一般常識
「出版」「発行」「発刊」「刊行」「上梓」の意味と違い
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出版・発行・発刊・刊行・上梓の意味と違いとは
本や雑誌などを世の中に出す際には、いろいろな言葉が使われます。代表的なのは「出版」ですが、そのほかにも「発行」や「発刊」、「刊行」、「上梓」とさまざまなものがあります。これらの言葉は、それぞれ具体的にどういった意味やニュアンスを持つのでしょうか。
今回は、「出版」「発行」「発刊」「刊行」「上梓」の意味と違い、使い分け方などについて解説していきましょう。
出版とは
「出版」とは、「文書などを印刷して世の中に広く行きわたらせること」という意味の言葉です。文章や図画、写真などの素材を印刷して複製し、書籍や雑誌といった形にして販売することを言います。「あの俳優は、自伝を2冊出版している」「息子は出版社に勤めている」のように使われます。
「出版」の「版」の字は、もとは「土塀を築くときに使う板」の意味ですが、その後「字を刻んだ印刷用の板」の意味も派生しました。
印刷(木版印刷)技術自体は7世紀の中国で生まれましたが、後世に直接の影響を与えたのは、15世紀のヨーロッパに登場した活版印刷になります。これによって効率的な印刷が可能となり、大量の書籍が出版されるようになりました。
「発行」などとの違いについては、以下で見てみましょう。
発行とは
「発行」とは、「本などを印刷して世に出すこと」という意味の言葉です。書籍や新聞、雑誌などを印刷し、広く世間に流通させることを言います。「新聞の発行部数は年々減る傾向にある」「来週の雑誌発行に記事が間に合わない」のように使われます。
「発」は「送る」「出す」を意味し、「行」は「広まる」を意味しています。
「発行」は、「印刷して世に出す」という意味では「出版」と違いはありません。しかし、使われるケースには多少の違いがあります。「出版」が主に書籍などの冊子類について使われるのに対し、「発行」は一般的に、新聞など冊子以外のものに使われるようになっています。また、「発行」は紙幣や債券、入場券などについても使われるという点も異なります。
発刊とは
「発刊」もまた、「書物などを印刷して世に出すこと」という意味の言葉です。また、新聞や雑誌などを新しく出版することも言います。「ティーンエイジャー向けの雑誌を発刊した」「全集の発刊が予定より遅れている」のように使われます。
「発刊」の「刊」は、「おかす」「刀」の象形からなり、「(刃物で)けずる」の意味を持ちますが、「書物を出版する」の意味もあります。
「発刊」も基本的に「出版」や「発行」と同じ意味ですが、具体的な使い方は違います。「発刊」の語が使われるのは、主に継続的に出版されるものに対してとなっています。特に週刊誌や月刊誌などの雑誌を新たに出すことを言い、「創刊」と同じ意味合いになります。
刊行とは
「刊行」とは、「書籍などを印刷して世に出すこと」という意味の言葉です。こちらも基本的には、「出版」や「発行」などと違いはありません。「美術全集を刊行する」「雑誌を刊行する」「明治時代に刊行された書物」のように使われます。
「刊行」の「刊」は、前述のように「書物を出版する」の意味があります。
上でも述べたように、「刊行」は基本的に「出版」などと同じ意味の言葉です。しかし、ニュアンスには微妙な違いがあります。「刊行」の語が使われるのは、主に美術や文学関係などの書物で、「出版」や「発行」などに比べると、やや堅いイメージの言葉となっています。
上梓とは(じょうしとは)
「上梓(じょうし)」とは、「文字などを版木にきざむこと」という意味もありますが、「書物を出版すること」という意味で使われるのが一般的です。「このほど論文をまとめて上梓した」「デビュー作となる小説を上梓した」のように使われます。「上梓」の「梓」は、「あずさの木」を意味しており、古くはあずさを版木に用いたことから、「版木」の意味もあります。
「上梓」もやはり、基本的な意味は「出版」や「発行」などと変わりませんが、ニュアンスに違いがあります。「出版」「発行」が即物的でそっけない印象なのに対し、「上梓」は古風で品が良く聞こえるため、改まった場などでよく使われるようになっています。こうしたニュアンスの違いに気をつけると、場合に応じた使い分けに役立ちます。
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