業を始め、電力、鉱業、化学薬品など産業分野の幅広さも特徴となっています。また、雄大な自然を擁することから、観光地としても世界屈指の人気を集めています。
スウェーデン
スウェーデン王国は、スカンディナビア半島にある北ヨーロッパの一国です。陸上ではノルウェー、フィンランドと国境を接し、海を挟んでドイツ、ポーランド、リトアニアなどと相対しています。デンマークとは、「オーレスン・リンク」と呼ばれる橋と海底トンネルでつながっています。公用語には2009年からスウェーデン語が採用されていますが、フィンランド語やロマ語などの話者も、少数ながら存在します。首都はストックホルムに置かれています。
社会保障制度が充実していることで知られ、税金制度や高齢者福祉などの社会政策は、各国から注目されています。2015年のGDPは4,926億ドル、1人あたりGDPは5万7,810ドルで、世界屈指の高所得国となっています。主な産業には、自動車産業や鉄鋼業などがあります。
また、ポップミュージックの分野で世界的なアーティストを多数輩出するなど、文化面でも大きな存在感を発揮しています。
スペイン
スペイン王国は、イベリア半島の大部分を占める南ヨーロッパの一国です。ポルトガル、イギリス領ジブラルタル、フランスなどと国境を接しています。本土以外にも、アフリカ大陸のセウタやメリリャ、大西洋のカナリア諸島などの領地を有しています。公用語はスペイン語、首都はマドリードになります。
16世紀には世界的な覇権を握りますが、次第に弱体化し、20世紀には内戦を経験するなど、政治的には混乱します。その後はフランコ将軍の独裁体制を経て、1978年に民主化されました。
現在のGDPは1兆1997億ドル(2015年)で、世界14位となっています。産業はサービス業の比重が大きく、特に観光業による収入は、GDPに占める割合が高くなっています。主な観光スポットとしては、バルセロナのサグラダファミリアやグエル公園、グラナダのアルハンブラ宮殿やカサ・ミラなどがあります。
スロバキア
スロバキア共和国は、中央ヨーロッパに位置する共和制国家です。チェコ、ポーランド、ウクライナなどと国境を接しています。首都はブラチスラバに置かれ、公用語はスロバキア語が使われています。
第一次大戦後は、チェコと合併する形で「オーストリア・ハンガリー帝国」から独立しますが、1993年にチェコスロバキアから分離し、スロバキア共和国として現在に至っています。
2018年のGDPは、1,066億ドルとなっています。伝統的な農業国ですが、近年はフランスのPSA・プジョーシトロエンや、韓国の起亜自動車による工場の設立も相次いでいます。住民は8割以上を占めるスロバキア人のほか、マジャル人、ロマ人なども暮らしています。著名な観光スポットとしては、ブラチスラバ城や聖アルジュベタ教会などがあります。
スロベニア
スロベニア共和国は、中央ヨーロッパに位置する国です。イタリア、オーストリア、ハンガリー、クロアチアと国境を接しています。公用語はスロベニア語で、首都はリュブリャナに置かれています。第二次大戦後にユーゴスラビア社会主義連邦共和国の1つとなりますが、1991年6月に独立しています。2004年にはEUとNATOに加盟、2007年には、元共産主義国として初めてユーロ圏に参加しました。
経済は、ユーゴスラビア離脱後は一時低迷しますが、現在は安定した成長を続けており、旧共産圏としては随一の生活水準を誇ります。伝統的に工業が盛んであり、繊維産業や金属加工業が充実している一方で、農業国としての一面もあります。
日本では旅行先としての知名度はまだそれほどありませんが、治安の良さに加えて美しい自然や街並みが広がることから、観光面でも魅力的な国となっています。
セルビア
ヨーロッパの国一覧、続いてご紹介するのは、セルビア共和国です。ヨーロッパ南東に位置する、バルカン半島中西部の国になります。ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアなどと国境を接しています。首都はベオグラードに置かれ、公用語はセルビア語が使われています。
第二次大戦後、ユーゴスラビア社会主義連邦共和国の1国となりますが、その後ユーゴ解体などを経て「セルビア・モンテネグロ」に国名を変更、さらに2006年にモンテネグロが独立し、セルビア共和国となりました。2008年には、コソボが独立を宣言しています。
