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エッセンシャルワーカーの意味とは?主な職種8選

エッセンシャルワーカーの意味とは?主な職種8選

ここ何年かで、「エッセンシャルワーカー」という言葉を聞く機会が増えました。特に新型コロナウイルス関連の話題でよく使われている印象ですが、一体何を表しているのでしょうか。言葉自体は知っているものの、詳しい意味などについては今ひとつよく分からないという人も多いでしょう。

そこで本記事では、「エッセンシャルワーカー」についていろいろ学びたいという方のために、その意味や注目される背景、代表的な職種などについて解説していきたいと思います。

エッセンシャルワーカーの意味とは?

「エッセンシャルワーカー」とは、社会インフラの維持に不可欠な労働をこなす人々を指す言葉です。私たちの普段の生活を成り立たせるために無くてはならない仕事、たとえば医療・介護福祉や教育・保育、司法などの公共サービス、政府機関・地方自治体、交通機関、食品や日用品などの取り扱いといった分野の職業に就く人々を指します。

これらの仕事は、時代や社会状況にかかわらず、普遍的に求められるものです。提供が途切れれば、日常生活に大きな支障をきたすことになります。そのため、非常に重要度が高い反面、どんな状況下でも働きに出ることを求められるという、厳しい側面もあります。

英語では「essential worker」と書かれますが、「essential」は「必要不可欠」を意味しています。「キーワーカー(key worker)」や「クリティカルワーカー(critical worker)」、「社会機能維持者」などとも呼ばれます。

注目されている背景

「エッセンシャルワーカー」という言葉は、ここ数年で急速に注目されるようになりました。その背景にあるのが、「新型コロナ禍」と「少子高齢化」の2つの問題です。以下の項目では、それぞれの問題と「エッセンシャルワーカー」の関係について見ていきましょう。

新型コロナ禍

2020年に世界的な蔓延を引き起こした新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、「エッセンシャルワーカー」という言葉を広めるきっかけとなりました。

感染が拡大するにつれ、各業界の現場は活動停止やリモートワークを余儀なくされましたが、そうした対応ができない職種も多くありました。医療従事者が代表的な例ですが、他にも電車などの交通機関で働く人々などは、感染リスクにさらされつつ働くことを迫られます。

このような状況が明らかになったことにより、不要不急の仕事とは根本的に異なる「エッセンシャルワーカー」が注目されるようになったわけです。

少子高齢化

もう1つ、「エッセンシャルワーカー」が注目される背景に存在するのが、「少子高齢化の進行」です。

少子化がもたらす問題は数多くありますが、「労働力不足」はその代表的なものと言えます。15歳以上の労働力人口は年々減少を続けており、各業界ではすでに深刻な人手不足が起きています。

とりわけ「エッセンシャルワーカー」の分野は、その傾向が顕著です。特に医療や福祉関係の従事者は、高齢化による介護人口の増加も相まって負担が増え続けており、早急な対策が求められています。

さらに少子化時代における子育て支援などの課題に取り組む上でも、「エッセンシャルワーカー」の重要性は、今後ますます高まっていくと見られています。

主な職種

ここまで「エッセンシャルワーカー」の意味や注目される背景について見てきましたが、具体的にはどういった仕事が該当するのでしょうか。ここからは、「エッセンシャルワーカー」に当てはまる代表的な職種を挙げて紹介していきます。

医療関係

健康や医療といった分野の仕事は、社会に欠かせないものであることから、「エッセンシャルワーカー」の代表例と言うことができます。コロナ禍においても、感染リスクの下で働く医師や看護師に対し、世界中で感謝や賛辞の声が寄せられました。

具体的な例としては、医師や看護師、救急救命士、助産師、薬剤師、管理栄養士、保健師等の職種が挙げられます。さらに範囲を広げると、医薬品や医療器具のサプライチェーンに従事する労働者なども、この分野に含まれると言えます。

