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一般常識

「冷蔵」「冷凍」「氷温」「チルド」「パーシャル」の意味と違い

「冷蔵」「冷凍」「氷温」「チルド」「パーシャル」の意味と違い

「冷蔵」「冷凍」「氷温」「チルド」「パーシャル」の意味と違い

冷蔵庫と言えば、生活に欠かせない家電の代表格です。言わずと知れた、食べ物や飲み物を冷やして長持ちさせるための機械ですが、単に冷やすと言っても、その方式にはさまざまな種類があります。おなじみなのは「冷蔵」と「冷凍」ですが、ほかにも「氷温」や「チルド」、「パーシャル」があり、それぞれがどう違うのかよくわからないという人も少なくないでしょう。

今回はそうした人のために、「冷蔵」「冷凍」「氷温」「チルド」「パーシャル」の意味や違いについて、わかりやすく解説していきたいと思います。

「冷蔵」とは

冷蔵

「冷蔵(れいぞう)」とは、「食品などを低温に保持することで腐敗を防ぐこと」を意味する言葉です。摂氏0℃に近い低温を保った環境で、微生物の生育・活動を停止させたり酵素の作用を遅らせることによって、貯蔵した飲食物などの腐敗を防ぐことを指します。

食べ物などを低温下で貯蔵する行為は古くから行われてきましたが、19世紀に入ると氷を利用した「冷蔵庫」が登場します。さらに1918年、アメリカで電気冷蔵庫が開発されると、上流階級を中心に世の中へ普及していきました。日本へ初めて輸入されたのは大正12年で、その後1950年代の高度経済成長期からは、一般家庭でも広く利用されるようになります。

「冷凍」との違いは、温度にあります。「冷凍」については後述しますが、冷蔵庫における「冷蔵」の設定温度は、0℃~10℃となっています。

「冷凍」とは

冷凍

「冷凍(れいとう)」とは、「原材料を、その氷点以下の温度に冷却して凍結状態にすること」という意味の言葉ですが、一般的には「食品などを凍らせること」という意味で使われます。腐敗を防いで貯蔵しておくため、飲食物などを凍らせることを言います。

本格的な冷凍装置が開発されたのは、19世紀後半になります。日本には大正時代に導入されますが、その発展は水産業の歩みに沿うものでした。水産業では、遠洋漁業で獲った魚の鮮度を保つ上で、冷凍の必要があったためです。現在では、冷凍技術は食品流通に欠かせないものとなっています。

「冷凍」と「冷蔵」の違いは、上で述べたように、温度にあります。冷蔵庫の「冷蔵」が0℃~10℃で設定されているのに対し、「冷凍」の温度設定は、マイナス18℃以下となっています。

「氷温」とは

氷温

「氷温(ひょうおん)」とは、「食品が凍り始める直前の温度」という意味の言葉です。

水はよく知られる通り、摂氏0℃で凍り始めますが、野菜や肉、果物などは違います。これらはそれぞれ凍り始める温度がバラバラで、0℃以下から各食品が凍り始めるまでの温度領域は、「氷温域」と呼ばれます。この氷温域を利用して食品の貯蔵などを行うことを「氷温技術」、氷温域で貯蔵・加工された食品を、「氷温食品」と呼んでいます。氷温技術によって貯蔵などを行うことにより、食品の鮮度や味を長期間保ちやすいというメリットがあります。

冷蔵庫における「氷温」は、通常マイナス1℃程度に設定されています。このように、「氷温=食品を凍らせないぎりぎりの温度(マイナス1℃程度)」を指す点が、「冷蔵」や「冷凍」との違いということになります。

「チルド」とは

チルド

「チルド」とは、英語の「chilled」をカタカナ化した言葉で、「冷却された」の意味を表します。通常は、「摂氏0℃程度の低温で冷却された状態」を指して使われるようになっています。

「チルド」の特徴は、前述のように食品を0℃前後で冷却する点にあります。家庭用冷蔵庫の「チルド帯」は、JIS(日本工業規格)では「0℃付近」と規定されており、冷蔵庫業界においては、通常0℃~2℃付近に調整されています。この温度帯は食品が凍らないため、食感などを保ったまま長期保存が可能で、特に加工食品などの保存に向くとされます。

このように、「チルド」は、0℃前後の温度帯を指す点が、「冷蔵」や「冷凍」との違いになります。「氷温」と温度帯はやや近くなっていますが、「氷温」はマイナス1℃程度の設定で、刺身やスライス肉などの保存に向く点で区別されます。

「パーシャル」とは

パーシャル

冷蔵庫の「パーシャル」とは、「パーシャルフリージング」を縮めた言い方になります。英語にすると「partial freezing」ですが、「partial」は「部分的」の意味で、日本語では「部分凍結」や「微凍結」などと訳されます。その名の通り、食品をわずかに凍らせることを言い、刺身やスライス肉などの保存に適するとされます。

「パーシャル」の温度帯は、マイナス5℃~マイナス2℃あたりです。JISの規定では、マイナス3℃となっています。この温度は、肉や魚がわずかに凍り始める段階で、完全に凍るまでには至りません。そのため、生ものでも長期保存が利く上に、食材を使う際解凍の手間がかからないというメリットがあります。

このように、「パーシャル」は「冷蔵」よりも低く、「冷凍」よりも高い温度帯にあたります。この点は「チルド」と同様ですが、「パーシャル」の方がわずかに温度が低い点が違います。「氷温」とは同一視されることもありますが、厳密には、「氷温=凍る直前の状態」「パーシャル=わずかに凍り始めた状態」と使い分けることができます。

「冷蔵」「冷凍」「氷温」「チルド」「パーシャル」の意味と違い

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