2018年のGDPは505億ドル、1人あたりGDPは7,223ドルと、経済的には厳しい状況となっています。コソボ周辺ではいまだに不安定な状態が続いていますが、その他の地域の治安は概ね良好で、国内には美しい自然や遺跡などの観光資源も多く存在します。
タジキスタン
タジキスタンは、中央アジアに位置する国家で、アフガニスタン、中国、キルギス、ウズベキスタンと国境を接しています。国連の定義では、ヨーロッパにはあたりません。首都はドゥシャンベにあり、公用語はタジク語が使われています。旧ソビエト連邦の構成国ですが、ソ連の解体に伴い、91年に独立を果たしました。
92年から97年にかけて内戦が行われ、その中で国連監視団として派遣されていた、筑波大学の秋野豊助教授が銃撃され死亡するという事件も起きています。内戦終結後の経済成長は目覚ましいものの、GDPは69億ドル(2016年)で世界142位と、依然として厳しい状況が続いています。
アルミニウム生産と綿花栽培、そして国外への出稼ぎ労働が主要な歳入減となっています。特にロシアへ出稼ぎに出る労働者が多く、その数は人口の1割にも及んでいます。
チェコ
チェコ共和国は、中央ヨーロッパに位置する共和制国家です。ポーランド、スロバキア、オーストリア、ドイツと国境を接しています。公用語はチェコ語で、首都はプラハに置かれています。
第一次大戦後に「チェコスロバキア共和国」として成立し、第二次大戦後には共産主義体制が確立されます。1989年に民主革命が起こった後は、それまで反発しあっていたスロバキアと平和裏に分離が行われ、独立を果たしました。
2019年のGDPは2,470億ドル、1人あたりGDPは2万3,213ドルとなっています。2015年以降の経済は、EU全体の成長率を上回る堅調ぶりで、失業率も2%台(2018年)と、EU域内国中でも最低水準にあります。主要産業は、自動車などの機械工業や化学工業ですが、国内には中世風の街並みや美しい景観が多いことから、観光業も活発となっています。
デンマーク
デンマークは、北ヨーロッパに位置する立憲君主制国家です。ユトランド半島とその周辺の島々から成り、自治権を持つグリーンランドとフェロー諸島と共に、「デンマーク王国」を形成しています。海を挟んでスカンディナビア諸国と、陸上ではドイツと国境を接しています。公用語はデンマーク語で、首都はコペンハーゲンにあります。
「ノルディック・モデル」と呼ばれる福祉国家として知られ、国民の所得格差は世界最小となっています。国連世界幸福度報告では1位(2014年)に輝くなど、市民の生活満足度が高いことも特徴です。2016年の1人あたりGNI(国民総所得)は56,730ドルで世界5位と、経済的にも高い水準にあります。
観光地としても人気が高く、「ハムレット」の舞台であるクロンボー城や、カラフルな木造家屋が並ぶニューハウンなど、有名な観光スポットが数多くあります。
ドイツ
続いて紹介するのは、ドイツ連邦共和国です。ドイツは中央ヨーロッパの西部に位置しており、周辺の国にはデンマーク、ポーランド、チェコ、スイス、オーストリアなどがあります。公用語はドイツ語で、首都はベルンに置かれています。
政治面・経済面でヨーロッパの主導的立場にある大国で、人口もEU最大となっています。GDPの規模は欧州内トップで、世界でも4位を誇ります。主要産業は自動車、機械、化学・製薬、電子、光学、医療技術など多岐にわたります。国民の生活水準は非常に高く、移住地としても、米国に次いで世界2位の地位を占めています。
また、文化面でも豊かな歴史を誇り、文学、哲学、音楽などの分野では、数多くの世界的有名人を輩出しました。国内には数々の観光スポットを有するほか、「オクトーバーフェスト」などのイベントでも、世界中から観光客を集めています。
トルクメニスタン
トルクメニスタンは、中央アジアの南西部に位置する共和制国家です。西側はカスピ海に面し、その他はアフガニスタン、イラン、ウズベキスタンなどと国境を接しています。公用語はトルクメン語で、首都はアシガバットに置かれています。国連による定義では、ヨーロッパには含まれません。
1924年に「トルクメン・ソビエト社会主義共和国」としてソ連の構成国の1つとなりますが、91年の10月に独立を宣言しました。95年12月には、国連総会で永世中立国として認められています。国土の大部分はカラクム砂漠で、ほとんどの国民は山沿いの都市部で暮らしています。
2017年の1人あたりGDPは6,643ドルで、世界平均の60%ほどの水準です。石油・天然ガスに恵まれた資源大国でもあり、近年は急激な発展を遂げつつあります。国内にはシルクロードの古代遺跡や、50年近く燃え続けるクレーター「地獄門」などの観光資源も有しています。
