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ストックオプションの意味とは?仕組みや種類、活用例、新株予約権との違いについて

ストックオプションの意味とは?仕組みや種類、活用例、新株予約権との違いについて

企業経営に関わる人であれば、「ストックオプション」という言葉を聞く機会も少なくないでしょう。ストックオプションはインセンティブの一種で、日本や世界で広く行われている報酬体系です。
企業にとっても、そこに働く従業員等にとってもメリットのあるストックオプションですが、詳しい内容についてはよく知らないという人も多いかもしれません。

そこで本記事では、ストックオプションの意味や種類、具体的な活用例などについて解説していきたいと思います。また同時に、新株予約権との違いについても紹介します。

ストックオプションの意味と仕組みとは?

ストックオプションの意味とは

「ストックオプション」とは、株式会社の経営者や従業員が、自社の株を一定の価格で購入することができる権利を指す言葉です。

「ストックオプション」は和製英語で、英語では一般的に「employee stock option」と呼ばれます。「employee」は「従業員」を意味し、「stock」は「株式」を、「option」は「選択権」などを意味します。

従業員などに対する報酬制度の一種であり、1950年代のアメリカにおいて、税制改正を機に導入されたのが発祥になります。日本では、1997年の商法改正をきっかけとして認められるようになりました。

「ストックオプション」のおおまかな仕組みは、次のようなものです。
まず、会社側が取締役や従業員に対し、「権利行使価格」と呼ばれる「あらかじめ一定の額で会社の株式を取得できる権利」を付与します。この権利を得た者は、将来会社の株価が上昇した時点で権利を行使し、時価よりも安い価格で自社株を購入することができます。その後時価で株を売却することにより、対象者は差額分の利益を得られるわけです。
つまり、会社の業績が上がるほど株価も上昇し、それによるストックオプション行使時の利益も増すという、実質的なインセンティブ効果を持つ報酬制度になります。

新株予約権との違い

ところで、「ストックオプション」と似た制度に「新株予約権」がありますが、この2つにはどういう違いがあるのでしょうか。

新株予約権とは、企業が発行する株式について、あらかじめ決まった価格で購入できる権利を意味します。これだけだとストックオプションと同じに見えますが、新株予約権は単独での発行が認められており、一般投資家も権利の取得が可能な点が異なっています。ストックオプションは、新株予約権の一種にあたる制度です。

ストックオプションの仕組みとは

続いては、「ストックオプション」の詳しい仕組みについて見ていきましょう。

ストックオプションは、「あらかじめ決められた期間内に、決められた価格で株式を購入できる」ことがポイントとなっています。

例えば株価が1株1000円の時点において、「今後5年の間は、自社株をいつでも1株1000円で、1000株まで購入できる」ストックオプションを得たとしましょう。
その後会社の業績が順調に向上し、3年後に1株2000円にまで上昇した場合でも、ストックオプションの権利者は株式を1株1000円で購入することが可能です。
もしも100株購入して時価で売却した場合には、差額分の利益「20万円-10万円=10万円」を得ることになります。

ところで、ストックオプションの購入限度は「何株まで」という具合にではなく、「持分比率」で決められるのが通常です。持分比率とは、「会社が発行した全株式に対する、対象者の所有株数の割合」のことです。
ストックオプションではこの持ち株比率についての明確なルールはありませんが、一般的には10%程度にすることが多くなっています。

ストックオプションの種類

一口に「ストックオプション」と言っても、その種類は1つではありません。大きく分けて3つの種類があり、それぞれに内容が異なります。この項目では、それら3つのストックオプションの特徴などについて見ていきましょう。

通常型ストックオプション

「ストックオプション」の種類、まず1つ目は、「通常型ストックオプション」と呼ばれるものです。こちらは従来より一般的に用いられているものですが、通常は税制適格の条件を満たす形で発行されることから、「税制適格ストックオプション」とも呼ばれます。

「通常型」の特徴は、次のようなものです。すなわち、権利行使価格を付与された時点での株価以上に設定し、権利行使時に付与時点より株価が上昇していれば、権利行使価格と権利行使時の株価との差額を、報酬として受け取れるようになっています。つまり上記の「ストックオプションの仕組みとは」で紹介した仕組みが通常型ストックオプションとなります。
この際、税制適格の条件を満たしているかどうかで、権利行使時に課税されるかどうかも異なります。税制適格の条件を満たしていれば、権利行使時ではなく、株式売却時にまとめて課税されるようになっています。

有償ストックオプション

続いて紹介するストックオプションの種類は、「有償ストックオプション」と呼ばれるものです。こちらは、新株予約権を時価で発行するものについて言います。役員や従業員は、会社が発行する株式について発行時の価格で新株予約権を購入し、権利行使時に株価が上がっていれば、その分の差額を報酬として得ることができます。
ストックオプションの付与対象者が、新株予約権の発行価格を金銭で払い込むことから、「有償」の名がついています。

通常型のストックオプションが、会社側から与えられる報酬の性格が強かったのに対し、有償ストックオプションは、付与対象者が購入の意思決定について自ら能動的に判断するという、投資的な性格が強い点が特徴となっています。

株式報酬型ストックオプション

最後に紹介する「ストックオプション」の種類は、「株式報酬型ストックオプション」です。こちらは名前の通り、株式を報酬とすることを前提としたストックオプションになります。

権利行使価格をきわめて低く設定しておくことにより、権利行使時の株価がほぼそのまま利益となる点が特徴で、実質的に株式自体を報酬として付与する効果があります。権利行使価格が1円の場合が多いことから、「1円ストックオプション」とも呼ばれ、退職金の代わりとして利用されるケースも多くなっています。

ただし、こちらのストックオプションは税制適格の条件を満たさないため、権利行使時と株式売却時の両方で課税されるようになっています。このため、「税制非適格ストックオプション」とも呼ばれます。

活用例

ここまではストックオプションの意味や種類について説明してきましたが、具体的な活用方法についても気になるところです。ここからは、ケースごとのストックオプションの活用例についていろいろと紹介していきましょう。

上場を目指す会社の場合

スタートアップやベンチャーと呼ばれるようなこれから上場を目指す会社の場合ですが、こうした会社は、優秀な人材を得るにはまだ資金力が不足しているというケースも多くなっています。
このような時に、会社が従業員にストックオプションを付与することで、優秀な人材を確保するための手段とすることができます。ストックオプションの対象者としては、上場後に権利を行使することにより、権利行使価格と株価の差額を利益として得ることができますから、会社の業績向上に向けて一層の努力を惜しまなくなります。

上場会社の場合

すでに上場している会社の場合も、ストックオプションの活用はもちろん有効です。上場会社にとって、企業価値の向上は重要な課題の1つと言えます。その上で大事になるのが、長期的な業績向上のためのモチベーションを従業員に与えることです。
そこで、会社の業績に連動して自らの利益も増えるストックオプションを付与することにより、従業員のモチベーションを自発的に上げることができます。

ただ、この場合は従業員に金銭的な負担を与えないよう、報酬比率を一定以下にしておくことも大切です。

外部協力者に対する活用例も

ストックオプションのもう1つの活用例として、「外部協力者への役務対価にする」という方法もあります。
例えば、上場を目指す会社がコンサルタントにサポート業務を依頼する際、成功報酬としてストックオプションの付与を行うといった具合です。これにより、コンサルタントの企業価値向上へのモチベーションもアップし、目標達成への可能性も高まります。

ちなみに、以前は外部協力者へのストックオプションの付与は税制非適格とされていましたが、2019年の法改正により、現在は一定の要件を満たした外部協力者については、税制優遇措置の対象とされるようになっています。

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