一般常識
引用・出典・参考・参照・転載・盗用(パクリ)の違い
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引用・出典・参考・参照・転載・盗用(パクリ)の違いとは
引用とは
引用とは、他人の制作した文章や画像の一部分を、自作の文章中に取り入れることです。
引用は、著作権法においてその権利が認められていますが、引用を行う際には、守るべきいくつかのルールがあります。すなわち、引用する必然性があること、主体はあくまで自作の文章であること、引用部分が他と明確に分けられること、引用元をしっかり分かるように記すこと、公開されていない著作物からは引用しないことなどです。
また、引用する文章や画像は、もとの著作物そのままの形でなくてはなりません。勝手に改変することは、明らかなルール違反にあたります。
引用と間違えやすいのが転載ですが、両者の違いは、著作者の許諾の要不要にあります。引用は転載と異なり、著作者の許可を受けずに行えるようになっています。
出典とは
出典とは、引用した文章や画像が掲載されていた、元の著作物を指します。引用と違い、行為ではなく対象自体にあたります。「典」は経典や書物などを表す字で、出典は文字通り、「出所の書物、文書」といった意味の言葉になります。
上記のように、引用を行う際は、必ずどこから引いてきたかを明らかにしなくてはなりません。具体的には、引用した文章や画像の下に「出典」と書いて、その次に引用元の著作物を記載するという形です。出典が明らかにされていない場合はルール違反となり、場合によっては著作権侵害と認められる可能性もあります。
参考とは
参考とは、文章を書いたり意見を述べる際、他の資料などを元にして、自分の考えをまとめることを言います。
文章を書く場合には、自分の知識だけで全てカバーできないことも多くあります。そうした場合、他の本やWebサイトの内容を手掛かりにすることも少なくありません。このような時は、手本とした著作物について、きちんと記載しておくのがルールです。
具体的には、「参考文献」や「参考サイト」などとして記載するという形です。
参考は参照とよく似ているため、比較的混同しやすくなっていますが、両者には微妙な違いがあります。参考は本やWebサイトに限らず、意見などの文章化されないものも対象に含まれます。こうした対象の広さは、参照とは異なる点です。
参照とは
参照とは、他の物と照らし合わせるという意味です。参には「加わる」の他に「比べ合わせる」という意味があり、参考の参もこの意味にあたります。
参照は、文章中で参考にした文献などを示す際や、プレゼンで具体的なデータを示す際などに使われます。具体的には、「参照サイト」などとして文書中に示したり、「お手元の資料をご参照ください」などと参加者に案内するといった具合です。
参照は、他のものを引き比べて自分の論の助けにするという点で、参考と意味が似ています。しかし、前述のように、参照は参考に比べて対象となるものが限定されています。参照の対象となるのは、文章や図版、写真といった視覚的なものだけです。この点は、参考との明らかな違いとなっています。
転載とは
転載とは、ある文章や写真等をそのまま複製し、他の媒体に載せることを言います。
意味を聞くと、引用と変わらないように感じますが、実際には両者は明確に異なります。引用の場合は、自分の文章が主で、引用部分が従というルールがありますが、転載の場合はこれが逆転しています。つまり、他から持ってきた部分が全体の多くを占め、オリジナルの部分がわずかな量を占めるのが、転載ということになります。
もう一点、引用との大きな違いが、著作権者の許諾の必要です。すでに述べたように、引用は書作権者の許可なく行うことができますが、転載の場合はできません。明確な量や割合の定義はありませんが、ある程度まとまった文章を他から引いてくる際は、とりあえず著作権者の許諾を得た方が無難でしょう。
許諾を得ずに転載を行った場合(無断転載)、著作権の侵害となり、損害賠償を請求される可能性もあります。
盗用(パクリ)とは
盗用とは、文字通り他のものを盗んで用いることです。一般的には、パクリという俗語でも呼ばれます。
盗用という言葉は、書籍や論文などに対しても使われますが、近年話題になる機会が多いのは、ブログやまとめサイトなどのWebコンテンツにおいてです。これらにおいては、他のWebサイトなどからの無断転載を行っているものが少なくありません。こうしたものは、著作権者の許可を得ていない以上は、全て盗用にあたります。
盗用と似た言葉で、盗作というものもあります。両者の違いは明確ではありませんが、コピーしたものを自分の作品として発表した場合は、盗作と呼ばれることが多いようです。
まとめ
以上のように、他人の手による著作物を自作に利用する場合には、ルールに基づいて行う必要があります。
文章などを一部紹介する引用は、元のまま引き写さなくてはなりません。また、全体での割合は、ごくわずかなものに限られます。その引用元となる著作物は、出典と呼ばれ、作中に明記しておく必要があります。
参考とは、引用のように明確な形で引き写すものではありませんが、創作の上で大きな影響のあったものを言います。参照と似ていますが、テキストなどの可視的なものに限らず、言葉や考えも含むという点が違います。参考か参照かで迷った場合は、参考を使うのが無難です。
一方、引用より長い文章などを引き写す際は、転載として著作権者の許可を得る必要があります。許可のないものは、無断転載=盗用として著作権法違反に問われる可能性もあるので、注意が必要です。
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