ノルウェー
ノルウェー王国は、スカンディナビア半島西岸にある立憲君主制国家です。分類としては北ヨーロッパに属し、スウェーデン、ロシア、フィンランドと国境を接しています。公用語はノルウェー語とサーミ語で、首都はオスロにあります。
ノルディックモデルの福祉国家であり、国連開発計画が発表している「人間開発指数(国民の健康や繁栄具合を示す指数)」では、世界1位(2020年)に位置付けられています。また、世界幸福度報告でも5位(2020年)にランキングされているほか、民主主義の成熟度や報道の自由度でも、諸機関から高く評価されています。
経済規模は東京都よりやや小さい程度ですが、1人あたりGNIは9万3,820ドル(2015年)で、世界1位となっています。「ガイランゲルフィヨルド」など観光スポットも多く、白夜やオーロラといった自然現象も人気を集めています。
バチカン
バチカン市国は、イタリア・ローマ市内に領土を持つ国家です。公用語はラテン語で、首都はありません。1929年、イタリアとローマ教皇庁との間結ばれた「ラテラノ条約」により、独立国として承認されました。国土面積は0.44平方Kmしかなく、世界最小となっています。
カトリック教会の本拠地であり、ローマ教皇が元首として、立法、行政、司法の全権を行使しています。軍事力は保有しておらず、警察力については、スイスの傭兵で構成される「市国警備員」が担っています。イタリアとの入出国は自由で、国境検問所などの類はありません。
経済に関しては、産業活動などは特に行っておらず、歳入は世界中のカトリック信徒からの募金などで賄っています。カトリックの総本山であることに加え、サン・ピエトロ大聖堂などの観光スポットも多いことから、世界屈指の人気観光地となっています。
ハンガリー
ハンガリーは、中央ヨーロッパに位置する共和制国家です。オーストリア、スロベニア、スロバキアなどと国境を接しています。公用語はハンガリー語で、首都はブダペストにあります。
第二次大戦後は共産主義体制が確立され、ソ連の衛星国となります。その後、80年代に入ると民主化運動が起こり、89年に共和国へ体制転換しました。2012年に、国名を「ハンガリー共和国」から「ハンガリー」へ改めています。
2018年の1人あたりGDPは1万6,484ドルで、世界平均の約1.4倍、EU平均の約45%となっています。主要な産業は機械工業や化学・製薬工業などですが、トカイワインなどワインの製造でも世界的に知られています。著名なクラシック作曲家を多く輩出しており、文化面でも豊かな歴史を誇ります。また、首都ブダペストは「ドナウの真珠」と呼ばれるなど、観光地としても人気です。
フィンランド
フィンランド共和国は、北ヨーロッパに分類される共和制国家です。スウェーデン、ノルウェー、ロシアと国境を接しており、フィンランド湾を挟んだ南側には、エストニアが位置しています。公用語はフィンランド語とスウェーデン語で、首都はヘルシンキにあります。14世紀にスウェーデンの一部となったのち、1809年にロシアへ割譲されますが、1917年になって独立を果たしました。
人口や経済規模は比較的小さい(日本の北海道とほぼ同程度)ものの、1人あたりGDPは世界的に見て高い水準にあり、経済的に豊かな国となっています。また、個人の安全やワークライフバランス、主観的幸福などの点でも、OECD加盟国平均を上回っています。
「ムーミン」の作者トーベ・ヤンソンの故郷としても知られ、またオーロラの名所でもあることから、世界的な人気観光地となっています。
フランス
フランス共和国は、西ヨーロッパに属する共和制国家です。スペイン、スイス、ドイツなどに囲まれた本土のほかに、地中海のコルシカ島やカリブ海のマルティニーク、グアドループ、インド洋のレユニオンなど、海外領土も多く有しています。国土面積はヨーロッパ最大で、本土だけに限っても、日本の1.5倍となっています。公用語はフランス語で、首都はパリにあります。
名目GDPは世界7位、購買力平価では世界10位と、ユーロ圏においてはドイツに次ぐ2位の経済大国です。核兵器を保有する軍事大国でもあり、政治面でも世界的に強い影響力を持ちます。また、文化大国でもあり、歴史的に著名な哲学者や文学者、芸術家などを多数輩出してきました。さらに、国内には数多くの世界遺産や美術館などがあることから、世界で最も観光客が集まる国の1つとしても有名です。
ブルガリア
