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一般常識

「渡る」「亘る」「渉る」「航る」「亙る」の意味と違い

「渡る」「亘る」「渉る」「航る」「亙る」の意味と違い

「渡る」「亘る」「渉る」「航る」「亙る」の意味と違いとは

「わたる」という言葉を漢字で表す時、一般的に思い浮かべられるのは、「渡る」というものでしょう。しかし、このほかにも「亘る」「渉る」「航る」「亙る」といった表記があり、場面ごとに使い分けられることも珍しくありません。

今回は、これらの「わたる」の表記について、その意味の違いや使い分け方などを解説していきたいと思います。

「渡る」とは

渡る

「渡る」の意味は、いくつかあります。まず1つは、「人や動物などが、川や道などを横切り向こう側へ移動すること」というもので、「小舟で川を渡る」「横断歩道を渡る」のように使われます。
もう1つの意味合いは、「あちらこちらと移る」というもので、この場合は「いろいろな店を渡ってきた板前」のように使われます。
また、「世間の人々のあいだで生きていく」「物がある人の手元から他の人の元へ移動する」「ある範囲に及ぶ」などの意味合いもあり、それぞれ「渡る世間に鬼はない」「機密情報が敵の手に渡った」「3日間に渡る会議」のように使われます。

「渡る」の「渡」という字は、「水」「ものさしをわたして測量する」の象形から成り、「水をわたる」を意味します。

「亘る」などとの違いは、「幅広い意味を持つ」という点です。これに対しほかの表記は、後述するように限られた意味しか持ちません。また、「渡る(わたる)」の読みは常用漢字表にあるのに対し、他の表記は常用外の読みである点も異なっています。

「亘る」とは

亘る

「亘る」の意味は、「ある範囲に及ぶ」というものです。何かに要する回数などがある大きな数値に達することや、広い範囲に及ぶこと、一方から他方に及ぶことなどを言います。
具体的には、「再三に亘る警告」「各分野に亘る知識」「公私両面に亘るご厚誼」のように使われます。

「亘る」の「亘」の字は、「物の旋回する」象形から成り、「めぐる」を意味しますが、「亙」の字と混同され、「わたる」の意味も持つようになりました。

「渡る」との違いは、前述のように意味が限定されている点にあります。
「渡る」が「隔たった地点間を移動する」「生きていく」などの意味も含むのに対し、「亘る」の表記は「ある範囲に及ぶ」意味でしか使われません。

「渉る」とは

渉る

「渉る」の意味は、「水中を歩いてわたる」というものです。川などで隔てられた地点を移動する際、水に漬かりながら歩いて横切ることを言います。
「浅瀬を渉る」「対岸に渉る」などのように使われます。

「渉る」の「渉」の字は、「水」「左右の足あと」の象形から成り、「水の中を歩く」を意味しています。

「渉る」はこのように、ある地点から別の地点へ移動するという意味では、「渡る」と違いはありません。ただ、「川を歩いて横切る」という意味に限定されているところが、「渡る」との違いになります。

「航る」とは

航る

「航る」の意味は、「船で水上をわたる」というものです。海や川などの水上を、船に乗って移動することを言います。また、飛行機で空中を移動することも指します。
「蒸気船で川を航る」「客船で大西洋を航る」「旅客機でフランスへ航る」などのように使われます。

「航る」の「航」という字は、「渡し舟」「行く」の象形から成っており、「舟で行く」の意味があります。

このように、「航る」の意味は「水上や空中を移動する」という意味に限定されている点が、「渡る」との違いになります。「渉る」の意味とは似ていますが、「渉る」が「水中を歩いて移動する」を指すのに対し、「航る」は「舟で水の上を移動する」を指す点で使い分けされます。

「亙る」とは

亙る

「亙る」とは、「ある範囲に及ぶ」という意味の言葉です。時間や回数、数値などがある大きな値に達することや、ものごとが広い範囲に及ぶことなどを指します。「2週間に亙る交渉」「100ページに亙る説明書」「多方面に亙る才能」「細部に亙って注意する」のように使われます。

「亙る」の「亙」という字は、「二本の横線」「欠けた月」の象形から成っており、「(月が空の一方から一方へと)わたる」を意味しています。

「亙る」はこのように、「ある範囲に及ぶ」という意味に限定されるところが、「渡る」との違いになります。一方で、「亘る」と意味の違いはなく、どちらも同じ内容を表しています。これは、前述のように「亘」の字が「亙」と混同されて使われるようになったことによります。