一般常識
「憮然」「呆然」「唖然」の意味と違い
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「憮然」「呆然」「唖然」の意味と違い
日本語の熟語の中には、「~然」という形のものが多数見られます。その中で、「憮然」「呆然」「唖然」の3語はイメージが似通っており、違いを指摘するのは簡単ではありません。どの語も予想に反したり、意のままにならないような状況で使われることが多くなっていますが、どういった点で使い分けられるのでしょうか。
今回は、「憮然」「呆然」「唖然」の意味と違いについて解説しますので、これらの使い分けについて興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
「憮然」とは
「憮然(ぶぜん)」とは、「失望・落胆してどうすることもできないでいるさま」という意味の言葉です。また、「意外なことに驚きあきれているさま」も表します。現在は「不機嫌なさま」の意味で使われるケースも多くなっていますが、こちらは本来の用法ではありません。「A氏は自身の落選の報に接して憮然とした表情を浮かべた」「相手のあまりの頑固さに、粘り強い彼ですら憮然として溜息をついた」などのように使われます。
「憮然」の「憮」は、「手でおおいかぶせてなでる」を表す漢字で、「いつくしむ、かわいがる」の他に「がっかりする、失望する」の意味も持ちます。一方「然」は、「しかり、そのとおり」を意味する漢字ですが、この場合は接尾語として、「まさにそのような状態・様子である」という意味合いを表します。
「呆然」「唖然」との違いにあたる「憮然」の特徴は、「失望や落胆」のニュアンスが強いという点にあります。「呆然」や「唖然」には、特に「がっかりする」といった意味合いはありません。
「呆然」とは
「呆然(ぼうぜん)」とは、「あっけにとられているさま」という意味の言葉です。「あまりに予想外な展開に、一同はただ呆然とするばかりだった」などのように使われます。
「呆然」はまた、「気抜けしてぼんやりしているさま」の意味でも使われます。この場合は、「今までの努力がすべて無駄だったと知って、彼女は呆然と立ち尽くすほかなかった」のような使い方をされます。
「呆然」の「呆」は、幼児をおむつで包んだ様子を表す会意文字で、「ぼんやりする」などの意味を持ちます。
「呆然」と「憮然」の違いは、前述のように「失望・落胆」の意味合いを含むかどうか(「呆然」には含まれない)という点にあります。一方、「唖然」とは、「ぼんやりしている」というニュアンスが強い点で使い分けられます。
「唖然」とは
「唖然(あぜん)」とは、「思いがけない出来事に驚きあきれて声も出ないさま、あっけにとられているさま」という意味の言葉です。「優勝候補の初戦での敗退という結果に、会場の観客たちは唖然となった」「彼のあまりに乱暴な意見に彼女は一瞬唖然としたが、すぐに冷静な反論を返した」などのように使われます。
「唖」は「口」と「亜」から成りますが、この場合の「亜」は「つっかえる」を表しており、「口」と組み合わさって「喉が詰まって声が出ない」の意味になります。「聾唖」などの熟語でも使われます。
「唖然」もまた、「失望」の意味合いがない点で「憮然」と使い分けられます。「呆然」との違いは微妙ですが、「唖然」の場合は「声が出ないほど驚きあきれる」というニュアンスを持つ点が特徴です。これに対し「呆然」は、前述のように「ぼんやりする」「気が抜けたようになる」というニュアンスを表します。
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