一般常識
「溶ける」「解ける」「熔ける」「融ける」の意味と違い
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「溶ける」「解ける」「熔ける」「融ける」の意味と違い
「溶ける」「解ける」「熔ける」「融ける」は、すべて「とける」と読む言葉です。これらはそれぞれ意味合いが重なる部分もあることから、使い分けは思ったほど簡単ではありません。正しく使い分けるには、個々の細かい意味合いをしっかりつかんでおく必要があります。
そこで今回は、「溶ける」「解ける」「熔ける」「融ける」の意味と違いについて詳しく解説したいと思います。
溶けるとは
「溶ける」の主な意味合いは、「溶解する」というものです。ある物質の分子が、液体中に均一に拡散することを言います。具体的には、コーヒーに入れた角砂糖が細かく分解され、コーヒー中に均一に混ざるといったことを指します。「塩が水に溶ける」「ガムシロップがコーヒーに溶けた」「油は水には溶けない」のように使われます。
「溶ける」にはまた、「固形物が熱で液状になる」という意味合いもあります。例えば暖かい場所に置いたチョコレートが、熱で形を失い流動的になっていく状態がこれに当たります。
「溶ける」の「溶」という字は、「流れる水」「多くの物を入れる」を表す象形から成っています。そこから「広大で豊かな水」を意味するようになり、「(水に)とける」の意味も持つようになりました。
「解ける」などとの違いについては、以下で見ていきましょう。
解けるとは
「解ける」の意味合いは、主に4つあります。
1つは「結んであったものが自然にゆるんではなれる」というもので、「帯が解ける」のように使われます。
2つ目は、「規制などが解除される」という意味合いで、「謹慎が解ける」のように使います。
3つ目は、「わだかまりが消える」の意味合いで、「怒りが解ける」などの使い方になります。
そして4つ目は、「答えを得る」という意味合いで、「問題が解ける」のように使われます。
「解ける」の「解」の字は、「角のある牛」「刀」などの象形から成っており、「刀で牛を裂く=とく」を意味する漢字として成り立ちました。
「解ける」は「溶ける」と同語源の言葉ですが、このように意味合いはかなり違います。ただし新聞用語では、自然現象として固体が液体になる場合には、「氷が解ける」のように「解」の字を使うようになっています。
熔けるとは
「熔ける」を辞書で調べると、「溶ける」と同じ項目に載せられています。ということは、「熔ける」と「溶ける」の意味合いは、基本的には違いがないことになります。すなわち「水に溶解する」「固体が液体状になる」といった意味合いですが、一般的に見ると、「熔ける」はかなり限定的な使われ方をするようになっています。
「熔ける」の「熔」の字は、「鉱石が熱せられて1つにとけあう」「熱で金属が液状になる」という意味を持っています。つまり、「熔ける」の通常の意味合いは、「鉄などの金属が熱で液状になったり、1つにとけあったりすること」になるわけです。実際に、「熔ける」の表記はこれ以外ではほとんど使われないようになっています。
融けるとは
「融ける」の基本的な意味合いも、「溶ける」と違いはありません。辞書においても、両者は同一の項目で扱われています。しかし、一般的な使われ方には微妙な違いがあります。「融ける」の意味合いは、「固体が熱などによって液体状になる」に限定されるのが通常です。
具体的には、「氷が融ける」「暑さでアスファルトも融けそうだ」のような使い方になります。「砂糖を水に融かす」のような使い方もできますが、一般的にはそれほど多くはありません。
ただし、常用漢字表では「融」には「とける」という読みはないので、いずれにしても公用文などでは使えないようになっています。
「融」の字は、「鼎(かなえ)から虫がはい出るように蒸気が上がる」さまを表しており、そこから「とける」意味する漢字として成り立ちました。
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