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「行って来い」の意味とは?業界別の使い方・例文

「行って来い」の意味と使い方

「行って来い」の意味とは?業界別の使い方・例文

日本語には、表面上の意味とは異なる意味合いで使われる言葉がいくつも見られます。ビジネスシーンなどで使われる「行ってこい」も、そうしたものの1つでしょう。しかし、新人などの場合、急に「行ってこい」と言われて驚く人も多いようです。果たしてビジネス用語などとしての「行ってこい」とは、どういった意味を持つのでしょうか。

今回は、「行ってこい」の意味や使い方などについて、例文を挙げつつ紹介していきたいと思います。

「行ってこい」の意味

「行ってこい」は、そのままの解釈だと、ある場所へ赴くことを他人に命令する言葉です。しかし、ビジネスシーンをはじめとした各業界では、そうした文脈以外で使われることも多くなっています。しかも、使用する業界によって、それぞれの意味合いはかなり異なります。ここでは、業界ごとのさまざまな「行ってこい」の意味について見ていきましょう。

ビジネス用語としての意味

まずは、ビジネス用語としての「行ってこい」の意味について見てみましょう。
一般的なビジネスシーンで使われる場合の「行ってこい」は、「プラスマイナスゼロ」の意味になることが通常です。ある数字に対して加算と減算が重なった結果、元のまま増えも減りもしないことを言います。「いろいろな過程は経たものの、結局もとの数字とほとんど変わらなかった(利益が出なかった)」という場合によく使われます。言い回しとしては、「~に行ってこい」ではなく、「“行ってこい”だ」のように名詞としての使い方になります。

証券業界での意味

証券業界における「行ってこい」の意味もまた、「プラスマイナスゼロ」になります。具体的には、ある一定期間の相場において、値の水準が上がったり下がったりを繰り返した結果、結局元と同等の水準に落ち着くことを指します。通常は1日の枠の中での、さらに短期間の枠について使われますが、場合によっては1週間や数ヵ月単位の枠についても使われます。「往来相場」などとも呼ばれます。

「行ってこい」は、もともと証券業界を中心に使われていたものが、次第に一般のビジネス用語として広まったと言われています。

歌舞伎界での意味

歌舞伎界における「行ってこい」は、ある場面から別の場面に変わって、再び元の場面に戻る演出を指します。つまり、A→B→Aという具合に場面が変化する演出のことです。通常は、回り舞台(舞台の床が円形に回転する仕掛け)を使って行われます。

角界での意味

「行ってこい」は相撲の世界でも使われますが、この場合は「いなす」の意味になります。「いなす」とは、相手の突進に対し、手で肩口を突きつつ体を横にかわし、相手の体勢を崩すことを言います。

建築業界での意味

建築業界における「行ってこい」は、鴨居やふすまなどの長い部材を所定の位置に収める際、いったん片側に送り出してから、逆方向へ引き戻すことを言います。また、「廻り階段」についても「行ってこい」と呼ばれます。

写真・映像業界での意味

カメラにおける「行ってこい」は、例えば右から左へパン(固定したカメラを水平や垂直方向に振ること)させたあと、今度は左から右へ戻る形でパンすることを言います。

工事業界での意味

工事業界においては、ある位置から別の位置まで移動し、再び元の位置まで戻るという工事をする場合に、「行ってこい」という言葉を使っています。

「行ってこい」の使い方・例文

「行ってこい」は、上記のようにさまざまな業界で使われ、それぞれに独特の意味合いを持ちます。ここでは、業界ごとの「行ってこい」の具体的な使い方について、例文を上げつつ紹介していきましょう。ちなみに、漢字で書く場合は、後述のように「往ってこい(来い)」と表記されることもあります。

ビジネスシーンでの使い方・例文

ビジネスシーンでの「行ってこい」は、前述のように「プラスマイナスゼロ」の意味で使われます。

  • 例文:「今月は○○社の案件は取れたものの、△△社の案件はダメだった。まあ、“行ってこい”というところか」
  • 例文:「運よく受注できそうな案件ができたが、同時に目標予算も増えたから、結局“行ってこい”だな」
  • 例文:「売上は“行ってこい”だが、借入金の返済などを考えると、経営的には厳しい」

証券業界での使い方・例文

「行ってこい」は、上でも述べたように、もともと証券業界において使われていた言葉です。「往来相場」に由来することから、「往ってこい」とも書かれます。

  • 例文:「株価は一時大幅に値下がりしたが、その後値を戻して“行ってこい”となった」
  • 例文:「週央にかけて日経平均は年初来高値を更新したが、週末には米国株の下落を受けて、週初の水準に“行ってこい”となった」
  • 例文:「米雇用統計などの重要経済指標が発表されたものの、結局ドル/円は“行ってこい相場”となり、方向感を欠いた値動きが続いた」

その他の業界での使い方・例文

  • 例文:(舞台用語として)「この場面は“行ってこい”だから、転換の打ち合わせをしておこう」
  • 例文:(建築用語として)「長尺の材料だから、“行ってこい”で収めよう」
  • 例文:(別の建築用語として)「この階段は、踊り場で180°方向変える“行ってこいの階段”です」
  • 例文:(映像用語として)「このシーンはカメラを“行ってこい”させてください」
  • 例文:(建築用語として)「この部屋は入り口から奥の壁まで10メートルですから、配線は“行ってこい”で20メートルです」

「行ってこい」の類語・言い換え表現

「行ってこい」の意味や使い方について学んだところで、同じような意味の言葉についても見ておきましょう。「行ってこい」は、以下のような言葉に言い換えることができます。

プラマイゼロ

前述のように、「行ってこい」は「プラスマイナスゼロ」の意味合いで使われることが多くなっています。「プラマイゼロ」はその略語ですが、一般的にはこちらの言い方がよくされます。

トントン

「収支トントン」などと使われるように、「トントン」は「二つのものの間にほとんど差がないさま」といった意味を持ちます。

相殺

「相殺(そうさい)」は、「プラスとマイナスを差し引きして、互いに損得がないようにすること」という意味の言葉です。

チャラ

「チャラ(ちゃら)」とは、「差し引きゼロにすること」という意味の言葉です。例文を挙げると、「この間の貸しがあるから、今回の借りはチャラということにしてくれ」のように使われます。

最後に

以上、「行ってこい」の意味や使い方について、例文を交えて紹介してきました。

このように、「行ってこい」はさまざまな業界で使われていますが、大まかな意味合いは「差し引きゼロ」「往復」といったものになります。「これは“行ってこい”だな」というような場合は、「どこかに行け」という命令とは異なりますので、文脈を考えて判断するよう気を付けましょう。