一般常識
治める・統める・収める・納める・修めるの違い
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治める・統める・収める・納める・修めるの違いとは
治めるとは
治めるの「治」という字は、流れる水と農具という組み合わせから成っており、本来は「水をおさめる」といった意味がありました。そこから派生して、何かを整え、平穏な状態に保つといった意味も持つようになっています。
例えば、「統治」などとも言うように、国などの地域を支配して安定させることが、治めるにあたります。争いを鎮め、平和な状態を維持することを表しているわけです。
また、何かを管理する場合にも、治めるの表記を用います。例えば、「家庭を治める」「河川を治める」といった具合です。他に病気を治すといった意味でも、治めると表現する場合があります。
統めるとは
統めるは、何かをまとめる、合わせるといった意味を持つ言葉です。「統べる(すべる)」という言い方もされます。統めるの「統」は、糸を集めて1本のより糸とするさまを表しており、何かをより合わせたり、一緒にすることを意味しています。
「治める」との違いで言うと、治めるが平和で正しい状態を保つという意味合いなのに対し、統めるにはそうしたニュアンスは含まれないという点が挙げられます。統めるは、あくまで「1つにまとめる」ことに主眼があり、中身の状態は問題とされません。「統合」「統一」という言葉を思い浮かべると、分かりやすいでしょう。
また、「統率」などとも言うように、地域を支配して先導するという意味もあります。この場合にも、平和な状態かどうかはあまり問わないという特徴があります。
収めるとは
収めるという言葉は、何かをしまう、片付けるといった意味を持っています。もう1つには、乱れた状態のものを静かに抑えるといった意味もあり、こちらは「治める」とほぼ同義となっています。
ですので、例えば「紛争をおさめる」「怒りをおさめる」などという場合には、収めると治めるのどちらを使っても間違いではありません。細かく使い分けたいのであれば、収束や治安といった熟語を思い浮かべると、選びやすくなるでしょう。
例えば、事態が沈静化するという意味合いなら「収める」を、何かを正しい状態に置くという意味合いなら、「治める」を使うといった具合です。
一方、しまう、片付けるという意味で使う場合は、治めるより収めるの方が適切となっています。
納めるとは
納めるという言葉は、何かをしかるべきところへしまう、枠内へ入れて閉じるといった意味があります。いわゆる「収納」の意味です。この使い方では、「収める」とほとんど違いはありせん。ですので、どちらの表記を使っても問題ありません。
納めるには、その他にも、お金や品物を誰かへ差し出すという意味もあります。これは、「納入」の意味合いになります。例えば、「税金を納める」「謝礼を納める」といった具合ですが、こうした義務を伴うような場合には、収めるの表記は使われません。ですので、使い分けをする場合には、義務の有無を考えるのも有効です。また、「収容」や「納付」など、場合に応じて熟語に置き換えるのもわかりやすいでしょう。
修めるとは
修めるの「修」の字は、本来は「洗い清めて美しく飾る」という意味合いを持っています。そこから、「正しい状態に整える」といった意味が生まれました。このことからもわかるように、修めるという表記には、「(行動や人格を)正しいものにする」という意味合いがあります。
具体的には、「徳を修める」「身を修める」といった具合に使われます。
また、学問や体技などを身につけるという場合にも、修めるの表記が用いられます。例えば、「物理学を修める」「簿記を修める」「弓道を修める」といった具合です。これは「修学」の意で、この点は「治める」や「収める」との明らかな違いとなっています。
まとめ
以上、「治める」「統める」「収める」「納める」「修める」という、5つの「おさめる」の違いについて説明してきました。「治める」は、ものごとを平穏にし、正しい状態に整えるといった意味合いがあります。具体的には、「国を治める」といった具合に使います。「統める」は、「統べる」とも書き、何かを1つにまとめることを表します。この場合は、状態の正しさなどは問われません。
「収める」と「納める」は、ほとんど同じ言葉として使われることも多く、どちらも片付ける、しまうといった意味があります。細かい使い分けで言うと、「納税」のように義務や正当性を伴う場合は、「納める」を使うのが適切です。
一方「修める」は、他とは異なり、行動などを正しくする、学問などを身につけるという意味があります。
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