一般常識
「字体」「字形」「書体」「フォント」の意味と違い
スポンサーリンク
「字体」「字形」「書体」「フォント」の意味と違い
私たちの身の回りには、さまざまな種類の文字があふれていますが、それらの文字の形について言う際に、いろいろな言い方が使われます。「字体」「字形」「書体」「フォント」の4つがそれですが、これらが具体的にどう違うのかということについては、はっきりと説明できる人はそう多くはないでしょう。一体この4つの言葉は、どのように区別するべきなのでしょうか。
今回は、 「字体」「字形」「書体」「フォント」の意味と違いについて解説していきますので、これらを使い分ける際の参考にしてみてください。
「字体」とは
「字体(じたい)」とは、「文字の点画(てんかく)による構成のあり方」という意味の言葉です。「点画」とは、文字(特に漢字)を構成する点と線のことを指します。わかりやすい言葉で言えば、「文字の骨組み」が、「字体」ということになります。
「字体」はある文字を他の文字と区別するためのものですが、同じ字種でも複数の形を持つ場合があります。たとえば「国」と「國」は形はかなり違いますが、どちらも「くに」「こく」と読み、表す内容も全く変わりません。こうしたケースを「異体字」と呼びます。
なお、「字体」は抽象的な概念であり、正確に言えば、可視化された形で表されたものとは違います。詳しくは後で解説しますが、「字体」を目に見えるように表したものが、「字形」になります。
「字形」とは
「字形(じけい)」とは、文字通り「文字のかたち」という意味の言葉です。点や線の集まりで構成された文字の形の総称になります。
上では「字体」は目に見えない抽象的な概念であると述べましたが、「字形」は目に見える形で表されたものを指す点が特徴です。ですので、「字体」は同じであっても、「字形」まで同じとは限りません。わずかな部分でも形に違いがあれば、別の「字形」ということになります。たとえば、「木」という文字を思い浮かべるように言われれば、誰の頭にも基本的に同じ形が浮かびますが、それを実際に書き表すとなると、縦線の最後をとめるかはねるかといった差が現れてきます。この違いが、「字形」の違いです。
「字体」は骨組みで、「字形」はそれに肉を付けたものと考えると、区別しやすいでしょう。
「書体」とは
「書体(しょたい)」とは、「文字の書きざま」といった意味の言葉です。字の書きぶりや体裁を指しますが、一般的には「同じ文字を表す時の、字形の様式」の意味で使われることが多くなっています。
具体的には、漢字の「明朝体」と「ゴシック体」が、代表的な「書体」にあたります。これらはさらに細かい種類に分けられますが、どちらもそれぞれ基本的に同じような様式の形を持っていて、見た目の感じが統一されています。たとえば、明朝体なら横線は細くて先が三角になっており、縦線は横線より太いといった具合です。
「書体」と「字形」の区別はややこしいところですが、「字形」を「文字の肉」とするなら、「書体」はその「肉付き」を表すと言うことができます。「字形」は単に文字に肉が付いた状態を指し、「書体」は肉の付き具合に一定の特徴があるものを指すと考えると、違いがわかりやすいでしょう。
「フォント」とは
「フォント」とは、もともとは「同一活字書体の一そろい」を意味する言葉でしたが、現在では「デジタル化した書体」の意味で使われています。コンピュータで文字を画面に表示したり、印刷したりするためのデータや、その書体を指して使われるのが一般的です。
「フォント」と「書体」の違いは、簡単に言えば、「デジタル化されているかどうか」という点にあります。先に述べたように、現在で言う「フォント」は、「デジタル化した書体」を指すようになっています。一方「書体」は、デジタル化の有無とは関係がありません。
ただ、これも前述のように、もともと「フォント」は「活版印刷である書体を表現するための、一そろいの活字」を意味していました。ですので、本来の意味での「フォント」と「書体」の違いは、「書体」が「デザインコンセプトが統一された文字の集まり」を指すのに対し、「フォント」は「その書体の文字を印刷・表現するための具体的手段」を表す点にあると言うことができます。
この記事が気に入ったら いいね!しよう