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「アカウンタビリティ」の意味とは?使い方・例文など
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「アカウンタビリティ」の意味とは?使い方・例文など
日々の生活や仕事の中で、さまざまなわかりづらいカタカナ言葉に遭遇しますが、「アカウンタビリティ」もその1つでしょう。近年耳にする機会は増えたものの、詳しい意味合いについては、正直いまだによくわからないという人も多いはずです。
そこで今回は、「アカウンタビリティ」という言葉の意味や使い方について、例文を交えて紹介していきたいと思います。
「アカウンタビリティ」の意味
日本でビジネス用語などとして使われる場合の「アカウンタビリティ」は、通常「説明責任」を意味します。企業や政府など、社会に大きな影響を及ぼす組織の権限行使者が、株主や従業員、有権者、消費者、取引業者などのすべての利害関係者(ステークホルダー)に対し、その活動内容や権限行使の予定などについて報告する責任を言います。
またこのほかに、利害関係を持つ会社同士のやり取りにおける「責任追及」の意味合いや、「改善への取り組み」、「事態への対応」といった意味合いも持ちます。
「アカウンタビリティ」の語源
「アカウンタビリティ」は、英語の「accountability」という単語をカタカナ化した言葉です。「accountability」の意味は、「責任(のあること)」といったものになります。例えば「accountability for what ones says」という場合は、「自分の言ったことに対する責任」という意味になります。
「accountability」は、「account」と「ability」の2語が合体してできている言葉で、「account」は「計算」「説明」を、「ability」は「(~できる)能力」「法的資格」を意味します。つまり、直訳すれば「説明能力」といった意味合いになり、ここから「説明責任」の意味で使われるようになりました。ただ、先にも述べたように、英単語としての「accountability」はより広い意味での「責任」にも使われるので、この点は要注意です。
「アカウンタビリティ」が要求される理由
「アカウンタビリティ」は、近年ビジネスの世界で強く求められるようになっている概念です。その背景には、次のような理由があります。
会社法による開示義務
企業に対しては、会社法などの法令によって、財務情報などを開示する義務が課せられています。これは以前からそうでしたが、近年は企業の社会的責任が厳しく問われるようになっていることから、開示する内容や「利害関係者」の範囲についても、徐々に広まる傾向にあります。「利害関係者」は、従来は株主や投資家などを意味していましたが、現在では消費者や地域住民も含まれるようになっています。
企業に対する視線が厳しくなった
一般の人々が企業に向ける視線は、近年特に厳しさを増しています。その背景には、企業の不祥事が後を絶たないことへの不信感があります。特に2000年代以降は、食中毒事件や牛肉偽装事件、談合事件などが相次いで報道されたこともあり、企業の社会的責任を問う風潮が一段と強くなりました。こうした機運の高まりにより、企業経営において透明性が重視されるようになった結果、「アカウンタビリティ」が強く求められだしたという経緯があります。
「アカウンタビリティ」の使い方と例文
「アカウンタビリティ」の意味や求められる背景について見た後は、具体的な使い方を例文によって見ていきましょう。
- 例文:企業の規模が大きくなるほど、アカウンタビリティも重くなる
- 例文:この問題については、アカウンタビリティが果たされているとはいいがたい
- 例文:言い逃れをすることがアカウンタビリティではない
- 例文:積極的にアカウンタビリティを果たしてこそ、消費者の信頼を得られる
- 例文:現政権の国民に対するアカウンタビリティは不十分だ
医療分野での「アカウンタビリティ」
「アカウンタビリティ」という言葉は、ビジネスシーンだけでなく、医療分野においても使われます。そちらの意味についても見ておきましょう。
この分野では、治療に関して高い専門性が要求されることから、患者が理解しづらい状況に置かれることも少なくありません。しかし、患者側としては、当然自分の治療についてしっかり把握しておきたいという要望があります。医師にはその要望に基づいて、治療や処置に関する説明を行うべき責任がありますが、これが「アカウンタビリティ」にあたります。つまり医療現場における「アカウンタビリティ」は、治療前にその内容に関して、患者や家族が理解できるように説明する責任を言います。
具体的には、以下のように使われます。
- 例文:この病院では、アカウンタビリティの意識が看護師まで浸透している
- 例文:専門用語を何の説明もなく使うのは、医師のアカウンタビリティに背く行為だ
「アカウンタビリティ」と「レスポンシビリティ」の違い
「アカウンタビリティ」とイメージが近い言葉に、「レスポンシビリティ(responsibility)」というものがあります。どちらも「責任」を意味する言葉ですが、両者はどのような点が違うのでしょうか。
「アカウンタビリティ」と「レスポンシビリティ」の違いは、責任を負う対象にあります。「アカウンタビリティ」が成果についての説明責任(成果責任)を負うのに対し、「レスポンシビリティ」は実行に対する責任(業務遂行責任)を負うようになっています。つまり、「レスポンシビリティ」とは、あるプロジェクトについてトップが立案したプランに基づき、メンバーがその通りに実行する際に使われる言葉ということになります。
アメリカにおいては、「アカウンタビリティ」はプロジェクトマネージャーに関する概念で、「レスポンシビリティ」はメンバーに関する概念として区別されています。
「レスポンシビリティ」の使い方についても、例文を挙げておきましょう。
- 例文:君のレスポンシビリティを無視した行動のせいで、計画全体がピンチに陥っている
- 例文:チーム全体にレスポンシビリティの意識が行き渡っている
最後に
以上、「アカウンタビリティ」の意味や使い方などについて、いろいろと説明してきました。
このように、「アカウンタビリティ」は主に「説明責任」の意味で使われる言葉です。政治や医療の分野でも使われますが、ビジネス用語として会議やメールなどでもよく使われるようになっています。正しい意味合いを把握して、誤った使い方をしないよう十分気を付けましょう。
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