介護・福祉関係

続いての分野は、「介護・福祉関係」です。こちらも上で述べたように、代表的な「エッセンシャルワーカー」の1つとなっています。

こちらの具体的な職種としては、ケアワーカーやホームヘルパーの他に、ソーシャルワーカー、生活相談員、福祉事務所職員、地域福祉コーディネーター、ケアマネージャーなどが挙げられます。

こうした仕事も医療関係者同様、人との接触が避けられません。そのためコロナ禍のような状況においては、自分にとっての影響だけでなく、相手への感染リスクも付いてまわることになります。

公務員

「エッセンシャルワーカー」には、公務員も含まれます。

公務員にもさまざまな区分や種類がありますが、大きくは「国家公務員」と「地方公務員」に分けられます。このうち「エッセンシャルワーカー」としての性格が強いのは後者で、市役所職員や区役所職員といった職種が該当します。また、警察官や消防士なども、このカテゴリーに属します。

コロナ禍にあっても、行政サービスの必要性は変わらないばかりか、各種助成などの対応作業もあるため、負担はむしろ大きくなっています。

小売・販売関係

小売・販売業もまた、社会機能の維持には欠かせません。食料や日用品の供給が途絶えれば、日常生活は成り立たなくなります。

スーパーマーケットやコンビニエンスストア、ドラッグストア、ホームセンターなどの小売店で働く従業員が、この分野の主な「エッセンシャルワーカー」にあたります。また、生活必需品の製造・加工や輸入といった職種も、こちらに含まれます。

これらは生活必需品の供給以外にも、宅配を通じた地域の見守りや、防災・防犯といった機能が期待されており、さまざまな面で重要な仕事と言えます。

農業関係

農業や林業、漁業(水産業)といった第一次産業も、「エッセンシャルワーカー」の職種に挙げられます。

わが国における第一次産業従事者の割合は、20世紀初頭は全労働者の7割に及んでいましたが、2000年代にはわずか5%ほどにまで減少しています。少子高齢化に加えて労働条件の厳しさなどの要因により、コロナ禍以前から人材不足が続いているのが実情です。

食料自給率の向上が喫緊の課題となっている現在、後継者の確保や、作業の効率化の必要性が叫ばれています。

運輸関係

公共交通機関で働く人や、荷物の運搬に関わる人なども、「エッセンシャルワーカー」に該当します。具体的には、電車やバスの運転士や職員、タクシードライバー、トラックドライバー、宅配便などの配達員、また、倉庫の管理業務などの職種が挙げられます。

こうした仕事はもともと労働環境が厳しい上に、コロナ禍による需要増加や感染リスクの増大も重なり、現場への負担がさらに増しています。そのため、作業の効率化や待遇改善などの取り組みが強く求められています。

教育・保育関係

学校などの教育機関や保育関係者もまた、「エッセンシャルワーカー」にあたる人々と言えます。具体的には、小中学校の教員や職員、保育士といった職種がこれに該当します。

「エッセンシャルワーカー」はリモートワークに切り替えにくいという特徴を持ちますが、近年はICT教育の拡充もあり、オンラインでの授業環境も整いつつあります。実際に、コロナ禍初期において多くの学校で遠隔授業が取り入れられましたが、やはりさまざまな面で限界があるのが実情です。

今後も授業の遠隔化が進む可能性はありますが、当面は対面が基本になるのは間違いないでしょう。

インフラ関係

「エッセンシャルワーカー」は、上記のように生活に欠かせない働き手を指しますが、もちろんその中には電気やガス、水道、通信などのインフラ設備の維持・管理に携わる人々も含まれます。

こうしたライフラインと呼ばれる設備に問題があれば、広範囲に重大な影響を及ぼします。地震などの災害時にも、現場でのいち早い対応が求められますから、危険性・責任共に大きな仕事と言えるでしょう。

また、忘れられがちですが、ごみの収集もこのカテゴリーに含まれます。生活に不可欠な上に危険度も高い、重要な仕事となっています。

エッセンシャルワーカーの意味とは?主な職種8選

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