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ビジネス用語

「外注」「業務委託」の意味と違い

「外注」「業務委託」の意味と違い

監修者

弁護士:村岡つばさ(よつば総合法律事務所千葉事務所)

よつば総合法律事務所千葉事務所

弁護士 村岡つばさ

よつば総合法律事務所の弁護士の村岡と申します。日常生活や会社を運営する中で気になる法律の問題を分かりやすく解説します。

「外注」「業務委託」の意味と違い

「外注業者さんとのトラブルが~」「〇〇社と今度業務委託契約を結ぶ」等、「外注」「業務委託」といった単語を耳にしたことは多いと思います。ただ、これらの正確な意味や違いについて、理解されている方は多くないのではないでしょうか。
いずれも近い意味合いの単語ではありますが、今回は、「外注」「業務委託」の意味や違いについて、解説していきたいと思います。

「外注」とは

外注

「外注(がいちゅう)」とは、「自社以外の会社・業者に、仕事を発注すること」を意味する単語です。必要な業務の一部または全部を、自社とは別の会社等に依頼して対応してもらうことを意味します。近時は、「アウトソーシング」などとも呼ばれます。

この「外注」という単語は法律上の用語ではありませんが、広くビジネスシーンで使われている単語です。
例えば、工事を請け負っている会社が、その工事の一部を外部業者に依頼することも「外注」といえますし、自社の電話受付業務を、外部業者(コールセンター業者)に依頼することも「外注」に当たります。

一口に「外注」といっても、その内容は様々ですし、「どのような性質の契約か」も様々です。
例えば、先に見た「工事の一部を外部業者に依頼する」という契約は、法律上、「請負契約」と評価される可能性が高いです。
他方、「自社の電話受付業務を、外部業者(コールセンター業者)に依頼する」という契約は、法律上、「準委任契約」と評価される可能性が高いです。

本題とは少し逸れますが、「請負契約」と「準委任契約」との違いについても簡単に説明します。
請負契約は、「仕事の完成」を目的とする契約です。例えば、不動産を建てるときやリフォーム工事を行う場合等が典型的です。
他方、「準委任契約」は。「業務を行うこと」自体が契約の目的であり、「仕事の完成」は目的となっておりません。例えば、先に見たコールセンター業務の場合には、「コールセンターの業務(電話受付等)」を行うことが契約の目的となっており、仕事の完成自体が目的とはなっておりません。
ただし、この両者の違いは非常に微妙なこともあります。

なお、「外注」も「業務委託」も、「業務(仕事)を外部に依頼する」という点では同じ意味であり、両者に大きな意味の違いはありません。ただ、「外注」は仕事を外部に発注することについての大まかな言い方(総称)であり、「業務委託」は、「外注する方法の一部」という点で、使われる場面が厳密には異なります。「業務委託よりも外注の方が広い概念であり、外注の方法の一部に、業務委託が含まれる」と覚えておくのが良いと思います。

「業務委託」とは

業務委託

「業務委託(ぎょうむいたく)」とは、「自社の業務(仕事)を外部業者等に依頼すること」を意味する単語です。これだけ見ると、「外注」とほぼ同義ですが、先に述べた通り、「外注する方法の一部」として、業務委託という形態が使用されることが多いです。

この「業務委託」も、実は法律上の用語ではありませんが、広くビジネスシーンで使われている単語であり、企業間で「業務委託契約書」が取り交わされることは非常に多いです。
例えば、外注の箇所で見た「コールセンターの業務」に関して契約を締結するのであれば、「コールセンター業務委託契約書」といった契約書が取り交わされるのが通常です。

ただし、この「業務委託」も広い概念であり、その中身をよく見ると、「請負契約」と評価される契約や(仕事の完成を目的とする場合)、「委任契約」「準委任契約」と評価される契約も、どちらもあります。これは、契約内容により判断される部分です。

なお、「外注」にも「業務委託」にも共通しますが、企業→企業に依頼することも、企業→個人(個人事業主)に依頼することも、どちらもあり得ます。また、個人事業主が、他の個人(事業主)に依頼することもあれば、企業に依頼することもあります。
以 上

「外注」「業務委託」の意味と違い

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