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一般常識

「残す」「遺す」の意味と違い

「残す」「遺す」の意味と違い

「残す」「遺す」の意味と違い

同じ読みで当てる漢字が異なる複数の言葉を、「同訓異字(どうくんいじ)」と呼びます。「残す」と「遺す」の2語も、共に「のこす」と読む同訓異字になります。この2つの言葉は意味合いも非常に似通っていますが、実際にはそれぞれ使われるケースが異なることが通常です。では、これらは具体的に、どのようなポイントで使い分けられているのでしょうか。

今回は「残す」と「遺す」の意味や違いについて解説していきますので、両者の使い分け方が知りたいという人は、参考にしてみてくだい。

「残す」とは

残す

「残す」とは、「あとにとどめておく」という意味の言葉です。あるものをあとに残るようにすることを言い、「問題を起こした生徒を放課後まで残す」「引継ぎ要員にメモを残す」のように使われます。また、「もとのままにしておく」という意味もあり、この場合は「昔の面影を残す地域」のように使われます。
このほかに、「食べきれない料理を残す」のように「全体のうちの一部などに手を付けないでおく」の意味や、「証拠を残す」のように「消さないでそのままにしておく」の意味、また、「偉大な足跡を残す」のように「後世に伝える」の意味なども持ちます。

ここでの「残」の字は、「もとの状態のままである」や「全部消えずに一部分だけ残る」といった意味を表しています。

「遺す」との違いは、使われ方の幅広さにあります。後述するように、「遺す」の意味合いは一部に限定されますが、「残す」の表記には複数の意味合いが含まれるようになっています。

「遺す」とは

遺す

「遺す」とは、「死後にとどめる」や「後世に伝える」といった意味の言葉です。「家族に遺言を遺す」「歴史に名を遺す人物」「貴重な芸術品を子孫に遺す」のように使われます。

「遺す」の「遺」の字は、もともと「おくりとどける」の意味を表していますが、そこから「自分の手元にない」「うしなう」「わすれる」「すてる」「のこす」などの意味が派生しました。

「残す」との違いは、上記のように意味合いが限定される部分にあります。「残す」が「あとにとどめる」「もとのままにしておく」「全体のうちの一部に手を付けない」など多数の意味を含むのに対し、「遺す」の一般的な用法は、「死後にとどめる」「後世に伝える」以外にほとんどありません。
ただし、「遺す」を「のこす」と読むのは常用漢字表に無い例のため、公用文などではいずれの意味合いでも、「残す」か「のこす」の表記が使われるようになっています。

「残す」「遺す」の意味と違い

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