ブルガリア共和国は、ヨーロッパ南東に位置する国です。分類としては、東ヨーロッパに含まれます。ルーマニア、セルビア、マケドニアなどと国境を接しており、東には黒海があります。公用語はブルガリア語で、首都はソフィアに置かれています。1944年にソ連の衛星国となりますが、89年に共産党独裁体制が終わり、91年に民主的な新憲法が採択されました。
経済規模は、GDPが約448億ドル(2010年)と、日本の青森県とほぼ同程度の水準となっています。主な産業には、酪農などの農業と、石油化学や食品加工などの工業があります。食文化では、ヨーグルトが世界的に有名です。
首都ソフィアやリラなどの都市は観光地としても知られ、アレクサンダルネフスキー寺院やリラの僧院といったスポットが人気を集めています。
ベラルーシ
ベラルーシ共和国は、東ヨーロッパに位置する国家です。日本語では、「白ロシア」と呼ばれることもあります。ロシア、ウクライナ、ポーランドなどと国境を接しており、世界最北の内陸国となっています。公用語はベラルーシ語とロシア語で、首都はミンスクにあります。1922年にソ連の結成に参加しますが、90年に独立を宣言、91年8月に承認されました。86年4月には、隣国のウクライナでチェルノブイリ原発事故が発生したことにより、多大な被害を受けています。
20年以上に及ぶ独裁体制が続き、経済もいまだに社会主義体制から脱却できていないことから、経済的には不安定な状況にあります。主要な産業は、工業、商業、農林水産業などとなっています。日本での知名度は、まだそれほどありませんが、国内にはミール城などの観光スポットも複数存在します。
ベルギー
ベルギー王国は、西ヨーロッパに属する連邦立憲君主制国家です。オランダ、ドイツ、フランス、ルクセンブルクと国境を接しており、西側は海を挟んでイギリスと相対しています。公用語は、オランダ語、フランス語、ドイツ語が使われています。首都はブリュッセルで、この地にはEUの主要機関が多く置かれることから、「EUの首都」と言われることもあります。オランダとルクセンブルクと合わせて、「ベネルクス」とも呼ばれます。
小国ですが、2013年のGDPは約5,065億ドル、1人あたりGDPは4万5,383ドルで、世界上位に位置します。日本ではチョコレートやワッフルの産地として知られていますが、世界的にはビール会社のアンハイザー・ブッシュ・インベブや、化学会社のソルベーなどがあることでも有名です。国内には中世の面影を残す建物が多く、観光地としても人気があります。
ポーランド
ポーランド共和国は、東ヨーロッパに位置する共和制国家です。北はバルト海に面しており、陸上ではロシアの飛び地カリーニングラード州、リトアニア、ベラルーシなどと国境を接しています。公用語はポーランド語で、首都はワルシャワになります。
第二次大戦中にドイツとソ連の侵攻により国土を分割されますが、1952年にソ連の衛星国として主権を復活させました(ポーランド人民共和国)。89年9月には非共産党政権が成立し、現在の国名に改称されています。
経済に関しては、2000年代に入って一度もマイナス成長は経験しておらず、個人消費や投資なども好調に推移しています。かつて20%を超えていた失業率も、2018年には3%台まで下がりました。
ショパンの故郷としても知られており、「ショパン博物館」や「ヴァヴェル城」などの観光スポットも多数あります。
ボスニア・ヘルツェゴビナ
ボスニア・ヘルツェゴビナは、バルカン半島北西部にある共和制国家です。クロアチア人を主体とするボスニア・ヘルツェゴビナ連邦と、セルビア人を主体とするスルプスカ共和国から成る連邦国家でもあります。分類としては東ヨーロッパに属し、クロアチア、セルビア、モンテネグロと国境を接しています。公用語はボスニア語、セルビア語、クロアチア語が使われ、首都はサラエボに置かれています。
1992年に旧ユーゴからの独立を宣言しますが、同時に中央政府とクロアチア人勢力、セルビア人勢力の間で「ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争」が勃発、95年の和平協定調印まで続きました。
経済規模は日本の島根県とほぼ同程度であり、経済的には厳しい状況が続いています。国内には、「モスタルのスタリ・モスト」など2つの世界遺産があります。
ポルトガル
ポルトガル共和国は、イベリア半島にある南ヨーロッパの国です。北と東はスペインに接しており、西と南は大西洋に面します。また、大西洋上にはアソーレス諸島とマデイラ諸島の領土も有しています。公用語はポルトガル語で、首都はリスボンにあります。1932年以降独裁体制が続きますが、74年の「カーネーション革命」により民主化を達成しました。
