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一般常識

「民族」「部族」「氏族」の意味と違い

「民族」「部族」「氏族」の意味と違い

「民族」「部族」「氏族」の意味と違い

現在地球上には70億を超える人間が存在しますが、これらの人々は、いくつかの集団に分けて扱われることが多くなっています。こうした集団の呼称はさまざまですが、その一種として挙げられるのが、「民族」「部族」「氏族」の3つです。これらの言葉はそれぞれイメージがかなり近く、区別が難しくなっていますが、一体どのポイントで使い分けられるのでしょうか。

今回は、「民族」「部族」「氏族」の意味や違いについて解説していきますので、この3つを使い分ける際の参考にしてみてください。

「民族」とは

民族

「民族(みんぞく)」とは、「共通の文化的背景と、同じ集団に帰属するという意識を持つ人々の集まり」といった意味の言葉です。この場合の「共通の文化的背景」には、歴史、言語、風俗、宗教などの要素が含まれます。「民族の歴史をひもとく」「他民族同士の争いは不毛だ」「世界には数多くの少数民族が存在する」などのように使われます。

「民族」という言葉の学術的な定義はあいまいですが、母語によって分類されるケースが多くなっています。この場合は、「ウラル系民族」「インド・ヨーロッパ系民族」といった具合に分けられます。

「民族」の語は、上記のように定義が明確でなく、「部族」と同義として使われることも少なくありません。その一方で、「近代国民国家を形成しており、人口規模なども大きい」という点で、「部族」と使い分けるケースも多くなっています。

「部族」とは

部族

「部族(ぶぞく)」とは、「一定の地域に住み、共通の言語や宗教などを持ち、1つの政治的統率下にある共同体」といった意味を表す言葉です。「部族を率いる長」「部族間の争い」「部族社会のしきたり」などのように使われます。

「部族」という言葉は、英語の「tribe(トライブ)」の訳語にあたります。文化人類学においては、長らく「未開社会」の意味で使われてきましたが、近年は差別的だとして使用は減り、代わりに「民族」を使う傾向が強まっています。一方史学においては、「部族=近代国家成立以前の言語集団あるいは政治集団を対象として使われるカテゴリー」とされています。

「部族」と「民族」は、前述のように意味の違いなく使われるケースもあります。ただ一般的には、「部族」は「近代国家を形成しておらず、居住地域が限定される規模の小さな集団」という点で、「民族」と区別することが多くなっています。

「氏族」とは

氏族

「氏族(しぞく)」とは、「同じ祖先から出た一族」という意味の言葉です。同一の始祖を持つと信じている人々の集団を指し、「うじぞく」とも呼ばれます。「古代氏族」「氏族社会」「氏族制度」などのように使われます。

人類学の用語としての「氏族」は、英語の「clan(クラン)」の訳語にあたります。この場合、「共通の祖先」の存在は神話的なもので、実際の系譜的関係はあいまいなことが通常となっています。これに対し、共通祖先までの系譜関係をはっきり特定できるような集団は、「リネージ」と呼んで区別されます。

「民族」「部族」との違いは、「血縁関係」を第一の前提とする点にあります。「民族」「部族」は文化的な共通項が重視されますが、「氏族」では「祖先が同じであること」が最も重要な要素となります。

「民族」「部族」「氏族」の意味と違い

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