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ビジネスモデル

ゲームチェンジャーとは?4種類の型と事例5選

ゲームチェンジャーとは?4種類の型と事例5選
ビジネスシーンでは、日々新たな言葉が生まれていますが、「ゲームチェンジャー」もまた、最近よく聞かれるようになった言葉の1つです。次々に新しい変革が起こるビジネス界にあって、「ゲームチェンジャー」の存在はますます注目度が高まっていますが、そもそもどういう意味なのかまだ掴めていないという人も多いでしょう。

そこで本記事では、「ゲームチェンジャー」の意味や4つの種類、具体的な事例などについて、詳しく解説していきたいと思います。

ゲームチェンジャーの意味とは?

「ゲームチェンジャー(game changer)」は、もともとはスポーツの領域で使われる言葉でした。「交代で試合の途中から参加した途端、それまでの流れを一気に変えてしまうような選手」のことをそう呼んでいましたが、この意味から転じて、現在では「従来は当たり前とされてきた状況や論調に、大きな変化をもたらす個人や集団、モノ、できごと」を指して使われるようになっています。

ビジネスシーンでもよく使われる言葉で、この分野では、「従来とはまったく異なる視点や価値観をもって市場に大変革を起こすような企業や、その製品・サービス」を指して使われます。ゲームチェンジャーの出現により、業界の生態系は一変することになり、既存の企業が短期間で時代遅れになるなどの窮地に立たされるケースも多くなっています。

4種類の型

「ゲームチェンジャー」という言葉が注目されるきっかけとなったのは、早稲田大学ビジネススクール教授の内田和成氏の著作ですが、その著作の中で内田氏は、ゲームチェンジャーを4つの種類に分けています。ここでは、それら4つのゲームチェンジャーの特徴などについて見ていきましょう。

秩序破壊型(Breaker)

ゲームチェンジャーの種類、1つ目は、「秩序破壊型(Breaker)」と呼ばれるものです。

こちらは、既存の製品やサービスの仕組みを新しいものに差し替えて提供することで、競争のルールを変えてしまう方法を指します。顧客に提供する製品やサービス自体に変化はないとしても、利益を得る仕組みを新しいものにすることにより、市場への新たな価値の提供が可能となります。

この型のゲームチェンジャーが現れると、彼らの持つ特異な儲けの仕組みは、既存企業にとって大きな参入障壁となります。顧客にとってその仕組みが便利であるほど、既存企業のダメージは深く、何らかの対抗策を取らざるを得ません。しかし、それは従来の自社のルールを壊すことにもつながるため、既存企業としては難しい立場に追い込まれます。

市場創造型(Creator)

ゲームチェンジャーの種類、2つ目に挙げるのは、「市場創造型(Creator)」です。こちらの型は、儲けの仕組みに関しては変わらないものの、それまでにない斬新な製品やサービスを提供することで、新しい市場を創造するタイプのプレーヤーを指します。既存市場に関係なく、1から新しい市場を作り上げることから、既存市場のプレーヤーとしてはそこまで脅威には感じられません。ただ、新市場が既存市場に取って代わるようになれば、必然的に競合せざるを得ないことになります。

市場創造型ゲームチェンジャーは、一見既存のものと似たような製品やサービスを扱っていても、実は顧客が密かに感じていた不満点を改善したり、潜在的なニーズを満たすことに成功しています。顧客自身も気付かなかったニーズの具現化を果たす場合もあり、競争のルールを一変させます。そのため、既存市場のプレーヤーが気付かないところで新市場が出現しているケースも珍しくありません。

ビジネス創造型(Developer)

続いて紹介するゲームチェンジャーの種類は、「ビジネス創造型(Developer)」です。こちらは、従来にない斬新な製品・サービスを、これまでにない儲けの仕組みで提供するという型になります。起業家の持つオリジナルな技術やアイデアと、その活用が可能な市場の発見により、誰もが思いもよらなかったビジネスが創造される点が特徴です。

ビジネスでは、すべての仕事を計算ずくで行えるケースは、決して多くありません。まして顧客のニーズがあやふやな中、新しい製品・サービスを新しいビジネスモデルで提供することは、通常は極めて難しくなっています。しかし、中には起業家の情熱やひらめきなどを原動力としてビジネスを立ち上げた結果、後から新しい儲けの仕組みが出来上がったというケースもあり、このタイプにはそうした経緯のビジネスが多く見られます。

