一般常識
不安を「掻き立てる」「駆り立てる」の意味と違い
スポンサーリンク
不安を「掻き立てる」「駆り立てる」の意味と違い
「○○が人々の不安を掻き立てている」のように、「不安を“掻き立てる”」という表現は、新聞記事などでしばしば使われるものです。一方、これと同じような意味として、「不安を“駆り立てる”」という表現をたまに目にすることがあります。一見どちらも使えそうに見えますが、実際には両者は異なる表現で、明確に使い分けることができます。では、その違いとは一体どんな点なのでしょうか。
今回は、「不安を掻き立てる」と「不安を駆り立てる」の意味や違いについて解説していきますので、両者を使い分ける際の参考にしてみてください。
不安を「掻き立てる」
「不安を掻き立てる」とは、「心に不安を生じさせる」といった意味の言葉です。「不安を掻き立てられる」とも言います。「SNSで広まった根も葉もない噂が、人々の不安を掻き立てている」のように使われます。
「不安を掻き立てる」と「不安を駆り立てる」は、本来全く違う言葉で、きちんと使い分けられます。「心に不安を生じさせる」という意味であれば、「不安を掻き立てる」の方しか使えません。これは、「掻き立てる」と「駆り立てる」の意味の違いを比べると一目瞭然です。「掻き立てる」は、「勢いよくかき混ぜて、下にあるものを浮かび上がらせる」「強い刺激によって、心の奥の感情を湧きあがらせる」ことを意味するので、「不安を掻き立てる」だと、「心の奥の不安の感情を呼び起こされた状態」を表すことになります。
一方の「駆り立てる」については、この後詳しく解説しましょう。
不安を「駆り立てる」
「不安を駆り立てる」は、「心に不安を生じさせる」という意味の表現として使われることがありますが、こうした用法は正しくありません。上で述べたように、「不安にさせる」といった意味なら、「掻き立てる」の方が適しています。
「駆り立てる」とは、「獲物を捕えるために追い立てる」「その人の意志に関係なく無理に行かせる」「そうせずにはいられない気持ちにしむける」という意味の言葉で、これに「不安」を当てはめると、「不安を追い立てる」といった意味になってしまい、不自然です。自然な形にするならば、「不安に駆り立てられる」という表現が適当ですが、これも「人が不安に突き動かされる」といった意味であって、「何かが人を不安にさせる」という意味の「不安を掻き立てる」とは、明確に区別されます。
このように、「掻き立てる」と「駆り立てる」の用法の違いをしっかり踏まえておくと、両者の使い分けがしやすいでしょう。
この記事が気に入ったら いいね!しよう