一般常識
「妖しい」「怪しい」「奇しい」の意味と違い
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妖しい・怪しい・奇しいの意味と違い
「妖しい」「怪しい」「奇しい」は、いずれも「あやしい」と読む言葉です。これらは似たような意味を持ちますが、一般的にはそれぞれ場面を分けて使われます。それでは、これらは具体的にどんな時に使われるのでしょうか。詳しい意味合いが知りたいところです。そこで今回は、「妖しい」「怪しい」「奇しい」の意味と違いについて解説したいと思います。
妖しいとは
「妖しい」は、「怪しい」と同じ意味として辞書には載せられていますが、使い方はより限定されます。「妖しい」の主な意味合いは、「神秘的な力がある」「不可思議である」というものです。人智を超えた力や科学的な説明がつかない現象、また人を幻惑するような美しさなどに対して使われます。具体的には、「妖しい魔力を持つ老人」「瞳が妖しく輝く」「彼女には妖しい魅力がある」などの使い方をされます。
「妖しい」の「妖」の字は、「両手を重ねてひざまづく女性」と「巫女が身をくねらせて神を招く踊りをする」象形から成っています。そこから「みずみずしく美しい」「なまめかしい」「あでやか」を表す漢字となりました。
怪しいとは
「怪しい」の意味は、大まかに言うと、「十分に納得がいかない様子」というものです。普通と違って変なありさまや、正体が分からずに気味が悪いという様子、疑わしい、信用できないといった様子を表します。また、状況が悪くなりそうな様子や、男女の関係がありそうという意味でも使われます。具体的には、「挙動の怪しい人間」「怪しい人影」「刑事に怪しいとにらまれた」「雲行きが怪しい」「あの2人はどうも怪しいようだ」のように使われます。
「怪しい」の「怪」という字は、「心臓」「右手」「神を祭るために柱状に固めた土」の象形から成っています。これは触れることが許されない土地の神に触ることで、異常な状態になることを表しており、そこから「あやしい」を指す漢字として成立しました。
「怪しい」はこのように、幅広い使われ方をされるのが特徴です。この点は前述のように、「妖しい」などとの大きな違いとなっています。
奇しいとは
「奇しい」の意味は、「神秘的である」「不思議である」といったものです。基本的には「怪しい」と似た意味合いですが、やはり使われ方は限定されます。「奇しい」は、単に様子のおかしいことや信用できないといったことではなく、めったに見られないような不可思議な事象に対して使われるようになっています。例えば、「奇しい光が夜空に現れた」などの使い方です。
「奇しい」の「奇」は、「手足を広げた人」「口」などの象形から成っており、「変人」を表します。そこから「変わった」を意味する漢字として成り立ちました。
このように、「奇しい」という表記はめったに使われることはありません。「あやしい」という読みも表外読み(常用漢字に含まれない読み方)となっており、こうした点は「怪しい」との違いになります。
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