ビジネス用語
「アイドルコスト」の意味とは?事例や使い方・例文など
スポンサーリンク
「アイドルコスト」の意味とは?事例や使い方・例文など
「アイドルコスト」という言葉をご存知でしょうか。「アイドル」というと歌ったり踊ったりする人を思い浮かべがちですが、それとは全く意味の異なる言葉です。ビジネス用語として耳にする機会も少なくないこの言葉、きちんとした意味を把握して、正しい使い方を心がけたいところでしょう。
そこで今回は、「アイドルコスト」の意味や使い方について、例文を交えて紹介していきたいと思います。
「アイドルコスト」の意味
「アイドルコスト」とは、英語の「idel cost」という熟語をカタカナに移した言葉です。「idle」の意味は、「仕事のない」「働いていない」「暇な」「空いている」といったもので、車のエンジンを空回りさせる「アイドリング(idling)」は、この語から来ています。一方、「cost」は「費用」「経費」を意味しており、つまり「idle cost」は、「働いていない時の費用」といった意味の言葉ということになります。もう少し詳しく言えば、「会社や工場などで、作業の待ち時間等に発生するコスト」を指す言葉が、「アイドルコスト」になります。
例えば、作業時以外の職場であっても、誰かがいれば人件費はかかりますし、照明等の電気代も必要になります。こうした何もしていないのに発生するコストは、企業にとってできるだけ抑えたいものです。このように「アイドルコスト」は、企業が保有する設備や人材がうまく活かせず、何もしない時間帯に無駄なコストが発生する状況を指して使われる言葉となっています。別の言い方では、「遊休費」「不働費」などとも呼ばれます。
「アイドルコスト」の事例
「アイドルコスト」の意味について見たところで、今度は具体的にどんなことが「アイドルコスト」に当たるのかについて見ていきましょう。
製造業での例
生産工場では、当然製造ラインを動かして製品を作ることになりますが、常時フルでラインが動いているわけではありません。さまざまな理由で、ラインの一部、または全部を止める場合もあります。具体的には、「生産数量調整によるラインの停止」や「原材料不足による生産不能」、「人員不足によるフル稼働の不可」といったケースが挙げられます。また、生産設備の能力に工程ごとのバラつきがあるなどして、生産に役立たない部分が発生するなども、「アイドルコスト」の一種です。このほか、過剰人員に対する人件費も、「アイドルコスト」に含まれます。
飲食店での例
接客業である飲食店は、お客さんにサービスを提供することで利益を得ます。ですから、お客さんが1人もいない状態では、当然売上は上がりません。しかしながら、例えこうした状態であっても、営業中は店内の照明や空調等の設備を動かしておく必要があります。例えば回転寿司であれば、こうした設備に加えてレーンを動かさなくてはなりませんし、レーンの上にはある程度の商品を乗せておく必要もあります。それでも誰も口にする人がいない場合、それらの商品は廃棄となってしまいますが、こうした無駄は全て「アイドルコスト」にあたります。
また、ハンバーガーショップなど揚げ物を提供するお店であれば、注文がなくてもフライヤーの温度は一定に保っておく必要があり、こうしたことも「アイドルコスト」に含まれます。
衣料品店
衣類を扱う衣料品店も、飲食店同様お客さんがいて成り立つ業種です。しかし、やはりお客さんがいない時間帯であっても、照明や空調を落とすわけにはいきません。店員もお客さんがいなければ仕事は限られますから、人件費は多くの部分が無駄になることになります。こうした点は、「アイドルコスト」と呼ぶべきものです。
「アイドルコスト」の使い方と例文
ここまでは「アイドルコスト」の意味や具体例について紹介しましたが、実際にどのように使うのかについても知りたいところです。この項目では、「アイドルコスト」の使い方について例文を交えて紹介していきましょう。
製造業での使い方
まずは、工場など製造業での使い方について見ていきましょう。この業界における「アイドルコスト」発生のケースは、上記のようにいろいろですが、具体的には以下の例文のように使われます。
- 例文:生産ラインのボトルネックを解消しないと、アイドルコストがかさむばかりだ
- 例文:材料の余分な仕入れが多いせいで、アイドルコストが発生している
- 例文:人員不足によるアイドルコストが、売上低下に影響している
飲食店での使い方
続いては、飲食店における使い方の例です。こちらの業界では待機時間が付き物のため、アイドルコストの発生はある程度避けられません。では、例文を挙げてみましょう。
- 例文:アイドルコスト問題への対策として、ピーク時以外の特別メニューを用意した
- 例文:14時~16時はカフェとして営業すれば、アイドルコストを下げられるかもしれない
- 例文:空き時間を有効活用することは、アイドルコスト削減につながる
「アイドルタイム」とは
「アイドルコスト」を語る際によく出てくるのが、「アイドルタイム」という言葉です。「アイドルコスト」をさらに理解するために、「アイドルタイム」の意味などについても見ておきましょう。
「アイドルタイム」もまた、英語から来ている表現で、「idle time」のカタカナ語になります。「idle」の意味はすでに述べたように「働いていない」などで、「time」は「時間」を意味します。つまり「idle time」は、「働いていない時間」「空き時間」を意味することになります。ビジネス用語として使われる頻度も多く、特に飲食業界でよく聞かれるようになっています。この場合には、お客さんがこない時間帯や従業員の休憩時間を指して、「アイドルタイム」と呼んでいます。また、IT業界では、コンピュータの処理において、次の作業に関する指示や入力すべきデータを待つまでの間が、「アイドルタイム」にあたります。
このように、「アイドルタイム」は「主な仕事が発生しない時間」や「待機時間」を指して使われますが、この間に発生するコストが、「アイドルコスト」ということになります。
「アイドルタイム」の例文についても、いくつか挙げておきましょう。
- 例文:アイドルタイム中にある程度仕込みを済ませておこう
- 例文:アイドルタイムに私的なメールを見るのは厳禁です
- 例文:スタッフの休憩は、アイドルタイムにうまく回してください
最後に
「アイドルコスト」についての意味や使い方は、以上のようなものです。
「アイドルコスト」の「アイドル」は、歌手などのことではなく、「活動していない」を意味します。製造業や飲食業をはじめとして、ビジネスの世界ではある程度必ず発生するコストですが、さまざまな努力や工夫によって削減することもできます。「アイドルコスト」の正しい意味をしっかりとつかみ、無駄をなくすよう日頃から細かい点に気を配ってみてください。
この記事が気に入ったら いいね!しよう