2013年のGDPは約2,199億ドルと、日本の埼玉県よりやや大きい経済規模となっています。文化面ではフランスの影響が強く、スペインと共に闘牛の文化も持ちます。また、「郷愁」に似た感情を表す「サウダージ」という独特の言葉を持つことでも知られます。スポーツはサッカーが盛んで、ナショナルチームは世界的な強豪として有名です。国内には、歴史的建造物や世界遺産などの観光スポットが数多くあります。
マルタ
マルタ共和国は、地中海のほぼ中央、シチリア島の南方に位置する南ヨーロッパの国です。イギリス連邦加盟国でもあります。公用語はマルタ語と英語で、首都はバレッタにあります。国土面積は316平方km、人口約51.46万人という、いわゆる「ミニ国家」にあたります。19世紀から150年間イギリスの支配を受けますが、1964年に独立しました。
経済的には貿易が中心で、主要な産業には電子、繊維などの製造業があります。また観光も盛んで、近年は良質なホテルの建設など、インフラの整備が進んでいます。有名な観光スポットには、世界遺産の「バレッタ地区」や、中世の趣を残した都市「イムディーナ」などがあります。
資源が乏しいことから、政府は教育を無料にするなど、人材育成に力を注いでいます。金融にも注力しており、タックスヘイブンとして多くの企業や資金を積極的に呼び込んでいます。
モナコ
モナコ公国は、西ヨーロッパに属する立憲君主制国家です。コートダジュールと呼ばれる地中海沿岸地方に位置する都市国家で、周囲はフランスに囲まれ、近くにはイタリア国境があります。公用語はフランス語が使われており、首都はありません。世界で2番目に小さいミニ国家(1位はバチカン市国)で、国連加盟国に限ると世界最小になります。
人口は3万人あまりですが、1人あたりGNIは18万3150ドル(2009年)と、世界で最も裕福な地域とされています。タックスヘイブンの1つであり、他国から億万長者が多く移住していることで知られます。また、観光地としても有名で、F1モナコグランプリなどのイベントが世界的に人気ですが、特にカジノは重要な収入源となっています。
モルドバ
モルドバ共和国は、東ヨーロッパに属する共和制国家です。内陸国で、三方をウクライナに囲まれ、他の一方はルーマニアと国境を接しています。公用語はルーマニア語で、首都はキシナウに置かれています。1940年にソ連に占領され、「モルダヴィア・ソビエト社会主義共和国」としてソ連の衛星国となりますが、91年に独立しました。
2013年の1人あたりGDPは2,239ドルで、フィリピンやインドネシアなどと同水準となっています。また、出稼ぎ労働者による国外からの送金額は、GDPの23.4%と、ヨーロッパの最貧国といっていい経済状況にあります。
モルドバ人の言語や文化に関しては、ルーマニア人とほとんど変わりありません。国内には、「シュトルーヴェの測地弧」の1つである「ルディの測地点」という世界遺産が1件あります。
モンテネグロ
モンテネグロは、バルカン半島に位置する南ヨーロッパの国です。南方はアドリア海に面し、陸上ではボスニア・ヘルツェゴビナ、アルバニア、コソボなどと国境を接しています。公用語はモンテネグロ語で、首都はポドゴリツァに置かれています。92年のユーゴ解体に伴い、セルビアと共に「ユーゴスラビア連邦共和国(のちのセルビア・モンテネグロ)」を創設しますが、2006年の6月に「モンテネグロ共和国」として独立しました。
2013年の1人あたりGDPは7,112ドルで、世界平均の70%弱の水準となっています。主要な産業は、農業や製造業、観光業です。国内には豊かな自然が広がり、世界遺産の街「コトル」や、リゾート地の「ブドヴァ」などの観光スポットも多くあります。
ラトビア
ラトビア共和国は、バルト海沿岸に位置する北ヨーロッパの国です。「バルト三国」と呼ばれる国の1つであり、エストニア、リトアニアのほか、ロシア、ベラルーシと国境を接しています。公用語はラトビア語で、首都はリガにあります。1940年にソ連に編入されますが、90年に独立回復を宣言しました。
2017年のGDPは303億ドル、1人あたりGDPは15,550ドルで、バルト三国の中では3番目に位置しています。ソ連時代は重工業が盛んでしたが、現在の主な産業は、農業や化学、木材加工などとなっています。近年は観光業も活発化しており、特に世界遺産に登録されているリガの旧市街は、中世の面影を残す美しい街並みで人気を博しています。
