一般常識
「領海」「接続水域」「排他的経済水域」の意味と違い
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「領海」「接続水域」「排他的経済水域」の意味と違いとは
島国の日本でよく耳にする海関連の言葉に、「領海」「接続水域」「排他的経済水域」の3つがあります。いずれも海に設けられた国の権利に関する範囲を表す言葉ですが、これらにどういった違いがあるのかよくわからないという人も多いでしょう。
そこで今回は、これら3つの言葉の意味や違いなどについて、詳しく解説していきたいと思います。
「領海」とは
「領海」とは、「国家の領域の一部となる海域」という意味の言葉です。その国の海岸に沿って一定の幅を持つ、帯状の海域を指します。かつては国ごとに主張する「領海」の幅がバラバラでしたが、現在は、原則として領海の基線から外側に12海里(約22km)までを「領海」とすると規定されています。
※領海の基線…領海の幅を測定するために、海岸に接して引かれた線。海岸に沿った通常基線と、海岸線が複雑な場合に採用される直線基線がある。
「領海」は、上記のように国家の領域の一部であり、領土や領空と同様に沿岸国の主権が及びます。ここに「接続水域」「排他的経済水域」との違いがあります。
ただし、全ての国の船舶は、沿岸国の平和や秩序、安全に害を与えるものでないかぎり、原則として、他国の領海を継続的かつ迅速に通行できる「無害通航権」を有します。
「接続水域」とは
「接続水域」とは、「領海に接続する一定範囲の公海海域」という意味の言葉です。沿岸国は、「接続水域」において、領土・領海で法令違反が行われることを防止するための規制を行うことが認められます。現在の「接続水域」の幅は、領海の基線から外側に24海里までと定められています。
※公海…国家の領有が禁止され、すべての国が自由に使用できる海域のこと。
「接続水域」は、「公海」の一部で国家の主権が及ばない点が、「領海」との違いになります。しかし、上記のように一定の権限の行使は認められており、例えば密輸のおそれのある船が「接続水域」内に入ってきた場合には、「領海」へ近づかないよう警告することなどができます。
「排他的経済水域」とは
「排他的経済水域」とは、「沿岸国の経済的な権利が及ぶ水域」という意味の言葉です。「EEZ」(Exclusive Economic Zone)という略称で呼ばれることも多くなっています。
その範囲は、領海の基線から外側に200海里(約370km)までの範囲となっています。ただし、領海の範囲は排他的経済水域には含みません。
沿岸国はこの水域内であれば、水産資源や鉱物資源の探査・開発・保存・管理などを行うことができます。また、海洋の科学的調査に関する管轄権や海洋環境の保護及び保全に関する管轄権も有することになります。
排他的経済水域における外国船の漁については、沿岸国の許可がある場合に限り認められます。
排他的経済水域は、公海の一部である点では「接続水域」と同じです。しかし、「接続水域」が国内法による一定の規制が可能な水域を指すのとは違い、「排他的経済水域」は経済的な権利を有する水域を指すようになっています。また、範囲についても、「接続水域」より「排他的経済水域」の方が大幅に広いという違いがあります。
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