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「母語」「母国語」「第一言語」「公用語」の意味と違い

「母語」「母国語」「第一言語」「公用語」の意味と違い

「母語」「母国語」「第一言語」「公用語」の意味と違い

私たちが普段話している言語や、話せる言語などを学問的に表す用語には、さまざまなものがあります。「母語」「母国語」「第一言語」「公用語」の4つも、そうしたものの一種です。この4つの言葉は、たびたび耳にすることがあるものの、その詳しい違いについてきちんと指摘できる人は、そう多くありません。果たしてこれらの言葉は、どのような点で区別できるのでしょうか。

今回は、「母語」「母国語」「第一言語」「公用語」の意味や違いについて解説していきますので、これらを使い分ける際の参考にしてみてください。

「母語」とは

母語

「母語(ぼご)」とは、「幼児期に最初に習得される言語」という意味の言葉です。ある人が幼い頃に周囲の人が話すのを聞いて、自然に習い覚えた初めての言語を指します。英語では、「mother tongue」や「native language」と言われます。また、「同じ系統に属する諸言語が共通の源とする言語」の意味もあり、この場合はたとえば、フランス語やイタリア語などに対するラテン語が該当します。

「母語」と「母国語」は混同されることも多い言葉ですが、正確な意味は明確に違います。「母語」は前述のように、「最初に覚えた言語」のことであって、国籍とは関係がありません。これに対し「母国語」は、後述するように国籍と同じ言語を指します。ですので、たとえば日本語が「母語」であっても、「母国語」は英語や韓国語といったケースは十分あり得ます。

「母国語」とは

母国語

「母国語(ぼこくご)」とは、「自分の国の言語」という意味の言葉です。自分が生まれた国や、所属している国の言語を指します。「母国」とは、「自分が属している国」を意味しています。

「母国語」と「母語」は、上でも述べたように、はっきり意味が違います。日本の場合、「母国語」がそのまま「母語」になるケースが一般的ですが、海外ではそうではないケースが珍しくありません。たとえばある日本人夫婦がアメリカに移住してそこで子供Aを生み、Aが最初に習い覚えた言葉が日本語だったとしましょう。この時点ではAの「母語」も「母国語」も日本語ですが、その後Aがアメリカ国籍を取得すれば、「母国語」は英語となるので、「母語」との乖離が生じます。ほかにも、政治的・地理的独立国家を持たない民族などのように、世界には「母語」と「母国語」が一致しないケースがたくさんあります。

「第一言語」とは

第一言語

「第一言語(だいいちげんご)」とは、「習得順序が一番早い言語」という意味の言葉です。ある人が生まれてから最初に接し、身につけた言語について言います。また、この他に「一番得意な言語」という意味で使われる場合もあります。この場合は複数の言語の中で最も習熟度が高く、自分を一番うまく表現できるものを表します。

このように、「第一言語」と「母語」はほとんど同義の言葉ですが、厳密に言うと違いもあります。「母語」は両親から別々の言語を受け継ぐなど、複数になる場合がありますが、その場合でも「第一言語」は「最も得意な言語」の1つだけです。

ちなみに、「第二言語」と呼ばれるものもありますが、これは「第一言語」の習得後に学ぶ言語を指します。たとえば日本語を「第一言語」とする人が次にフランス語を習得すれば、フランス語が「第二言語」ということになります。なお、「第三言語」は存在せず、3番目に何語を習得しても、やはり「第二言語」になります。

「公用語」とは

公用語

「公用語(こうようご)」とは、「ある国家や地域で公式の使用のために定められた言語」という意味の言葉です。多くの場合でその国の国語と一致しており、日本でも法令などの定めはないものの、実質的に日本語が「公用語」となっています。

ただ、多民族国家などにおいては、国語以外の言語を「公用語」とするケースも少なくありません。たとえばシンガポールの国語はマレー語のみですが、「公用語」に認められている言語には、ほかにも中国語やタミル語、英語があります。インドでも、ヒンディー語を国語とするほかに英語も「公用語」として認められており、さらに州ごとに独自の「公用語」が定められています。

このように、「公用語」は「国家が公式使用のために認めた言語」のことで、国民が実際に話せる言語とは限りません。この点は、「母語」などとの大きな違いになります。

「母語」「母国語」「第一言語」「公用語」の意味と違い

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