一般常識
「破棄」「廃棄」「投棄」「放棄」「遺棄」の意味と違い
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破棄・廃棄・投棄・放棄・遺棄の意味と違い
「何かを捨てる」という意味の熟語には、「破棄」や「廃棄」「投棄」などさまざまなものがあります。いずれもよく耳にする言葉ですが、それぞれどんな細かい意味合いがあるのでしょうか。詳しいことはよく知らないという人も多いでしょう。
そこで今回は、「破棄」「廃棄」「投棄」「放棄」「遺棄」の意味と違いについて解説していきます。
破棄とは
「破棄」には、主に3つの意味合いがあります。1つは「ものを破り捨てること」で、もう1つは「契約や取り決めを一方的に取り消すこと」、そしてもう1つは、「事後審査の裁判所が上訴の理由を認めることにより、原判決を取り消すこと」です。このうち一般的な意味合いは、1つ目と2つ目のものになります。読み方は「はき」で、「書類を破棄する」「契約破棄」などのように使われます。
「廃棄」との違いについて言えば、捨てるものが形をとどめているかどうかが問題となります。「破棄」の意味合いは、上記のように「破り捨てる」というもので、つまりそのままの形ではなく、ちぎったり切断するなどしてから捨てることを指しています。このように、捨てるものが原形をとどめていないという点が、「破棄」の特徴となります。
廃棄とは
「廃棄」の主な意味合いは、次の2つです。1つは「不用なものとして捨てること」で、もう1つは「当事国の一方の意思によって、条約の効力を失わせること」というものです。このうち一般的に使われるのは、最初の意味合いになります。読み方は「はいき」で、「不用品はすべて廃棄した」「廃棄物が大量に出た」「廃棄物処理法に違反する」のように使われます。
「破棄」との違いは、上で述べたように、元の形状を保っているかどうかという点にあります。前述のように、「破棄」は原形をとどめない状態で捨てることを指しますが、「廃棄」の場合は破いたりせず、ものをそのままの形で捨てることを指します。
投棄とは
「投棄」とは、「投げ捨てること」という意味の言葉です。いらなくなったものを、どこかの場所へほうって捨てることを指しています。読み方は「とうき」で、「廃棄物を海に投棄する」「不法投棄が横行している」のように使われます。
「投棄」はこのように、「投げ捨てる」というアクションを指している点で、「破棄」や「廃棄」とは意味合いが違います。「破棄」「廃棄」は「どういった状態で捨てるか」を問題とする言葉で、捨て方の動作は問いません。
ちなみに、「投棄」は「不法投棄」という使い方が多いため、違法行為を指しているというイメージがありますが、必ずしもそうとは限りません。廃棄物を海へ沈めて処分する「海洋投棄(海洋投入)」は、一部の品目で認められるケースがあります。
放棄とは
「放棄」とは、「投げ捨ててかえりみないこと」という意味の言葉です。何らかの関わりを持つものごとに向き合わず、放っておくことを言います。また、自分が持つ権利などを捨て、行使しないことも指します。読み方は「ほうき」で、「責任を放棄する」「試合放棄」「請求権を放棄する」のように使われます。
「放棄」と「投棄」は、どちらも文字の上では「投げ捨てること」を指していますが、使い方には明確な違いがあります。「投棄」が指すのは物理的なごみなのに対し、「放棄」は権利や責任といった、抽象的な概念を指すようになっています。
遺棄とは
「遺棄」の意味は、「捨てて顧みないこと」「置き去りにすること」というものです。何らかのものを、捨てて立ち去るなどすることを言います。読み方は「いき」で、「委棄」と書く場合もあります。
「遺棄」の「遺」は、「のこす」や「おきざりにする」を意味しています。また、「遺棄」にはこのほかにも、法律上の専門的な意味合いもあります。
「遺棄」と「投棄」も意味合いは似ていますが、使われ方はやはり違います。「投棄」という言葉は、上記のように不用品などのごみに対して使われるのに対し、「遺棄」は主に、人間の死体や生きた動物について使われるようになっています。ですから、言葉の上では「空き缶を遺棄する」という言い方もできますが、実際にはこうした使い方はしません。一般的には、「死体を遺棄する」「ペットを遺棄する」などのように使われます。
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