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取締役の意味とは?主な4つの機能と従業員との違い5選

取締役の意味とは?主な4つの機能と従業員との違い5選

会社に勤めている人であれ、まだ学生だという人であれ、「取締役」という言葉を耳にしたことがない人は少ないでしょう。ただ、その詳しい内容となると、実はあまり詳しくないという人も珍しくありません。実際に、取締役の意味や役割には、少々分かりづらい点が多くなっています。
しかし、取締役は会社において重要な位置を占める役職であり、その役割について把握しておくことは大切です。

そこで本記事では、取締役の意味や主な機能、また従業員との違いなどについて解説していきたいと思います。

取締役の意味とは

普段耳にする機会も多い「取締役」という肩書ですが、その詳しい意味については、実際に会社勤めをしている人でも意外に分からないことが多くなっています。まずは、「取締役」という役職の意味について見ていきましょう。

取締役は会社の経営者の1人

取締役は会社の経営者の1人

「取締役」とは、株式会社における、「取締役会」と呼ばれる機関の構成員を意味する言葉です。「取締役会」は、業務執行に関する会社の意志を決定する機関を指しています(取締役会の設置については、現在は任意となっており、非設置の株式会社もあります)。

取締役会設置会社における取締役は、株主総会による選任を受け、なおかつ3人以上でなくてはなりません。任期は、2年が原則です。株主総会の決議により、任期中に解任されることもあります。
取締役は、会社運営に関する重要事項を決定する役割などを担っており、広い意味で「経営者」の1人にあたり、日本の会社においては、「社長」や「副社長」、「専務」といった肩書で呼ばれることが多くなっています。
会社内では幹部職員である「役員」に当たっており、従業員とは異なる立場になります。

取締役の主な4つの機能

上の項目では、取締役の意味について見ましたが、具体的にどういった役割を負う役職なのでしょうか。取締役が持つ主な機能について知りたいところです。以下の項目では、取締役が担う役割について、4つの機能を紹介していきましょう。

決定機能

決定機能

取締役の重要な機能の1つが、会社運営に関する方向性などを決める「決定機能」です。これは、取締役が担う機能の中でも、もっとも大事なものとなっています。

その会社の基本的な方向性については、定款の「(事業)目的」の中で定められていますが、具体的にどういった方向を目指すべきかは、経営のトップが決めるべき問題です。例えば家電メーカーであれば、「有機ELテレビの開発に注力する」などの方針を決めるのが、取締役の役割となります。

執行機能

執行機能

取締役の持つ重要な機能としては、「執行機能」も挙げられます。これは、上記の「決定機能」によって定められた方向性に従い、実際に業務を執行する機能のことです。

業務の意思決定については、会議体である取締役会によって行われます。しかし、実際にその業務を執行するのは、取締役会によって権原を移譲された代表取締役や、それ以外のいわゆる役付取締役(専務や常務などの肩書を持つ取締役)である、業務担当取締役などとなっています。

監督機能

監督機能

取締役の大事な機能としては、「監督機能」も見逃せません。これは取締役の持つ4つの機能のうち、「決定機能」と並ぶ代表的な機能となっています。

上記のように、取締役会は業務の執行者として代表取締役や業務担当取締役の選任を行いますが、単にそれだけでなく、実際の業務状況についての監督(監視)義務も負います。
特に近年は、企業の業務内容に関する不祥事が相次いでいることから、こうした監督機能の強化が求められる傾向が強まっています。

監査機能

監査機能

取締役の持つ機能、最後に挙げるのは、「監査機能」です。これは、会社が不正な方向に向かっていないかをチェックする機能となっています。

監査機能については、取締役会とは別に設置される、「監査役会」という機関が担うことも多くなっています。監査役会は、取締役と同じく3人の監査役から成り、取締役の活動が適正かつ適法に行われているかどうかを監査する役割を負います。
その一方で、委員会設置会社においては、監査委員を務める取締役が監査機能を担うようになっています。

取締役と従業員の違い

取締役と従業員は、上で述べたように、同じ会社でも異なる立場に位置しています。では、具体的にどのような点が異なるのでしょうか。以下の項目では、取締役と従業員との違いについて、主なポイントを紹介していきましょう。

委任契約と雇用契約の違い

委任契約と雇用契約の違い

取締役と従業員は、そもそも会社との契約形態において違いがあります。

従業員の場合、会社との間に結ばれるのは、「雇用契約」です。雇用契約とは、従業員が会社の指揮監督に従って働く契約を指します。
それに対し、取締役が会社と結ぶのは、「委任契約」になります。「委任契約」は、一般の人間では難しい事柄の処理を、それに長けたプロフェッショナルに依頼する契約を指しています。

つまり取締役は、単に労働力を提供しているのではなく、経営の専門家として会社に依頼を受けている点が特徴と言えます。

身分保障の差

身分保障の差

取締役と従業員とでは、身分保障の面においても違いがあります。

従業員の場合、会社とは雇用関係にあることから、会社に対してかなり弱い立場にあります。そのため、会社側が従業員を解雇するにあたっては、合理的な理由や相当性がなくてはならず、かつ事前の解雇予告等が必要となります。
それに対し取締役の場合は、会社との力関係はほぼ同等となっています。ですので、基本的に取締役はいつでも辞任できる代わり、会社側も株主総会の決議があれば、いつでも取締役を解任できるようになっています。

対価に対する保護の有無

対価に対する保護の有無

従業員は、前述のように会社に対してかなり弱い立場にあり、生活についても、会社から支給される給与などの対価に大きく依存しています。そのため会社の倒産時には、給与などの雇用契約に関するすべての債権について、他の債権者に優先して支払われるという特権を持っています。

それに対し取締役には、このような特権がありません。取締役は、経営の専門家として会社と対等の契約を結んでいるため、従業員とは違い、対価の優先的な保護は受けられないようになっています。

会社に対する責任の違い

会社に対する責任の違い

取締役の肩書を持つ人は、上でも述べたように、経営のプロとして会社から仕事を委任される形となっています。その分責任も重く、もしも注意を怠って会社に損害を与えた場合は、これについて賠償しなくてはなりません。このことは、会社法にも明記されています。

一方従業員も、やはり会社に対して損害を与え、それが労働契約に反していた場合は、損害賠償責任を負うことになります。ただし、取締役が「善管注意義務違反」による賠償になるのとは違い、従業員の場合は、「債務の不履行」による賠償となります。

第三者に対する責任の有無

第三者に対する責任の有無

取締役が、委任関係にある会社への損害賠償責任を負うことは、上記の通りですが、他の会社などの第三者に対して損害を与えた場合も、賠償の義務を負うことになっています。
これは「対第三者責任」と呼ばれ、取締役の職務に悪意や重過失があった結果、第三者に損害を与えた場合に認められると、会社法に規定されています。
こうした責任は、取締役が持つ権限や影響力が、社会的にきわめて大きいことに由来しています。一方従業員は、取締役とは違い、こうした責任は負いません。