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ビジネス用語

「エスカレーション(エスカレ)」の意味とは?使い方・例文

「エスカレーション(エスカレ)」の意味と使い方

「エスカレーション(エスカレ)」の意味とは?使い方・例文

仕事の現場などで、「エスカレーション」という言葉を聞いた経験はないでしょうか。「エスカレして」など、略して言われることも多くなっていますが、急に言われると混乱する言葉かもしれません。果たしてビジネス用語としての「エスカレーション(エスカレ)」は、どんな意味を持つのでしょう。

今回は、この言葉の意味や使い方などについて、例文を交えて詳しく解説していきたいと思います。

「エスカレーション(エスカレ)」の意味

まずは、「エスカレーション(エスカレ)」の意味について見ていきましょう。「エスカレーション」は、英語の「escalation」に由来するカタカナ語です。英語での意味と、日本でのビジネス用語としての意味の両方を以下で説明します。

英語での意味

英単語「escalation」の意味は、「段階的拡大」というものです。また、「上昇」「増大」といった意味も持ちます。
「段階的拡大」というと、やや分かりづらい感じですが、動詞「escalate(エスカレート)」の形にするとイメージがしやすいでしょう。日本語でも「エスカレートする」などと言いますが、何かが次第に程度や範囲を増していくことを指します。「escalation」はその名詞形で、例えば「escalation of war」という場合は、「戦争の段階的な拡がり」を指すことになります。また、自動階段を指す「escalator(エスカレーター)」も、「escalation」に由来しています。

日本語としての意味

日本でビジネス用語として使われる場合の「エスカレーション(エスカレ)」は、「上位の人物への段階的なアプローチ」を意味することが一般的です。
ビジネスシーンにおいては、現場の個人では判断ができず、より上位の人間に指示を仰ぐべきことがらが頻繁に発生します。例えば、商品をまとめて買うからまけてほしいなどの要求を顧客から受けた際、アルバイト個人の判断では動けないことも多いでしょう。そうした場合は、すぐ上のリーダーに確認をしたり、それでも無理な場合は、さらに上の社員などに判断を仰ぐことになります。「エスカレーション(エスカレ)」は、このように上の指示や確認が必要なシーンにおいて、段階を踏んで上位の人間に連絡していくことを言います。

実際に一般のビジネス現場で「エスカレーション(エスカレ)」が必要になるケースは、前述のような値引き交渉や、商品やサービスに対するクレーム対応などが主となっています。こうしたケースへの対応を誤ると、場合によっては緊急事態に陥る可能性もあるので、できるだけすみやかな確認・対応が求められます。

各業界における「エスカレーション(エスカレ)」の意味

「エスカレーション(エスカレ)」は、業界ごとに独特の使い方をされるケースがいくつかあります。ここでは、主な3つのケースについてそれぞれ紹介していきましょう。

建設業界

建設業界には、「エスカレーション条項」というものが存在します。これは、受注している契約の価格について、資材費等の変動を反映させる契約条項を指します。物の価格は一定ではなく、常に動いていますが、その変動に合わせて契約価格も変わると定めたものが、「エスカレーション条項」です。この条項を設定することにより、建設業者が不利益を被るのを避けることができます。この場合の使い方は、「escalation」の原義に基づいています。

IT業界

IT業界における「エスカレーション(エスカレ)」の意味は、「上長(上司)へ引き継ぐ」といったものになります。この業界の場合、主にシステム利用者からの問い合わせでサービスデスクから上長に確認を行う際に、「エスカレーション(エスカレ)」が使われます。システムの問い合わせに関しては、判断に専門知識が要求されるケースが多いため、上へ対応を引き継ぐことが日常的に行われています。

また、システム障害といったまれなケースについても、サービスデスクでは対応できないため、エンジニアへの救援要請などの「エスカレーション」が必要になります。この場合は事態が深刻なぶん、「エスカレーション」に一層の迅速さが要求されます。

コールセンター業界

コールセンター業界においては、「より詳しい人に質問する」といった意味で「エスカレーション(エスカレ)」が使われます。この業界の場合、できるだけ一次対応のオペレーターが解決すべきという原則があるので、通常は「引継ぎ」ではなく「質問」が行われます。しかし、一次対応で解決できないことが明確な場合は、上司等に引き継がれることになります。こうしたケースでは、普段では見られないようなイレギュラーな問い合わせであったり、顧客が感情的になって手に負えないなどの理由が多くなっています。

「エスカレーション(エスカレ)」の使い方・例文

「エスカレーション(エスカレ)」の意味について知ったところで、今度はその具体的な使い方について見ていきましょう。通常は、「エスカレーション(エスカレ)します」「エスカレーション(エスカレ)した方がいい」のような使い方になりますが、以下に例文を挙げてみました。

  • 例文:「こちらの対応ではお客様に納得していただけそうにないので、エスカレーションしたいのですが」
  • 例文:「このままの対応だと埒が明かないから、上司にエスカレした方がいい」
  • 例文:「システム障害が発生したようなので、すぐエンジニアにエスカレします」
  • 例文:「エスカレーションの件数を減らすには、オペレーターの権限を増やす必要がある」

「エスカレーション(エスカレ)」の類義語

「エスカレーション(エスカレ)」の意味や使い方は、上記のようなものですが、似た意味の言葉についても知りたいところです。ここでは、「エスカレーション(エスカレ)」の類義語を紹介しておきましょう。

ボトムアップ

「ボトムアップ(bottom-up)」は、英語では「さかさまに」の意味になりますが、日本語としては「下位の者から上位の者への意思伝達」といった意味で使われます。意味合いは「エスカレーション」と似ていますが、経営における意思決定のプロセスを指す点が異なります。

上申

「上申(じょうしん)」とは、「意見や状況などを、上役などに告げること」という意味の言葉です。「エスカレーション」の日本語訳としては、最も適当な言葉にあたります。ただ一般的には、「上申」の語は「エスカレーション」より大げさな印象が持たれています。

最後に

このように、「エスカレーション(エスカレ)」の語は、ビジネスの現場では「上役への確認・引継ぎ」といった意味でよく使われています。顧客に直接対応する現場や、コールセンターなどでよく使われる言葉です。本来の英語の意味とはやや異なるので、ビジネス用語としての意味合いをしっかり踏まえ、適切な対応ができるように日頃から意識しておきましょう。

「エスカレーション(エスカレ)」の意味と使い方

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