プロセス改革型(Arranger)

ゲームチェンジャーの種類、最後に挙げるのは、「プロセス改革型(Arranger)」です。こちらの型の場合、既存のものと同じ製品・サービスを提供し、なおかつ儲けのしくみについても、従来と変わりません。ただし、製品を提供する際の流れやバリューチェーンは改革されており、それによって顧客に対し新しい価値を提供するタイプのプレーヤーになります。

それまで顧客側の負担だった購買に関するプロセスの省略や、製品・サービスの提供速度の向上などにより、顧客ロイヤルティを高める施策を取るケースが多い点が特徴です。ビジネスでは、大なり小なりバリューチェーンに問題を抱えるケースが多くなっていますが、プロセス改革型はそれらを徹底的に改善することにより、顧客への新しい付加価値の提供を実現させています。

ゲームチェンジャーの事例

ここまでは、「ゲームチェンジャー」の意味や種類などについて見てきましたが、具体的にどんなものを指すかについても知りたいところです。以下の項目では、「ゲームチェンジャー」の代表的な事例をいくつか挙げて紹介していきましょう。

Amazon

Amazon

ゲームチェンジャーの事例、1つ目に挙げるのは、「Amazon」です。

1990年代に登場した「Eコマース(オンラインショッピング)」というビジネスモデルは、まさにゲームチェンジャーの名にふさわしいものでした。それまでにもテレビショッピングなどの例はありましたが、Eコマースによる商品購入の利便性は、従来より各段に優れたものでした。その代表例と言えるのが「Amazon」で、本の通販から始まった事業は、現在では情報技術産業で支配的な地位を占めるまで成長しています。

https://www.amazon.co.jp/

iPhone

iPhone

「スマートフォン」もまた、ゲームチェンジャーの代表例と言えるものです。

あくまで「通話」が主な機能であった旧来型の携帯電話に対し、スマートフォンは優れた処理速度と、アプリのインストールによる機能拡張という特徴で、携帯電話の概念を塗り替えました。そのきっかけとなったのが、Apple社の「iPhone」です。スマートフォンと呼べるものはそれまでにもありましたが、2007年の初代「iPhone」の発売で一気に新たな市場が創出され、フィーチャーフォン市場の駆逐へとつながりました。

https://www.apple.com/jp/iphone/

YouTube

YouTube

続いてのゲームチェンジャーの事例は、「YouTube」です。

2005年にサービスを開始した「YouTube」は、ユーザーがさまざまな動画を投稿し、それを全員で閲覧できるというサイトで、使い勝手の良さなどから瞬く間に世界的なメディアとなりました。動画共有サイトは、今でこそありふれたものですが、それまではネット上にバラバラに存在する動画を別個に辿るしかなく、「YouTube」の登場は画期的なものでした。

現在では各国で浸透しており、動画投稿で生計を立てる「ユーチューバー」という新たな職業を創出するまでに至っています。

https://www.youtube.com/

Netflixやアマゾンプライムビデオ

Netflix

「Netflix」や「Amazonプライムビデオ」といった定額動画配信サービスも、ゲームチェンジャーの好例と言えるでしょう。

それまで映画などの映像ソフトを閲覧できるサービスと言えば、レンタルや販売が主流でした。「Netflix」も、もともとはオンラインでのDVDレンタルビジネスを手がける会社として出発しましたが、2007年からは、コア事業をビデオ・オン・デマンド方式によるストリーミングサービスへと移行させています。これにより、映像作品の鑑賞スタイルは一変し、DVD市場は縮小していくこととなりました。

現在では、これら2社以外にも、独自の動画ストリーミングサービスをローンチする企業が増えています。

https://www.netflix.com/jp/

スマートニュース・グノシー

スマートニュース

ゲームチェンジャーの事例、最後に挙げるのは、「スマートニュース」や「グノシー」などのニュースアプリです。

こちらは、ネット上に存在するニュースを収集・配信するアプリで、内容をユーザーの嗜好に合わせて変えるレコメンド機能が付いています。それまでは、新聞社やテレビ局がそれぞれ発信する情報を別個に見るしかありませんでしたが、これらのアプリの登場により、興味や関心のあるニュースを一箇所でまとめて見ることが可能となりました。特に「スマートニュース」は、日米両国で合わせて5,000万ダウンロードを達成するなど、大きな成功を収めています。

https://www.smartnews.com/ja/

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