一般常識
「降ろす(降りる)」「下ろす(下りる)」「卸す」「堕ろす」の意味と違い
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「降ろす(降りる)」「下ろす(下りる)」「卸す」「堕ろす」の意味と違い
「おろす」あるいは「おろす」と読む言葉には、「降ろす(降りる)」「下ろす(下りる)」「卸す」「堕ろす」といったものがあります。これらはどれも似た意味合いを持つものの、使われる場合はそれぞれ異なります。では、具体的にどのような場面で使われるのでしょうか。
今回は、「降ろす(降りる)」「下ろす(下りる)」「卸す」「堕ろす」の意味と違いについて探っていきましょう。
降ろす(降りる)とは
「降ろす」とは、「何かを乗り物から出す」という意味の言葉です。今まで乗り物にのっていた人や荷物などを、その乗り物の外へ出すことを言います。「のせる」の反対語です。「降りる」の場合は、人が乗っていた乗り物から自分で出ていくことを指します。「トラックから家具を降ろす」「友達を家の前で降ろす」「次の駅で降りる」「私以外の乗客は全員降りた」のように使われます。
「降ろす(降りる)」の「降」という字は、「丘」を表す象形と、「くだる」を表す象形から成っています。そこから「くだる」「おりる」を意味する漢字として使われるようになりました。
「下ろす(下りる)」などとの違いについては、以下で見ていきましょう。
下ろす(下りる)とは
「下ろす」の意味合いは、複数あります。代表的なところでは、「上から下に移動させる」「かかげたものを取り外す」「上を固定しておいて、下の方をのばす」「地位や役割から人を外す」などがあります。具体的には、「棚から段ボール箱を下ろす」「国旗を下ろす」「ブラインドを下ろす」「会長の座から下ろす」などのように使われます。「下りる」の場合は、「人が高いところから低いところへ移る」「上下して働くものが、さがった状態になる」「上の地位や役職から人が退く」のような意味合いになります。
「下ろす(下りる)」の「下」という字は、基準線の下に短い線を引くことにより、「した」を表すようになっています。そこから「くだる」「おろす」などを意味するようになりました。
このように、「下ろす(下りる)」は幅広い意味で使われるのに対し、「降ろす(降りる)」は使われ方が限定される点が、両者の違いとなっています。
卸すとは
「卸す」は、「問屋が小売店へ商品を売り渡す」という意味の言葉です。メーカーなどから仕入れた商品を、小売業者等へ販売する行為、いわゆる「卸売り」を指します。「衣料品を卸す」「定価の七掛けで卸す」のように使われます。
「卸す」の「卸」という字は、「きね」「足」「ひざまずく人」などの象形から成っています。これは「きねをかわるがわるつきおろす」を表しており、そこから「おろす」の意味合いで使われるようになりました。
「卸」の字には「落ちる・降りる」などの意味がありますが、「おろす」と読む場合には、上記のような意味合いしかありません。この点は、「降ろす」「下ろす」との違いとなっています。
堕ろすとは
「堕ろす」とは、「堕胎する」という意味の言葉です。妊婦が妊娠中絶することを指す俗語となっています。「子どもを堕ろすことにした」「堕ろさずにこのまま出産するつもりです」のように使われます。
「堕ろす」の「堕」という字は、「土」を表す象形と、「くずれおちる」を表す象形から成っており、「くずれおちた城壁」を示しています。そこから「くずれおちる」「おとす」「おろす」などを意味する漢字として使われるようになりました。
このように、「堕ろす」は「堕胎」の意味合いでしか使われない点に特徴があります。これは、「降ろす」や「下ろす」との大きな違いです。ただし、常用漢字表では「堕」に「おろす」の読みはないので、公用文などでは使えません。
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