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一般常識

「伝統工芸品」「伝統民芸品」「美術品」の意味と違い

「伝統工芸品」「伝統民芸品」「美術品」の意味と違い

「伝統工芸品」「伝統民芸品」「美術品」の意味と違い

美術の鑑賞や収集を趣味とする層に特に人気なのが、「伝統工芸品」です。伊万里焼や加賀友禅などの品が代表的ですが、この「伝統工芸品」と似た言葉に、「伝統民芸品」というものもあります。門外漢にはイメージが重なって区別しづらいこの2つの言葉は、どう異なるのでしょうか。また、これらと「美術品」の違いについても気になるところです。

今回は、「伝統工芸品」「伝統民芸品」「美術品」の3語の意味や違いについて解説していきますので、これらを使い分ける参考にしてみてください。

「伝統工芸品」とは

伝統工芸品

「伝統工芸品」の明確な定義などはありませんが、「伝統」と「工芸品」の2語に分けることで大体の意味をつかみやすくなります。

「伝統」は、「昔から受け伝えてきた風習やしきたり、傾向、様式」を表します。一方「工芸品」は、「芸術的な意匠をほどこして制作された工作物」を意味しています。漆器や染織品などの、手作りの業による品物を指します。つまり「伝統工芸品」とは、「昔ながらの方法で作られた漆器などの工作物」といった意味を表すと言えます。

「伝統民芸品」との主な違いは、制作の「作り手」と「目的」に求められます。「伝統民芸品」については後で触れますが、「伝統工芸品」の場合は、有名な職人が実用以上に美術的な目的で制作する点が特徴です。

「伝統民芸品」とは

伝統民芸品

「伝統民芸品」は、一般的には「民芸品」の名で呼ばれています。「民芸品」とは、「一般民衆の生活の中で作り上げられた、その地方独特の手工芸品」という意味の言葉です。「民芸」と呼ばれることもあります。

「民芸品」という概念は、美術評論家の柳宗悦らによって大正時代に提唱されたものです。柳らの起こした「民芸(藝)運動」は、手仕事により作られた日用品に美を見出す運動で、それまで美術品として評価されてこなかった埋もれた工作物の価値を世に広めました。「民芸」の語は、「民衆的工芸」を略したものになります。

「伝統工芸品」との違いは、上記のように「作り手の立場」や「用途」にあります。「民芸品」は、無名の職人の手によって日常の用を満たすために作られる点で、「伝統工芸品」と使い分けられます。

「美術品」とは

美術品

「美術品」とは、「美術の制作品」という意味の言葉です。絵画や書、彫刻、工芸などの作品を含めてそう呼びます。

前述のように、「美術品」には「工芸品」も含まれており、大まかに言えば「工芸品」は「美術品」の一種であると言えます。しかし、すべての「工芸品」が「美術品」というわけではなく、あくまで美術的価値が高いと認められたもののみそう呼ばれます。

「伝統工芸品」の場合、上記のように美的な価値が重視されるため、「美術品」に含められるケースが多くなっています。ただ、「美術品」とまで呼ばれるのは、市場で一級品と認められた品が主です。そのため、「伝統工芸品=美術品」とは断言できません。同じことは、「伝統民芸品」についても言えます。

そもそも、「美的な価値」自体相対的なものなので、「美術品」と「伝統工芸品」「伝統民芸品」の区別はかなり曖昧であると言えます。

「伝統工芸品」「伝統民芸品」「美術品」の意味と違い

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