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「ガブテック(GovTech)」の意味とは?日本国内の事例8選

「ガブテック(GovTech)」の意味とは?使い方や例文、シビックテック」との違い
近年、「フィンテック」などの「X-Tech」と呼ばれる言葉が流行していますが、「Govtech(ガブテック)」もまた、その代表的な1つです。ITなどの進化で「デジタルトランスフォーメーション」が叫ばれ、各地の自治体で「スマートシティ化」が進められている中で、「ガブテック」の注目度はますます上がっていく傾向にあります。
しかし、実際にはこの言葉について、まだピンと来ていないという人も多いでしょう。

そこで本記事では、「ガブテック」の意味と、日本国内での具体的な導入事例について、詳しく解説していきたいと思います。

Govtech(ガブテック)の意味とは?「シビックテック」との違い

Govtech(ガブテック)の意味とは

「ガブテック(GovTech)」とは

「ガブテック(GovTech)」とは、「ITなどのテクロノジーを活用して、行政サービスの効率化を図る取り組み」という意味の言葉です。地方自治体などの行政業務にデジタル技術を取り入れることで、より効率的なサービスにしていこうという活動を指します。「ガブテック(GovTech)」の語は、「ガバメント(Government)=政府」と「テック(Tech)=テクノロジー」を組み合わせた造語になります。

これまで行政手続きと言えば、役所で対面で行うのが通常でした。しかし、その都度必要な書類を用意し、順番に応じて呼び出されるのを待つというシステムは、実際のところ、かなりの非効率と言わざるを得ません。こうした問題は以前から指摘されてきましたが、企業などの持つデジタル技術を駆使することで、これを解消しようという試みが「ガブテック」になります。「ガブテック」を導入することにより、行政手続きの電子申請化が推進され、自治体業務の効率化に役立つと期待されています。

「ガブテック」と「シビックテック」の違い

「ガブテック」と似た言葉に、「シビックテック(Civic Tech)」と呼ばれるものがあります。こちらも、民間のテクノロジーを公共のために利用する取り組みを指していますが、両者の性質は異なります。

「シビックテック」の「シビック」は「市民」のことで、テクノロジーの知識やスキルを持つ市民が中心となり、地域や行政の課題解消に取り組む活動を意味しています。「シビックテック」は、市民が自らの問題を解決していこうとする運動であるのに対し、「ガブテック」は「行政運営の効率化」に主眼が置かれている点が特徴です。

「ガブテック」の使い方・例文

上では「ガブテック」の意味について紹介しましたが、続いては実際の使い方について見ていきましょう。ビジネス用語としての「ガブテック」は、以下の例文のように使われます。

例文:「申請手続きのオンライン化は、ガブテックの主要な取り組みの1つだ」

例文:「アメリカでは、ガブテックとシビックテックの両方の取り組みが盛んとなっている」

例文:「日本のガブテックは海外に比べ、残念ながら立ち遅れている面が多い」

例文:「最近では、ガブテック業界に参入するIT企業も多くみられる」

例文:「ガブテック事業では、自社サービスを海外展開していく動きも活発だ」

Govtech(ガブテック)で出来ること

「Govtech(ガブテック)」の意味については上で述べた通りですが、具体的にはどのような取り組みが行われているのでしょうか。この項目では、ガブテックが取り扱っている領域について、主なものを4つ挙げて説明していきましょう。

申請手続きに関するデジタル化

申請手続きに関するデジタル化

これまで紙による手続きが主だった行政サービスの申請をデジタル化することは、ガブテックの大きな領域の1つとなっています。これにより、オンライン上での手続きが可能となりますから、時間や場所に縛られず転入・転出の届出や補助金の申請、パスポート申請などができるようになります。もちろん、これまでのように役所へ直接出向く必要もありませんし、長時間待たされることもなくなります。行政側にとっても、対応の手間が大幅に省けて業務効率化につながるというメリットがあります。

相談・問い合わせに関するデジタル化

相談・問い合わせに関するデジタル化

ガブテックでは、行政サービスに関する相談・問い合わせ等のデジタル化についても扱われます。これまで電話や役所に出向いて行うのが主だった相談や問い合わせが、オンラインで受け付けられるため、窓口や電話対応の時間外でも行えるようになります。この領域の具体的な手法としては、「チャットボット」と呼ばれるツールの利用が挙げられます。こちらはAIによる自動会話プログラムのことで、基本的な内容の問い合わせであれば、自動的に応答することができます。

情報発信に関するデジタル化

情報発信に関するデジタル化

従来の行政の情報発信と言えば、新聞や冊子といった紙媒体や、公的機関のWebサイトに掲載するといった手法が主でした。しかし、近年はTwitterやFacebookなどのSNSや、YouTubeなどの動画メディアを活用した情報発信も、積極的に進められつつあります。こうしたガブテックのメリットは、ユーザーの興味や関連性に即した情報がオンタイムで流せる点で、これによって従来の方法では取りこぼしがちだった、積極的に情報取得しない層にもリーチしやすくなります。

