「退職願」と「退職届」の違いとは?

仕事を辞めることは、生活の大きな転機となります。
しかし、職場の人間関係や仕事のやりがい、自分の将来を考えて、今の仕事を辞めた方がいいと判断することもあるでしょう。

いざ辞めるとなると、「退職願」、「退職届」を提出する必要があります。
ですが便箋を前にいざ書き始めようとしたら、冒頭に「退職願」と「退職届」、どちらを書くべきなんだろう?と悩んでしまって結局書き始められなかった、という経験がある人もいるはずです。

どちらを書くのが正しいのか?
どちらを提出するかで、その後の手続きや身の振り方に影響があるのか?

悩んでいるうちに退職しようという気持ちもしぼんでしまうかもしれません。
ですが仕事を辞めて環境を一新しよう、と決意したら迷いは不要です。
気になる「退職願」と「退職届」の違いを押さえて、書き始めましょう。

「退職願」とは

「退職願」とは、雇用契約の解約を申し出る書類です。
噛み砕いて言うと、「退職したいのですが、よろしいでしょうか?」という伺いを立てる文書になります。

提出した時点では退職は確定となりません。
あくまで「願い」ですので、しかるべき責任者が了承、受理した時点で退職することが確定的となります。

いわゆる、被雇用者と会社が合意して雇用契約を終了する、「合意解約」ということになります。

なお、会社が承諾しなくても提出から2週間が経過した時点で、会社が承諾したとみなされます。
つまり、上司や会社側に「考えておくから」などと認めてもらえずそのままにされてしまったとしても、提出から2週間経てば辞めることができる、ということです。

「退職届」とは

「退職届」とは、雇用契約の解約を告知する書類です。
一言で言うと、「雇用契約は終了とさせていただき、退職します。」という意思を表示するための書類で、提出した時点で退職は確定となります。

民法では、退職を宣告する通知は最低2週間以上前に出せば有効と定められています。
そのため、極端に言えば「退職届」を出してから2週間が経過すれば被雇用者から一方的に雇用契約を打ち切る、すなわちもう出勤しなくてもいい状況になると言えます。

こちらは被雇用者が自主的に雇用契約の終了の意思表示をする、「自主退職」「辞職」ということになります。

具体的な「退職願」と「退職届」の違い

「退職願」と「退職願」の違いはどこに出てくるのでしょう?

それは、撤回できるかできないか、という部分です。
上記の通り、「退職願」は「退職させてください」という意思表示、「退職届」は「退職します」という通告ということになり、この違いが撤回の可否に影響を与えます。

「退職願」は会社が承諾した時点、具体的に言えば退職を承認する人事権を持つ担当者が承諾することで退職が決定します。
そのため、「退職願」は会社が承諾するまでは撤回が可能とされ、辞めるのを辞める、という猶予がある状態になります。
会社が正式に承諾してしまうと、撤回は不可能です。

一方、「退職届」は被雇用者からの一方的な契約の打ち切りとなるため、会社が承諾するかどうかに関わらず退職が決定となります。
一度出すと特別な事情があるか、会社側が撤回を認めなければ撤回はできません。

実際にはどちらを出せばいいのか?

撤回できるかどうかが大きな違いではありますが、それでは実際にはどちらを出せばいいのでしょう?

一般的には「退職願」を出すケースが多いようです。
「辞めます」と強固な意志を伝える「退職届」よりも、「退職させてください」とお願いをする「退職願」の方が当たりが柔らかいという見方もあるでしょう。

会社によっては就業規則で「退職願を提出」と定められている会社もあります。
しかし上司に退職の意思を伝えた上で会社から認められた後に出す場合は「退職届」でも可、とする会社もあるようですので、就業規則を確認する必要があります。

「退職届」を提出すべきケース

「退職届」を出すべき場合もあります。
それは、会社都合による退社の場合です。
会社都合の退社の場合、「退職願」を提出してしまうと、被雇用者から退職を願うという意味合いの文書になりますから自己都合扱いとされてしまう可能性があります。

そして、提出する「退職届」の文面には「解雇を通告されたため退職致します」と明記しておく必要があります。
会社から解雇とされたため退職する旨を「退職届」にて表明する、という流れになるわけです。

他にも、「退職願」を提出しても受け取りを拒否されるようなケースでは、内容証明郵便などで「退職届」を送付し、退職の意思表明をしたことを証拠として残しておき退職する、ということが必要になる場合もあるでしょう。

書き方の違い

以上のように、内容としては一文字違いで大きな違いがある「退職願」と「退職届」ですが、書き方の違いはあまり気にする必要はありません。

退職の意思を表明する文末が、「退職願」であれば「退職いたしたくここにお願い申し上げます」、「退職届」であれば「退職させていただきます」となるくらいの違いです。
どちらの場合でも、退職理由については「一身上の都合」として具体的な内容まで記載する必要は一切ありません。

まとめ

本来であれば、退職前には上司に相談して「退職届」を提出し引き継ぎ等の予定を立てて円満に退職するのが望ましいと言えるでしょう。
法的には退職希望日の2週間前に提出すれば問題はありませんが、余裕を持って1ヶ月ほど前には提出したいものです。

しかし、強い慰留を受けたり「退職願」の受け取りを強固に拒否されてしまう可能性がある場合は「退職届」で強い退職の意思を表明する必要があるかもしれません。