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一般常識

「成す」「為す」「済す」「生す」の意味と違い

「成す」「為す」「済す」「生す」の意味と違い

「成す」「為す」「済す」「生す」の意味と違い

「なす」という言葉は、日本語ではさまざまな場面で頻繁に用いられるものです。ただ、それを文字で表す際には、場面に応じて異なる種類の漢字が使われます。「成す」「為す」「済す」「生す」といった具合ですが、これらはどのようなポイントによって使い分けられているのでしょうか。それぞれの詳しい意味などが知りたいところです。

今回は、「成す」「為す」「済す」「生す」という4つの「なす」の意味や違いについて解説していきますので、これらの使い分け方が知りたい方は、参考にしてみてください。

「成す」

成す

「成す」とは、「物を作り上げる」「仕上げる」「事をしとげる」といった意味の言葉です。「A氏は一代で巨大な財を成した」「この議論は何の意味も成さない」「彼女は音楽の分野で名を成した」「彼があんな大業を成し遂げるとは、誰も思っていなかった」のように使われます。

「成す」の「成」という字は、「釘」「斧」の象形から成っており、「まさかりで敵を平定する」を意味していましたが、そこから転じて「なる・できあがる」の意味で使われるようになりました。

「為す」や「生す」などとの違いは、このように、「何らかの物を作り上げたり、事をしとげたりする」といった意味を表す点にあります。ですので、「財を“なす”」や「意味を“なす”」、「“なし”遂げる」などという場合には、「成」の字が該当することになります。

「為す」

為す

「為す」とは、「ある行為をする」といった意味の言葉です。「悪事を為す者には報いがあって当然だ」「圧倒的な自然の力に対して人類は為す術もない」「為せば成るの精神でこれまでやってきた」「この奇跡は神の為せる業に違いない」のように使われます。

「為す」の「為」という字は、「手」「象」の象形から成り、「象を飼いならす」さまを表します。そこから「実施する」の意味で使われるようになりました。

「成す」などとの違いは、このように、「ある事をする、行う」を意味する点にあります。ですので、「悪事(善行)を“なす”」や「“なす”術もない」、「~の“なせる”業」、「“なせば”成る」といった場合には、「為」の字が該当することになります。

「済す」

済す

「済す」とは、「借りた金品を返す」「返済する」という意味の言葉です。「借金を済す」「済す時の閻魔顔」のように使われます。また、「義務を果たす」「税などを完納する」という意味もあり、この場合は「大粮の米を済す」のように使われます。

「済す」の「済」という字は、「水」「穀物の穂がはえそろう」の象形から成り、「多くのものがそろう」「ひとしい」といったことを表しています。のちに「進む」の意味も持つようになり、やがて「すむ(終わる)」や「すます(終わらせる)」の意味でも使われるようになりました。

「成す」「為す」などとの違いは、このように、「借りた金品を返す、義務を果たし終わる」などの意味で使われる点にあります。ただ、常用漢字表では「済」に「な(す)」の読みがないこともあり、現在ではあまり使われる機会は多くありません。

「生す」

生す

「生す」とは、「産む」「出産する」という意味の言葉です。「あの夫婦は6人の子を生して、いずれも立派に育てた」「子仲を生した女性と会えていない」「この子とは生さぬ仲だが、実の息子と思っている」のように使われます。ちなみに「子仲を生す」とは、「子供までできた間柄となる」の意味で、「生さぬ仲」とは「血のつながりのない親子の間柄」の意味になります。

「生す」の「生」という字は、「草・木が地上にはえてきた」象形から成り、「はえる」「いきる」「うむ」などを意味します。

「成す」や「為す」などとの違いは、このように、「子供を産む」の意味で使われる点にあります。ですので、「子を“なす”」「“なさぬ”仲」などという場合は、「生」の字が該当します。

「成す」「為す」「済す」「生す」の意味と違い

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