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「都落ち」の意味とは?使い方や例文
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「都落ち」の意味とは?使い方や例文
同僚との会話などで、「都落ち」という言葉を聞いたことのある人も多いでしょう。ただ、この言葉が表すニュアンスは何となく分かっても、詳しい意味合いについては上手く説明できないという人もいるはずです。
今回は、ビジネスシーンで使われる「都落ち」の意味や用法について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
「都落ち」の意味
「都落ち」は、できればあまり使いたくない言葉とされています。その理由は、この言葉の意味や語源を知ることで明らかになります。まずは、「都落ち」の意味とその由来について見ていきましょう。
ビジネスにおける「都落ち」とは
一般に言う「都落ち」とは、「東京などの都会を離れて、地方へ拠点を移すこと」を意味します。ビジネスシーンで使われる場合も、この意味と変わりません。大都市(特に東京)で働いていた者が、ある事情により地方へ転勤したり、引っ越したりすることを言います。読み方は、「みやこおち」になります。
基本的にネガティブな言葉
「都落ち」という言葉は、「落ちる」と付いていることからもイメージできるように、かなりネガティブなニュアンスを持つ言葉です。単に活動の場を移すというだけでなく、「やむを得ない理由により、不本意ながら中央を去った」という意味合いを持つのが通常です。ですので、「都落ちした」と言う場合は、その人の地位や待遇が、一段低くなることを表すケースが多くなっています。例えばTVタレントであれば、人気が落ちたために、やむなく地方へ主軸を移したといった意味合いが強くなります。
「都落ち」の原因についてはさまざまですが、仕事であれば出世コースから外れたり、重大なミスがあったなどの理由が考えられます。また、仕事に追い詰められたり、嫌気がさしたという理由で、自ら地方へ去る場合もあります。この場合も「都落ち」と表現する時は、「積極的な決断」というより、どちらかというと「苦渋の決断」というニュアンスが強くなります。
「都落ち」の由来
「都落ち」という言葉には、由来となった歴史的な出来事があります。「平家物語」の中で語られる、いわゆる「平家の都落ち」がこれにあたります。
平家と言えば、平安末期に権勢を誇った一族ですが、源氏との勢力争いに敗れ、急激に中央の政界から姿を消していきます。「平家物語」はその盛衰を描いた軍記もので、その中には「倶利伽羅峠の戦い」で源氏軍に大敗した平氏が、都(京都)を捨てて西へ落ち延びるくだりがあります。「都落ち」は本来このことを指した言葉ですが、やがて「中央や華やかな場所から追われて去る」という意味合いで使われるようになりました。
「都落ち」の使い方・例文
「都落ち」の意味について知ったところで、続いては実際の使い方をご紹介しましょう。「都落ち」という言葉は、以下の例文のように使われます。
例文:「久しぶりに会った友達の話では、仕事を辞めて都落ちしてきたとのことだった」
例文:「これ以上上司に睨まれたら、都落ちという事態にもなりかねない」
例文:「一度は夢破れて都落ちしたものの、このままで終わるつもりはない」
「都落ち」の類語
「都落ち」という言葉を別の表現で言い換えたい場合は、どのような言葉が当てはまるのでしょうか。ここでは、「都落ち」の類語についていくつか紹介していきましょう。
左遷
「左遷(させん)」とは、「今より低い地位や官職に落とすこと」「中央から地方へ移すこと」という意味の言葉です。「左に遷す」と書くのは、古代中国で右を尊び、左を卑しんだことに由来しています。
「左遷」と「都落ち」は完全に同義ではありませんが、地方の閑職へ追いやられる場合などには、類語として使用することができます。具体的には、「上司に楯突いたせいで、地方に左遷されるかもしれない」のように使われます。
飛ばされる
「飛ばされる」とは、「空中を飛ぶようにさせられる」などを意味する言葉ですが、仕事で使う場合には、通常「地位を落とされる」の意味になります。「左遷」とほぼ同じ意味合いの表現で、「あの人は地方に飛ばされた」のように使われます。あまり品の良い表現ではないため、プライベートな会話以外では使われません。
離京
「離京(りきょう)」は、文字通り「京を離れること」という意味の言葉です。「京」とは主に「東京」のことですが、「京都」も含まれます。
「離京」には、これといって特別なニュアンスは含まれません。ただ単に、「東京や京都を離れる」という行動のみを指す言葉となっています。ですので、類語といっても、「都落ち」とは大分言葉の趣きが異なります。「仕事納めでそのまま離京し、田舎に帰った」のように使われます。
最後に
以上、「都落ち」の意味や使い方などについて、いろいろと紹介してきました。
「都落ち」はビジネス用語というわけではないものの、仕事関連の話題でよく使われます。上で述べたように、「不本意ながら都会を離れる」というニュアンスを含んでいるので、あまりポジティブな意味合いでは使われません。ただ、当然ですが、地方へ移ることが直ちに悪いことというわけではないので、その点はよく注意しておいた方がよいでしょう。例文で示したような使い方を踏まえ、正しく使えるようになっておいてください。
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