リヒテンシュタイン
リヒテンシュタイン公国は、スイスとオーストリアの国境線上に位置する、中央ヨーロッパ(西ヨーロッパとされることも)の国です。公用語はドイツ語で、首都はファドーツにあります。面積は160平方km、人口は4万人弱と、世界で6番目に規模の小さい「ミニ国家」にあたります。1867年に永世中立国となり、翌年に軍隊を廃止しました。安全保障や外交に関しては、スイスが代行しています。
小規模ながら、1人あたり名目GDPは世界2位(2019年)という富裕国です。主な産業には、精密機械、牧畜、医療などがあるほか、国際金融や切手発行の分野でも有名です。タックスヘイブンであり、外国企業の法人税収入が莫大なことから、一般国民には直接税が課せられていません。観光地としての人気も高く、日本では映画「ルパン三世 カリオストロの城」のモデル国になったことでも知られます。
リトアニア
リトアニア共和国は、ヨーロッパ北東部に位置するバルト三国の1つです。国連では北ヨーロッパに分類されますが、場合によっては東(中東)ヨーロッパに分類されることもあります。西はバルト海に面しており、ラトビア、ベラルーシ、ポーランドなどと国境を接しています。公用語はリトアニア語で、首都はヴィリニュスになります。
1940年にソ連に併合されますが、90年の3月に独立回復を宣言しました。1人あたりGDPは1万5,649ドル(2013年)で、EU加盟国平均の半分ほどの水準となっています。主要産業としては、石油精製業や食品加工業、木材加工・家具製造業などが挙げられます。
中世ヨーロッパの面影を残したヴィリニュス旧市街や、杉原千畝がユダヤ人難民に対しビザを発給した街カナウスなど、観光スポットも多く有しています。
ルーマニア
ルーマニアは、バルカン半島東部に位置する東ヨーロッパの国です。セルビア、ハンガリー、ウクライナなどと国境を接し、東方は黒海に面しています。公用語はルーマニア語で、首都はブカレストにあります。1947年に王制が廃され、社会主義政権による人民共和国が成立しました。89年にチャウシェスク独裁政権が倒され、民主化されています。
2016年の1人あたり名目GDPは1万1,859ドルで、世界平均より少し高い水準にあります。伝統的な農業国ですが、現在はサービス業や工業、建設業なども主要産業となっています。
「吸血鬼ドラキュラ伝説」や「魔女文化」でも有名で、現在でも魔女やまじない師などを生業とする人が多くいます。国内には、ドラキュラの居城のモデルである「ブラン城」や、チャウシェスク元大統領の遺産である「国民の館」などの観光スポットがあります。
ルクセンブルク
ルクセンブルク大公国は、西ヨーロッパに位置する国です。「大公国」とは、「大公」と呼ばれる君主が治める国のことで、ルクセンブルクは現存する唯一の大公国にあたります。フランス、ベルギー、ドイツと国境を接しており、ベルギー、オランダと共に「ベネルクス三国」を形成しています。公用語はフランス語、ドイツ語、ルクセンブルク語で、首都はルクセンブルク市にあります。1867年にはロンドン条約により、永世中立国となっています。
1人あたりGDPは、1992年以降世界首位を守り続けているという富裕国です。主要産業は鉄鋼業と金融業で、税率の低さにより、多くの外国企業を誘致することにも成功しています。首都にはチョコレートの名店やミシュランの星付きレストランが軒を並べるなど、観光地としても高い人気を誇ります。
ロシア
ヨーロッパの国一覧、最後に紹介するのは、ロシア連邦です。ウラル山脈の西側を「ヨーロッパロシア」、東側を「シベリア・極東ロシア」として区分することもあります。国土面積は世界最大を誇り、中国やモンゴル、カザフスタンなど、数多くの国と国境を接しています。公用語はロシア語で、首都はモスクワに置かれています。
世界屈指の大国であり、特に軍事面では核を保有するだけでなく、世界最大の大量破壊兵器保有量を誇ります。豊かな資源を有し、サウジアラビアに次ぐ2位の原油輸出国(2019年)であるものの、欧米による経済制裁などで、経済的には低迷しています。国民はロシア人のほか、ウクライナ人やベラルーシ人、トルコ系ウズベク人など、100以上の民族で構成されています。
文学や音楽、舞台など、文化的には豊かな歴史を持ちます。また、「赤の広場」や「エルミタージュ美術館」など、著名な観光スポットも多数存在します。
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