定型業務に関するデジタル化

定型業務に関するデジタル化

行政側の業務をデジタル化することも、ガブテックが受け持つ重要な領域の1つです。行政サービスには、住民異動の申請書の処理や、市民税の処理といった定型的な作業がたくさん存在します。これらのほとんどは、パソコンで処理される簡単な事務手続き作業ですが、今までは人手に頼るしかありませんでした。しかし、近年はAIやRPA(ロボティックプロセスオートメーション=事務作業を代替するソフトウェアロボット)の活用により、こうした業務を自動化して効率化させようという流れが起きています。

Govtech(ガブテック)の国内事例

ガブテックの意味と取り扱う領域について学んだ後は、具体的な事例について見ていきましょう。「ガブテック」はアメリカが発祥の概念ですが、最近は日本でも導入が活発化されています。この項目では、国内の導入事例を8つ取り上げてみました。

大阪府四條畷市の住民票オンライン請求

国内のガブテック導入例、まず最初に紹介するのは、四條畷市の「住民票インターネット請求」です。こちらは、住民がスマートフォンを通じて住民票を請求できるサービスで、2020年4月からスタートしました。請求にあたっては、アカウント登録と、クレジットカードでの手数料の納付、そして、「Graffer Identity」アプリによるマイナンバーカードの電子署名が必要になります。申し込み内容が受け付けられると、住民基本台帳登録地へ郵送される仕組みとなっています。

広島県広島市の被災者支援ナビ

続いて紹介する国内のガブテック導入事例は、広島市の「被災者支援ナビ」です。こちらは、大規模災害が発生した際に、被災者が被災状況に応じて受けられる支援策についての一覧を、スマートフォン等の端末で確認できるサービスとなっています。2020年10月から提供が開始されました。
被災者は、広島市のホームページ等に掲載したリンクからアクセスし、複数の質問への回答などを行うと、対象となる支援策の一覧と、手続きの場所や必要な持ち物を確認できる仕組みとなっています。

神奈川県横浜市の新型コロナ融資関連手続きのオンライン申請

日本のガブテック事例、3つ目に紹介するのは、横浜市の「新型コロナ融資関連手続きのオンライン申請」です。こちらは、2020年5月25日に提供が開始されました。提供しているのは、ガブテックベンチャーの「グラファー」です。こちらのサービスは、新型コロナウイルスの蔓延で売上高が減少した事業者が、有利な条件で融資を受けるために必要な「危機関連保証制度」の手続きをオンライン化したもので、パソコンやスマホの操作で申請が完結します。事業者は申請後、窓口に受け取りに行くだけでOKとなっています。

福島県会津若松市のスマートシティ

続いて紹介するガブテックは、福島県会津若松市の事例です。会津若松市では、2011年8月から、官民一体で「スマートシティプロジェクト」に取り組んでいます。これはICTなどの活用により、市民生活の利便性向上や問題の解決を目指す取り組みになります。現在ヘルスケアやモビリティ、フィンテック、教育など9つの分野で「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を進めており、市民はプラットフォームに集約されたデータを自らサービス単位で選択し、利用することができます。

兵庫県神戸市の新型コロナ補助金オンライン申請

5つ目に紹介する国内のガブテック事例は、神戸市の「新型コロナ関連補助金のオンライン申請」です。神戸市は、新型コロナウイルス感染症で売上にダメージを受けた中小企業に対し、独自の補助金を制定しましたが、この申請法にオンライン申請の仕組みを取り入れました。これらはWebページからの申請が可能で、スムーズに手続きができるよう画面の案内も工夫されています。その結果、「中小企業チャレンジ支援補助金」では、約8割もの利用者がオンライン申請を選ぶ結果となりました。

埼玉県さいたま市のスマートシティさいたまモデル

国内のガブテック導入例、6つ目に挙げるのは、さいたま市のケースです。さいたま市は2015年より、自治体と民間企業、大学などの連携によるスマートシティの実現に乗り出しました。現在、「スマートシティさいたまモデル」として美園地区をフィールドに、住民のヘルスケアデータや購買データ、SNS情報といった各種データを共通のプラットフォームに収集し、それを基に個々の住民に適したサービスの提供を行う取り組みを進めています。

茨城県つくば市のスマートシティ

続いての国内ガブテック例は、つくば市のスマートシティ構想です。そもそも「スマートシティ」とは、「都市の諸問題に対して、ICT等の技術を活用し計画や整備を行うことで、全体の最適化が図られる持続可能な都市・地域」といった意味の言葉です。つくば市では現在この実現に向けた取り組みが進められており、2020年には、ネット投票システムの採択とその実証実験も行われました。このシステムではスマホで投票が可能で、しかも完了まで1~2分しかかからないため、市民の利便性向上や業務の効率化に役立つと期待されています。

兵庫県加古川市のかこがわアプリ

日本国内のガブテック事例、最後に紹介するのは、加古川市の「かこがわアプリ」です。こちらはスマートフォン向けの市公式アプリで、緊急時における市からのお知らせなど、生活に役立つ情報をどこでも入手できるサービスとなっています。防災アプリなどの市公式アプリや、市のホームページなどと連動しているため、各種サービスへの接続が容易にできます。例えば「かこたんナビ」の「見守り機能」では、子供や高齢者の位置情報を保護者に自動的に通知することで、見守りをサポートしてくれるようになっています。

「ガブテック(GovTech)」の意味とは?使い方や例文、シビックテック」との違い

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